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Another chapter7 Terra&Aqua side‐1「夕日が照らす陰と陽」


 夕日が照らす、黄昏の街―――トワイライトタウン。
 以前はハートレスやノーバディと言った闇の脅威が蠢いていたこの世界も、ソラ達の活躍からは姿を見せなくなった。
 さて。とある子供達の遊び場や空き地に続いている路地裏で、ルキルが裂けた疲れた表情を浮かべながら空間の前で立ち止まっている。
 そうしていると、空間の中から疲労の色を隠しきれないアクアとゼロボロスが怠そうに歩いてきた。

「はぁ…ようやく着いたねぇ…」

「歩くのがこんなに疲れるなんて……マスターなのに、情けないわ…」

 そんな二人に、先に辿り着いていたルキルが重い溜息を吐いていた。

「気にしなくていい…先生に丸一日『学者モード』で扱き使われたんだ、疲れない方がおかしいさ…」

 そう言って、後ろに目をやる。
 そこには、ウィドが不機嫌そうに腕を組んでアクアとゼロボロスを睨みつけていた。

「お前達、遅いぞっ!! もうこの付近はルキルと共に見回ってしまったではないかぁ!!! まったく、この世界にもあるかと期待したのに何処にでもあるような住宅街…古い物の気配も感じないなんてなんて世界ですか…っ!!」

「いいじゃないか、先生…それよりも、何処かで休憩しよう。あの世界から休み無しで動いてるだろ…?」

「それもそうか…――まあ折角ですし、ここで休憩しましょうか」

 ルキルの提案に、ウィドは『学者モード』を解いていつも通りの性格に戻る。
 これを見て、ゼロボロスは安堵の表情を浮かべて座り込んだ。

「ようやく休める…!!」

「闘技場を調べ終わった終わった途端に『よーし、次の世界に行くぞぉぉぉ!!!』だったもんな……ホンモノまで、清々しい笑顔で見送りやがって…!!」

 丸一日全員を引き摺り回しながらの強行な作業で闘技場を全て調べるなり、アクアに詰め寄って次の世界に向かう為に回廊を開かせたのだ。
 自分達はウィドを一人にさせない為について行ったが、ソラ達は理由を付けて残るなり白いハンカチを振りながら笑顔で見送ったのだ。気持ちは分かるが、それでも怒りが湧き上がるのは何故だろう?
 ルキルがその時の事を思い出していると、元に戻ったウィドが階段の下にある空き地を指した。

「では、あそこのベンチで休んでてください。私が何か飲み物を買ってきます」

 そう言うなり、ウィドは反対側の駅前通りに歩いて行く。
 そんなウィドに、ルキルはすぐさま引き留めた。

「いいよ、先生。俺が買ってくる」

 そうして買い出しを申し出ていると、アクアが目を見開いた。

「いいの? ルキル、あなただって疲れているんじゃ…」

「伊達に先生と一緒に暮らしてる訳じゃないから大丈夫さ。それに…売ってる場所、知ってるし」

「ルキル…?」

 ルキルの瞳に一瞬だけ見えた憂いに気づき、アクアは不思議そうに首を傾げる。
 だが、ルキルは駅前通りに歩いていくのでこれ以上は声をかけれなかった。
 こうして見送っていると、ゼロボロスが話しかけた。

「とりあえず、早く休もう。もうヘトヘト…」

「そうね…」

 アクアも今までの疲れを思い出し、二人と一緒に空き地へと歩いて行った。



 トワイライトタウンの住宅街にある、夕日が見える丘―――サンセットヒル。
 誰もいないその頂上で、空間が裂けて中から二つのバイク型の乗り物が現れるとゆっくりと着地してそれぞれ光と炎に包まれる。
 こうして乗り物が消えると、光からテラとレイア、炎からは無轟とクウが現れて辺りを見回していた。

「ここが次の世界か…」

「見た所、あそこは住宅街って所か…――こうして見ると、平和そのものだな」

 テラが呟いていると、クウも遠くの街を見ながら腕を頭の後ろに組む。

「いいじゃないですか、クウさん。何事も平和が一番ですよ?」

「ああ。無用な戦いを避ける、それも一つの生き延びる手だ」

 そんなクウに、レイアと無轟がそれぞれ釘を刺す。
 この二人に同意するように、テラは一つ頷いた。

「それもそうですね…だからと言って、油断は出来ません」

「ともかく、要は気を張りすぎるなって事だろ。んじゃま、これからどうする?」

 これからの事をクウが聞くと、三人はそれぞれ考える。
 すると、何処からか車輪の音が聞こえてくる。四人が目を向けると、丁度丘の下に続いている線路から一つの列車が通ろうとしていた。

「あれは…列車?」

 クウが呟いている間にも、列車は丘の下にあるトンネルに吸い込まれるように移動する。
 それを見て、すぐに後ろを振り返ると列車がトンネルを抜けて住宅街へと進んでいった。
 この一連の様子を見ていると、レイアが目を輝かせながらクウを見上げた。

「クウさん! 私あれに乗ってみたいです!! 一回だけでいいですから!!」

「分かっ
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