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第四章 三剣士編第四話「箱舟モノマキア」


 歪みを抜けた神無たちはビフロンスの大地に立っていた。
 たどり着いた場所は城が遠くに見える草原だった。

「……此処がビフロンスか」

「長閑そうな場所ねえ」

 通り抜け、ビフロンスの地へと立つ神月たちは各々が勝手に抱いていたビフロンスのイメージと実物の世界の風景に驚く声を漏らす。
 そんな彼らに対し、やや呆れを見せながらも神無はツヴァイの手をとったまま、空いた片手で、城を指差した。

「向かう場所はあの城だ。あそこにみんな居るんだ……合流とかして色々とあるだろうけど、挨拶等はしっかりな!」

 返ってくる声は少なかったが、神無は半笑いで流した。ツヴァイが慰めるように微笑みを向けて彼の士気は回復した。
 神無とツヴァイを先頭に、神月たちは城へと進み始めた。



 時同じくして、アダムたちもビフロンスへとたどり着いた。彼らの到着した場所は城の手前(これはアダムの技術でうまく捜査した結果)だった。
 アダムたちが入城し、続いて神無たちも入場。心剣士、反剣士、永遠剣士、それらに組する仲間たちが一同に集い、半神たちも合わせると広間はかなりの人数であふれかえっていた。
 兎角、優先すべきは協議するべき場所を作ることだ。椅子、長机などを並べ、各人座りあった。上から見るとV字更にでその形のまま机を3列加えたもの。
 V列の中心には半神のまとめ役アルカナと城の主たるアイネアスとサイキ、神無、皐月とアビスがたっていた。

「――皆さん、こうして此処まで集ってくれて感謝します」

 どよどよと騒ぐ声を掻き消すように静かに、しかし、広間に響くように口火を切ったのはサイキだった。その言葉と共に彼女は祈りをするように、感謝の一礼をする。
 続いて、アイネアスが言った。

「此処にいる我々は奇しくも仮面の女―――『カルマ』によって巻き込まれたものであろう。そして、彼女と戦う意思の下に集ったものであろう」

「早い話、俺たちでカルマの拠点になっているレプセキアを奪還するために集合した。この奪還戦、団結しなわなければ勝ち目は薄い」

 更に神無がざっくばらんに言うと、アルカナが頷き、どこか感情的に話した。

「我々半神たちの意思は単純だ。自分たちの母が囚われ、身内が裏切り者としてカルマに属している。……挙句に故郷を奪われた、奪還するしか道が無い」

「なら、一つ聞きたい」

 言い終えたと共に座っていた神月が挙手する。挙手を見たアルカナは頷いて、質問を許可した。
 神月は手を下ろし、質問を始めた。

「…奪還すると決めた以上、この大人数でも踏み込めることは可能なのか? 今やカルマの拠点……易々と踏み込めそうに無いが」

「その疑問、当然のことだな。対処としては……『船』を用意した」

「船?」

 彼の答えに半神と一部の者たち以外は驚きの表情を見せていない。アルカナは淡々と返した。

「後でお見せする。レプセキアへの進入には『船』で強行、奪還する……他には何か?」

「じゃあ、一つ」

 神月の質問を終え、挙手したのは後列に座っていた刃沙羅だった。

「カルマのSin化、それの対策はあるのか?」

「在る。――ミュロス、彼らにも」

「はい」

 刃沙羅の隣に座っていた女性ミュロスが取り出した分厚い本から取り出した輝きを帯びたカードを手に空へと放り投げた。
 カードは中空で粒子となって霧散し、広間全体に暗転して降り注ぐ。

「なんだ、これ」

 暗がりに染まった広間から声が漏れ出す。その広間にいる全員の回りに浮かび上がっている円環でつながった鎖が出現していた。
 だが、鎖の色は大きく二つに分かれていた。アルカナや神無、半神、ミュロスといった先だってビフロンスに居たメンバー、つい先ほどビフロンスに到着した神月たち。
 前者は何処か赤い輝きを帯び、後者は半透明な色合いで別れていた。

「カルマのSin化の対策は今、我々に浮かび上がった鎖で差分される。赤い鎖はSin化の対策済み、半透明はまだということ。
 ……色々と調べたのだけど、Sin化というのは『洗脳する』のではなく、厳密には『支配する』と言う精神的な重圧を心と魂――これを『精神体』って俗称されるんだけど、精神体に施すことで支配することが出来るの」

「私たちの『精神体』は鎖なのか」

 自身の鎖を紗那はいじろうと触れるとするが、目に見えるだけで触れることが出来なかった。
 そして、若干触れなかった事に落ち込む彼女に、笑みを含んだ優しげな声で返した。

「それは私が最初に明確でハッキリしたイメージを下にしたから……『精神体』は言葉通り、『心と魂の合わさった存在』の呼び名。さ、施すわね」

 新たに取り出したカードを中天に放り上げると、それは光を放って神月たちの半透明の精神体の鎖が輝きを浴びて、神無たち
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