「待て!!」
「逃がしてやれ。お前達の力量なら、苦になる相手じゃないだろ」
アクアが追おうとするが、セヴィルがやんわりと止める。
仕方なくアクアが足を止めると、クウが腕を組んでセヴィルを睨んだ。
「で、用って何だよ?」
このクウの問いに、残りの五人もセヴィルに目を向ける。
この場にいる全員が注目する中、セヴィルはクウを見ながら口を開く。
「灰色の髪に青い目のキーブレード使いの少年を知ってるか?」
「「キーブレード使い!?」」
新たなキーブレード使いの存在を口にしたセヴィルに、思わずテラとアクアが聞き返す。
他の人達も驚いたり訝しんだりと表情を変えるが、クウは何処か呆れた目でセヴィルに言い返した。
「知らねえよ、そんな奴」
「その様子だと、本当に知らないようだな…まあいい」
やれやれと肩を竦めると、セヴィルは手を広げて『闇の回廊』を作る。
本当にそれだけを聞いて去ろうとするセヴィルに、釈然としない何かが湧き上がってクウは彼の後姿を睨みつけた。
「あんた、一体何なんだよ…!?」
そうして漏れた言葉に、セヴィルの足が止まる。
彼は振り返ると、クウに向かって軽蔑の眼差しを送った。
「そう言うお前は、何で動いているんだ?」
セヴィルから放たれた言葉に、クウは怯える様に目を見開くと顔を逸らす。
「今のお前は変わり過ぎだ。がむしゃらに逃げて、自分を偽って、さまざまな物を失って……これが、お前の望んだ事か?」
離れていても分かる失望の声に、テラ達は不安そうにクウに目を向ける。
「あんたには…関係ない」
まるで絞り出す様に声を出すと、ゆっくりとセヴィルを見る。
さっきまで怯えのあった黒い瞳は、何かを決意したように揺るぎがない。
「この行き着く果てが光でも闇でも…――俺は俺の道を行く、ただそれだけだ」
心に秘めたクウの決意に、セヴィルの脳裏に昔の記憶が過る。
「その決意、11年前と同じだな…」
かつてある場所で対峙し、始末するために戦い、そして負けた。
その去り際に放った言葉と同じ事を言うクウに、懐かしさと共に嬉しさが込み上がる。彼の中で、自分の教えが生きている事に。
クウは一生、自分を師として認めない。もちろん、それは自分も同じだ。それでも師としていたいのは…彼が“親友”の弟子だからだろう。
フッと気づかれないように笑うと、再びセヴィルは背を向けて最後の言葉を送った。
「またな、クウ。その時は…――全力で戦えるといいな」
それだけ言うと、セヴィルは『闇の回廊』に足を踏み入れる。
こうして闇と共にセヴィルも消えた事で、彼らの戦いが終わった。
「チィ…! あのやろ…!!」
「クウさん…」
苛立ちを混じらせて舌打ちするクウに、レイアは何も言えずに顔を俯かせる。
他の人もどうしていいか分からずに顔を逸らしていると、今まで黙っていたウィドが近づいた。
「クウ、でしたか…あなたは、姉さんを―――スピカを知っていますか?」
「え…!?」
ウィドの問いに、クウは大きく反応する。
「知っているんですね?」
クウの動揺に、確信を得たのかウィドは目を細くする。
他の人も注目すると、クウは辛そうな表情で頭を下げた。
「悪い…知らない」
期待を裏切る言葉に、ウィドは苛立ちを露わにしてクウの襟袖を乱暴に掴んだ。
「嘘言わないで下さいっ!!! セヴィルは姉さんを知っているんです!!! あなただって、何か知っているんでしょうっ!!?」
「本当だ…俺は、スピカについて何も知らないんだ…」
怒りを爆発させて怒鳴るウィドに対し、クウはただ悲しそうに呟く。
そんなクウに、ウィドは納得しない表情で乱暴に手を放した。
「…分かりました。今は、そう言う事にして置きましょう」
そこで言葉を切ると、突き刺さる視線でクウを睨みつけた。
「ですが、私達はまた会う事になります。その時には、絶対に教えて貰いますから」
最後に釘を刺すように言うと、ウィドは背を向けて駅前広場の方へと歩いて行った。
「ウィド!? 待って!!」
一人で先に進むウィドに、慌ててゼロボロスが追いかける。
アクアも二人を追いかけようとしたが、数歩歩いた所でテラに振り返ると何処か申し訳なさそうに顔を逸らした。
「テラ、ごめん…私も、彼を追いかけるわ…」
「分かってるさ。俺も今は彼をほおって置けないからな…」
テラも頷きつつ、暗い顔で俯いているクウを見る。
若干空気が重くなるが、アクアはゆっくりと口を開いた。
「また、会えるよね…?」
「ああ…また会おう」
「うん、また…」
簡単だけど、今の二人にとって何よりも叶えたい願い。
そんな約束を交わすと、アクアは二人
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