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第四章 三剣士編第五話「協議」

 モノマキアが地表にゆっくりと着陸し、箱舟へと乗り込む足場となる光の道が伸びてきた。

「うおー! 一応、あらかじめ見たけど中身は見ていないんだぜーー!」

 神無は嬉々として叫びあげて、一気に光の道を駆け上がってモノマキアへ一番乗りした。その様子に息子、娘、妻の三人は顔を赤くした。
 だが、彼の一番乗りに続いて神月たちも乗り込んだ。モノマキアの上甲板に降り立った一同。上甲板には甲板室と床には3箇所の内部へ通じるがある。

「甲板室にも内部への階段があります。いざと言うときはあそこで応急処置も施せるように設備をある程度整えています。
 この船は攻撃手段は持ち合わせておりません。ですが、防御力等はきわめて優秀であります」

「なあ、こんなのいつ作ったんだ?」

 モノマキアを不思議そうに見る彼らを尻目に、オルガは落ち着いた眼差しと姿勢で周囲を見渡しながら傍で彼らを同じく見ていたアイネアスに尋ねた。

「……昔、私とサイキが生まれ住んでいた故郷ではひどい差別がありました。特別な力を持つが故に虐げられたり、その逆で力を持つが故に支配する関係……
 此処、ビフロンスにいる人間とその力を持つヒトたちはその関係から逃れようと苦しんでいました。私は考えた。『両方を受け入れる世界』が必要なのだと」

「『箱舟』って名前は伊達じゃないか」

「この船は今はモノマキアと呼んでいますが、元来の名があります。――知ってるのは私とサイキですけどね」

「なんなんだ、そのもともとの名前?」

「『エレオス』。慈悲の名を持つ箱舟……今は、戦いの箱舟モノマキアとして利用したんです」

「そうか……色々とヒトの為にがんばっているものなんだな」

「ええ」

 アイネアスは誇らしげに笑った。

「この船ならレプセキアへ進入も大丈夫です。では内部へと案内します! ついてきてください」

 そういって、彼が先頭に歩き出して内部へと続く階段を下りていった。



 船内も外装と同じ白色でコーティングされており、回廊にはいくつかの部屋があり、中心部分にはモノマキアを操作する部屋が用意されている。
 船底の階層にはエンジン等の駆動音が鳴り響いており、外壁で守られているものの、もしも此処を攻撃されると最悪の事態になりかねないとアイネアスは注意深く言った。
 そして、一回り船内の構造を案内し終えて、中央の操作室で休憩をとりつつ、此処で続きの作戦会議を決行した。椅子の限りがあり、何人かは床に座ること、そのまま壁にもたれつつ立つ、そのままたっているものに分かれた。

「さて、先ほど話した『役割』なわけだが……簡単に言えば、この船を操作するものとこの船を守るもののメンバーを決めたいんだ」

「操作する奴って、アイネアスとサイキか?」

 オルガは先ほどの会話から、この船のもともとの所有者はアイネアスとサイキだ。この船を用意し、かつて扱っていたのなら彼らが適任なのは定石だった。
 彼の言葉にアイネアスも頷き返していた。

「ああ。私もそのつもりで、考えていたが一人で操作するとかなり大変なんだ。せめて、後2人ほど選出したい」

「私は操作したいけど、私は聖域奪還に加わりたいの……」

 扱いを知っているはずのサイキはそういい、自ら退いた。

「彼女のことはわかっている。他にいるものはいないかな? もちろん、主な操作は私がする。サポートに回ってくれるだけでいいんだ」

「――なら、僕が立候補!」

 暗い橙色の髪に、緑の瞳をした少年の姿をした半神――シーノが挙手した。
 アイネアスはもちろん、他の半神、神無たちも驚きを見せていた。

「……なんだよ、皆が手を上げないから上げたのに」

 シーノは周囲の反応に唇を尖らせて、やれやれといった具合に腕を組んでアイネアスをにらみ据えた。
 据えられたアイネアスは直ぐにハッ、とわれに返って侘びを述べた。

「す――すまない、シーノ……だが、いいのかい。奪還戦には加われないよ?」

「僕の能力じゃあ、カルマにもおそらく操られた連中にも効き目なさそうだし、辞退するよ。その分、船の操作とか色々と教えろよー」

「ああ……感謝するよ、本当に」

「で、他には誰かいるの?」

 シーノは周囲のもの達に視線を送る。
 すると、すっと腰を上げた人物が居た。長い白にも似た灰色の髪、闇のように輝きを帯びない双眸をした白いローブにも似たコートを着た男性。

「へえ、キルレストかい?」

 立ち上がった半神キルレストを見て、シーノが感嘆めいていった。

「そうか? 私くらいだろう、この船というより、『モノの扱い』が達者なのは」

「……事実だからその余裕ぶった顔やめて」

「ふ、すまんな」

 半神キルレストは優れた技術者としての一面があり、モノの扱い(物体の構築情報、
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