遠くまで広がる黄昏の海の向こうで、夕日が世界を赤く照らしながら沈む。
あれだけ青かった海と空が赤に染まりあがった光景を眺めながら、ソラ達は砂浜を歩いていた。
「楽しかったー!!」
ソラが満足そうに背伸びをしている様子に、リクとカイリはクスクスと笑い出した。
「ソラは何時まで経っても子供だな」
「ホント! 世界を救った勇者とは思えないよねー?」
「なんだよ、二人とも!!」
リクとカイリの言葉を聞き、ソラは思わずむくれてしまう。
そんなソラの様子に、二人はさらに笑い声を上げる。不満そうなソラだったが、次第に笑顔になっていった。
そうして三人の笑い声が辺りに響いていると、不意にソラが笑みを消して足を止めた。
「あれ?」
「どうした、ソラ?」
足を止めたソラに、リクが声をかける。
ソラが目を向ける波打ち際を見ると、そこには一人の女性が海を眺めるように立っていた。
肩より少し長い金髪に、黒のワンピースにスパッツ、さらには黒の長い手袋にブーツを着ている。
この人物に、思わず三人は顔を見合わせた。
「あの人、島じゃ見かけない人だね…?」
「まさか、外の世界の人か!?」
カイリが確認するように呟いていると、ソラが目を輝かせながらその女性の元に走っていく。
すぐにリクとカイリも追いかけると、未だに海を見る女性にソラは話し掛けた。
「あのっ!!」
ソラの声にようやく気付いたのか、女性はゆっくりと振り返る。
焦点が合っていないボンヤリとした海を思わせるサファイアの瞳に見つめられ、ソラは一瞬何かに惹かれる感覚が過ぎる。
しかし後ろからの二人の足音で我に返り、ソラが軽く首を振っていると女性が口を開いた。
「あなたは…?」
「俺、ソラ!! で、こっちはリクとカイリ!!」
「それで、あなたは?」
カイリも名前を聞こうと声をかけると、女性はソラを見つめながら呟いた。
「光…封じる力…」
「え?」
突然の言葉に、ソラは首を傾げる。
その間にも、今度はリクを見て目を細くする。
「この世界を、傷つけた力…」
「――ソラ、カイリ!! 離れろっ!!!」
ポツポツと呟く女性から只ならぬ雰囲気を感じ、リクは二人に叫ぶ。
直後、三人の足元で激しい水流が現れ上空に飛ばされた。
「「うわぁ!?」」「きゃあ!!」
そのまま三人は砂浜に叩きつけられるが、地面よりは柔らかいのでそんなにダメージはない。
すぐに三人は立ち上がると、ソラとリクは手に光を纏わせてキーブレードを取り出しカイリを守るように前に立つ。
そうして戦闘態勢を整える二人に、女性はさらに睨み付けた。
「――見つけた…!! 我を害する忌まわしき者達め…!!」
怒りや憎しみが篭った声で呟くと、女性はスッと前へ手を翳す。
するとその手に青い光が纏い、やがて三又の槍へと変化した。
「澪を司りし御子―――リリスが、直々に制裁をくれてやろうっ!!!」
女性―――リリスが二人に槍を振り下ろすと同時に、戦いの火蓋が切られた…。
さて、場所―――いや、時代は十年前へと遡る。
ここは、元・キーブレードマスターである魔法使い―――イエン・シッドが住む不思議な塔。
その入口から、栗色の髪を逆立てた少年―――ヴェンが出てきた。
「はぁ、はぁ…!」
走りながら階段を降りると、その手を光らせてキーブレードを取り出した。
「ミッキー、待ってろよ!」
イエン・シッドに見せて貰った映像で見た荒野で傷つき倒れているミッキーを思い、ヴェンはキーブレードを翳す。
そうして、異空の回廊を出す為にキーブレードの切っ先が光り出し、一閃の光が現れる…――筈だった。
だが、切っ先が光り出した瞬間、キーブレードが何かに弾かれたように光り出しだ。同時に、キーブレードは手の内から消えてしまった。
「えっ!?」
いきなりの事に驚いていると、ふと横から気配がした。
振り返って見ると、そこには足元まである銀髪に銀色の瞳をした、全身を包む布のような白と銀の服を着た少女がこちらに手を翳していた。
何処か神秘的な雰囲気を纏う少女に、ヴェンは警戒も忘れて呟いた。
「誰…?」
「今は教えられぬ」
少女は鈴のような音の声で短く言うと、軽く手を横に振る。
すると、ヴェンの後ろに澄みきった蒼い光が現れた。
「ええっ!?」
「すまない、今は説明する時間が無いのじゃ…」
少女の呟きと共に、ヴェンは蒼い光に吸い込まれていく。
どうにか抵抗しようとするが、その力は強くもうすぐ光の中に入ってしまう。
ヴェンは必死で少女に目を向けると、瞳に悲しそうな色を浮かべていた。
「――頼む…この世界の未来を、守ってくれ」
その言葉を最後に、ヴェ
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