「『エアリル・アーツ』!!」
クウは、上空に飛んで一気にセヴィルに急降下して蹴りを放つ。
だが、攻撃を読んでいたのか後ろに跳んで回避した。
「まだだぁ!!」
しかし、クウは動きを止めずに拳を放つ。
あまりの速さにセヴィルはキーブレードで防御し、押し合いが始まった。
「『ナックル・フィスト』か…さすが、と言いたいが…」
ギチギチと拳とキーブレードが鳴る中、セヴィルが笑う。
クウがそれに気付いた時には、キーブレードに光が纏いだした。
「焦りで狙いが定まってないぞ? 『陽狼光』」
「がっ…!?」
弾き返すと同時に、眩い狼の闘気がクウを襲う。
それによりダメージを受けて吹っ飛ばされ、更に至近距離で光を直視してしまい視力が奪われる。
目の部分を押さえてよろよろとするクウに、セヴィルが向かおうとすると衝撃波が飛ぶ。
足を止めて見ると、ウィドが剣を振るった状態で舌打ちしていた。
「ちっ…!!」
「遠くからの遠距離で攻めるか…その傷を負っていたら当然だが、まだ考えが未熟だな」
そう言うと、セヴィルはウィドを見ながら笑った。
「教えてやろう…これが俺のやり方だ。『陰招旋風・周』!!」
「「うぐっ!?」」
先程の黒い暴風が今度はセヴィルの周りから広範囲に放たれ、二人は怯む。
さらに、追い打ちをかける様にセヴィルはウィドに狙いを定めた。
「『陽炎閃』!!」
「つぁ!?」
「くそっ、どこだ…!?」
まるで陽炎のように揺らめくと、一瞬でウィドを切り裂くように背後へと移動する。
その悲鳴にクウが反応するが、まだ視力が戻らず二人の位置が分からない。
そんなクウとは別に、ウィドは顔を訝しんでセヴィルを見ていた。
「どうして…当てようと思えば、当てれたのに…!!」
そう。実際は攻撃されていなかった。あまりの速さに斬られたと錯覚したのだ。
ウィドが訝しんでいると、セヴィルは笑いながらキーブレードの切っ先を向けた。
「言っただろ? あまりにも未熟だから“教えて”やったと」
「舐めるなぁ!!」
この言葉に、ウィドがセヴィルに近づいて斬りつける。
だが、セヴィルはクウのように剣をキーブレードで防御した。
「舐めてないさ。お前は姉と違って、魔法を使う素質がないからな…戦う力は剣術のみと言った所か」
「それが何だぁ!!?」
更に逆鱗に触れたのか、ウィドは怒りを露わにして弾き返す。
しかし、セヴィルは先に後ろに下がって衝撃を軽減させた。
それにイラついていると、後ろから何かが投げられると同時に身体が軽くなった。
「あんまり動くな!! 火傷が広がるぞ!!」
「うるさい…!!」
視力が回復して『ポーション』を使ってくれたクウを、ウィドは邪険に足払う。
そのままセヴィルの元に向かうウィドに、クウは思わず舌打ちした。
「この意地っ張りが…!! これだけ酷いとあいつを思いだ――」
口から吐き出した愚痴に、何かを感じて止める。
それからウィドを見ると、初めて出会った時の彼を見た時の違和感の正体を掴みかける。
会った事はないのに、会ったような錯覚。よく見れば、ウィドは《彼女》に似てる。
「まさか…でも…」
「何を考えてるんだ、クウ?」
「っ!?」
セヴィルの言葉と共に、足元から噴き出す闇が襲い掛かる。
どうにか空中に飛んで避けると、魔法を放ったセヴィルを睨みつけた。
「とにかく、詮索は後ってか…」
そう呟くと、クウは翼を羽ばたかせて戦いに集中した。
「おらおら!! さっきの威勢はどこ行ったぁ!!」
「ここまで来ると、苛立ちも湧きますね…!」
火傷の傷もあり、ゼロボロスは翼まで展開させて上空を飛んで逃げていた。
それに調子に乗ったのか、飛んでいる自分に向けて炎や氷などの魔法を連射するフェンに苛立ちを覚える。
「鳥野郎が…撃ち落としてやるよ!! 『サンダーブラスター』!!」
「くっ!?」
扇状に放たれた雷の魔法に、ゼロボロスはとっさに急降下して避ける。
どうにか避けつつ、ポケットから『ポーション』を取り出して飲み込んだ。
(このまま逃げていても、火傷で体力を削られる…だからと言って、無理に責めてもこの状態では押し切られる…)
アクアの使った回復魔法や『ポーション』である程度体力は回復するが、少しもしない内にその分は火傷によって削られてしまう。
しかも、元凶の火傷も抑える事は出来ても治る事も無くじわじわと浸食している。そんな状態で攻めても、後が不利になるだけだ。
(今は『式』の状態でこうして動けるからいいけど…何か、方法はないか…!?)
そうやって、ゼロボロスが必死に頭を捻らせていた時だった。
「『グラビティ・ヘヴィ』!!
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