セントラルステーションの入口がある、駅前広場。
そこに、ゼロボロスに連れられてアクア達はやってきた。
「わぁ…!」
「これは、壮大な眺めですね…」
街を一望できる場所から見える、遠くで輝く夕日に二人は感嘆の声を漏らす。
この二人の様子に、満足そうにゼロボロスは笑みを浮かべた。
「前にこの世界には来た事がありましてね。その時に見つけたんです」
「ありがとう、ゼロボロス」
アクアはお礼を述べると、再び赤く染められた街と遠くにある夕日を見る。
そうしていると、不意に脳裏に一つの記憶が甦ってくる。
「また…三人で見れるよね」
アクアは小さく呟きながら、ポケットから『繋がりのお守り』を取り出して見つめる。
キーブレードマスターの試験の前日。旅立つ前に見た、流れ星が降り注ぐあの夜空。
あの時は、三人で笑い合いながら夜空を眺めた。今は離れ離れになってしまっているが、もう一度そんな日が来て欲しいと願う。
「――クウさん、こっちですよ!」
そんな時、後ろから女の子の声が聞こえてきた。
何処か楽しそうな声に、アクアは思わず微笑する。
「テラさんも早くっ!」
「テラ!?」
続けて聞こえた女の子の言葉に、アクアはすぐに振り返る。
すると、そこには自分達から背を向けて手を振っているレイアがいる。さらに、何かを話しているクウとテラがセントラルステーションから出てきた所だった。
「おい、レイア。あんまり急ぐなって」
「それだけ嬉しいんだろう。いいんじゃないか、少しぐらい――っ!?」
クウと話していたテラもこちらを見て、ようやくアクアの存在に気づく。
思わぬ再会に驚くも、二人の間に気まずい空気が流れた。
「…アクア、なのか?」
「テラ…」
どう答えればいいのか分からず、アクアは視線を逸らす。
そんな二人を見て、レイアはテラを見ながら首を傾げた。
「えっと…テラさん、知り合いですか?」
「あ、あぁ…」
レイアに頷くが、テラもアクアと同じ感情を抱いているのか顔を逸らす。
そんな中、ウィドは目を細めてゼロボロスに小さく声をかけた。
「ゼロボロス」
「大丈夫…あの時みたいに、妙な感じはしない。彼は本物かもしれない…確証はないけど」
オリンポスコロシアムでクォーツによって作られた偽物と比べると、魔力で構成された感じはしない。だが、油断は出来ない。
二人が最低限の警戒をしていると、アクアが恐る恐る口を開いた。
「え、えっと…あの――」
胸に当てていた手をテラに伸ばしていると、突然手を掴まれる。
アクアが気づいた時には、何と優しく手を取って顔を近づけるクウがいた。
「美しいレディ。こんな素敵な夕日の中で出会うなんて、気運を感じませんか?」
「ハ…ハイ?」
考えもしなかった行動と口説き出すクウに、思わずアクアが目を丸くする。
後ろにいたテラさえも訳が分からない顔をしているが、クウは気にすることなく顔を近づけたままアクアに優しく笑みを浮かべた。
「ああ、自己紹介が遅れましたね。俺はクウと言うものです、あなたの名前はそこのテラから聞いてます。彼から聞いた通り、何と麗しい方「『サンダガ』ァ!!!」ごあああああっ!!!??」
一方的に自己紹介するクウに、突然巨大な雷が真上から直撃した。
これにはアクアだけでなく、テラやウィド達も唖然としているとレイアが怒りのオーラ纏わせて杖を握りしめていた。
「クーウーさーん!? 何さりげなくナンパしているんですか!!? しかも、相手はテラさんの“恋人”じゃないですかぁぁぁ!!!」
「んなぁ!?」
「はいぃ!?」
レイアから放たれた単語に、テラとアクアの顔が一気に真っ赤に染まる。
そんな二人に、ウィドとゼロボロスが何処か面白そうに目を細め出した。
「そうですかぁ…いやぁ、友人と聞いてはいましたが本当はそんなご関係でしたかぁ」
「キーブレードマスターと言えど、まだ十代の女の子。何だかんだで、あなたも青春を楽しんでいるようで安心しました」
ニヤニヤと笑いながら語る二人に、アクアは恥ずかしさと怒りによって更に顔を真っ赤にした。
「ち、違うわよ!! テ、テラァ!! 一体どんな説明したのよ!?」
「ご、誤解だっ!! 俺はちゃんと二人には仲間で友人と説明したんだっ!! そうだろ、レイア!!」
「ふえ? そうだったんですか?」
「「そうだ(なの)っ!!!」」
首を傾げるレイアに、テラとアクアは一緒になって叫ぶ。
さっきまでの空気がクウとレイアによって吹き飛んでしまい、ウィドとゼロボロスは軽く肩を竦めた。
「…やれやれ、緊張していたのが馬鹿らしくなってきました」
「そうですね…その点に関しては、あの二人のおか
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