―――時は、レプセキアが決戦場に染まる少し前に遡る…。
「少し、いいか?」
テラ達との戦いから帰還し、部屋で傷を癒すフェンに声をかけられる。
振り向くと、金髪金目の男が腕を組んで立っている。この人物に、フェンは『ポーション』を飲みながら訝しげに答える。
「何、“アウルム”。今機嫌が悪いんだけど?」
「ならば、憂さ晴らしに例の少年と戦ってみないか?」
アウルムと呼ばれた男の誘いに、フェンは顔を上を向けながら記憶を引き出した。
「ああ…あのキーブレードを持ったガキの事? でも何だって」
「気になってな…――あの少年も彼女の差し金だと思ったのだが、その痕跡は無かった。しかも、話によれば過去ではなく未来から来たと言う。しかも、異世界のな」
「つまり、どう言う事?」
フェンが先を促すと、アウルムは軽く息を吐いてから話を続けた。
「あの女側の敵でも、彼女の勢力でもない者が干渉している可能性があると言う事だ。我々があの女に影から協力しているように、何者かが彼女の勢力に影から協力するようにな。最も、エンもそれに気づいてはいるが」
「へぇ…で、そのガキがいる場所は分かっているの?」
「ああ…」
辺り一帯が闇に包まれた場所に浮かぶように存在する白い道を、シャオは歩き続ける。
そうして道の最果てまで来ると、奇妙な形をした不思議な城に辿り着いた。
「うわぁ…! すごいお城だ…」
闇と白しかなかった場所に存在する大きな城に、シャオは大きく目を見開いて見上げる。
外から見る限る、あちこちがあり得ない形状で建築されている。一体、どのように構成ているのか分からない。
シャオは城に取りつけている大きな扉を開き、中へと踏み入れた。
「中も広い…」
大理石で作られたような白い部屋に、シャオは辺りを見回す。
そうして進んでいると、妙な感覚が包み込んでとっさに頭を押さえる。
「うっ…!?」
まるで視界が歪んだような感覚が襲い掛かり、シャオは目を強く押さえつける。
どうにかその感覚を振り払うと、目の前にある階段の先にある扉を見た。
「何処か、休める場所でも探そう…」
そう呟くと、シャオは階段を上って扉を開く。
同時に、扉から光が差し込んでシャオを包み込んだ。
光が収まり、シャオはゆっくりと目を開ける。
すると、窓から夕日が差し込む石造りの廊下が広がっていた。
「ここ、どこ…?」
シャオが辺りを見回し、状況を確認する。
前と後ろにはドアと磨り硝子の窓がある廊下、そして近くに上と下に行く階段がある。
ここまで確認すると、シャオは不思議そうに首を傾げた。
「何だろ…妙に見覚えがあるような…?」
そうして思い出そうとしていると、下の方で足音が聞こえてくる。
「早くしろよ!」
「もー、分かってる!」
何処か聞き覚えのある声に、シャオは足音を立てないように階段を下りる。
そぉっと隠れながら覗き込むと、驚くべき光景が目に入った。
「遅いぞ、二人とも」
「悪い、ウィド先生の補習があってさ」
「まあまあ、いいじゃない。さっ、アイスでも買いに行こう」
咎める銀髪の少年に、謝りながら笑う茶髪の少年。そんな二人を宥めて先を行く赤髪の少女。
この三人に、シャオは身体を震わせた。彼らが誰なのか、知っているから。
「何で、昔の伯父さん達が…!?」
昔、ハイネ達と同じように写真に写っていた―――ソラ、リク、カイリの姿に、シャオは震えが止まらない。
思わず目を逸らしていると、ハッと何かに気づいて顔を上げた。
「じゃあ…ここ、学校っ!? 何でお城の中に!?」
自分の世界にある筈の校舎がこうして存在する事に、驚きを隠せないシャオ。
そうこうして居ると、三人の笑い声が遠くに響く。だんだん離れているのに気づき、シャオは焦って階段の手すりを握った。
「とにかく、追いかけなきゃ!!」
手すりを使い、シャオは階段を一気に飛び降りる。
すぐに三人を探すと、校舎の玄関の扉から外に出ていた所だった。
「伯父さん!?」
シャオは急いで駆け出し、後を追おうと三人が出て行った扉を開く。
だが、校舎の外に出た筈なのに何故か明るい室内に入っていた。
この光景にシャオが目を見開いていると、目の前に三人の人物がいた。
「ヴェントゥス、って言うんだな…――俺はテラ、彼女はアクアだ」
「テ、ラ…アク、ア――」
「よろしくね、ヴェントゥス」
優しく笑いかけるテラとアクア。そんな二人を虚ろな目で見るヴェンを見て、シャオは後退りする。
「何で、テラさんとアクアさんも…?」
無意識に疑問が口から零れていると、三人がシャオに気づいて振り返った。
「あら? あなた、新しく
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想
TOP
掲示板一覧
ゲームリスト |
ゲーム小説掲示板
サイト案内 |
管理人Twitter
HOME