夕日が照らす、町の大きな時計台の広場。
普段は列車の音以外は聞こえない静かな場所で、戦いの火花が散らされた。
「待てぇ!!!」
「追って来るか…大した者だ」
時計台を駆け上がりながら、斬りつけるウィドとそれを防御するセヴィル。
だが、時計盤に足を踏み入れると、二人は同時に上空へと蹴って飛び上がる。
その状態で、ウィドは落ちながら剣を握ってセヴィルに怒鳴った。
「教えろぉ!!! 姉さんの事!! 姉さんの居場所をぉ!!」
そうして、剣をセヴィルに向かって振り下ろす。
しかし、その攻撃はキーブレードによって阻まれた。
「だが、甘い」
小さく呟くと、防御したキーブレードで弾き返す。
空中でよろめくウィドに、さらに追い打ちをかけるように回し蹴りを上から放った。
「ぐっ…!?」
半ば踵落としの蹴りを喰らい、地面に落下するスピードが加算される。
結果、受け身が間に合わずそのままウィドは地面に叩きつけられる。
対して、セヴィルは膝を折って着地すると、倒れているウィドにキーブレードを突きつけた。
「武器とは、己自身を表す物だ。何かを奪う為に振るう信念を武器を乗せても、俺に刃は届かない」
静かに諭すと、キーブレードの先端をウィドの持つレイピアに向けた。
「お前の持つ武器はその剣一つ。その剣に命を懸けている事を忘れるな」
まるで戦いを教えるセヴィルの言葉に、ウィドは睨みながらも立ち上がろうとする。
それに小さく笑っていると、突然後ろに黒い影が過った。
「後ろががら空きだ、セヴィル!!」
不意打ちを狙うように、クウが素早く拳を放つ。
だが、攻撃を読んでいたのかセヴィルは身をかわして避ける。
それでも、クウは攻撃の手を止めずに更に蹴りを放ったが、同じように攻撃したウィドの振るった剣に交差するように当たってしまった。
「邪魔するな!!」
「それはこっちのセリフだっ!!」
怒鳴るウィドに、クウも負けじと言葉を返す。
そんな二人を見て、セヴィルは呆れた溜息を洩らしながらキーブレードを構えた。
「何て執念だ…そんな事では―――まともに攻撃が当たらないぞ? 『陰招旋風』」
「ぐっ!?」「つっ!?」
キーブレードを振るって放たれた渦を巻いた黒い暴風が、二人に襲い掛かる。
その二人のうめき声に、少し離れた場所にいたレイアが反応した。
「クウさん!?」
「まずは、お前だ」
レイアが振り返ったのを見て、マリェースが腕を鎌に変えて迫った。
「させない! テラ!!」
「『スタンブレード』!!」
アクアの声と同時に、テラはキーブレードに雷を纏って思いっきり振り下ろした。
「くっ!?」
水の抱える宿命なのか。雷が弱点なようで、表情を強張らせてテラの攻撃を避ける。
そのマリェースの後ろに、アクアが宙に浮かんでキーブレードの先端を向けた。
「『レインボーシャワー』!!」
「なっ…!?」
後ろからのアクアの不意打ちに、マリェースは振り返るが遅い。
アクアから放たれた様々な色の光弾が、次々とマリェースに襲い掛かる。
二人の息の合った攻撃に怯むマリェースに、テラはすぐにレイアに声をかけた。
「レイア、今の内だ!!」
「はい! 『ケアルガ』!」
テラに頷くと、レイアはすぐにクウとウィドに癒しの魔法をかける。
レイアによって回復する様に、セヴィルは軽く二人に笑いかけた。
「助けられたな」
「うるさい!!」
「黙れ!!」
セヴィルの言葉に、二人は怒りを露わに武器を構え直す。
そんな二人…否、クウに視線を向けると何処か挑発的な笑みを浮かべた。
「――どうした、もうバテたか? バカ弟子?」
その言葉に、思わずウィドはクウを見る。
すると、クウはさらに目を細くしてセヴィルを睨みつけていた。
「それは師匠の言葉だろぉ!!! あんたが使う言葉じゃねぇ!!!」
「自分から抜け出しておいて、随分とあいつには執着するんだな?」
「執着なんて、してねぇ…!!」
セヴィルが呆れて言うと、クウは舌打ちして顔を逸らす。
この二人の会話に、ウィドは訝しげな表情を浮かべた。
「あいつ…?」
そうしていると、話は終わったのかセヴィルがキーブレードを両手で握った。
「さて…これはどうだ?」
そう言ってキーブレードを縦に構え、握り込む。
すると、セヴィルの周りに白と黒の球体が幾つも現れて二人に向かって飛んできた。
「『陰陽数珠』か…丁度いい!!」
この攻撃に、クウはニヤリと笑うとそれぞれの手に黒の羽根を四つずつ指に挟んで具現化させた。
「何を…!?」
『フェザーノクターン』を使おうとするクウに、ウィドは目を丸くする。
だが、クウは答えを返
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