怒りのオーラを身に纏い、三人を睨むシャオ。
先程までと打って変わったシャオの変化に、フェンとマリェースは訝しげに身構える。
そんな二人を見て、シャオは弓に手をかけて叫んだ。
「これは、ボクが手に入れたキーブレードだ!! 作り物なんかじゃないっ!!!」
「黙って聞いてれば…作り物が調子に乗るなぁ!!!」
シャオの言葉に怒りを覚えたのか、フェンは怒鳴りながら魔法を放とうとした。
「『ウィングアロー』…最大出力っ!!」
しかし、すぐにシャオが幾つもの光の矢を扇状に放つ。
思わぬ攻撃に、すぐにフェンは攻撃を中断しマリェースと共に矢を避ける。
だが、その時にはシャオは次の行動に移っていた。
「『ウィングレイド』!!」
「ぬぉ!?」
フェンを標的としているのか、シャオは何と弓を投げつける。
回転しながら迫る弓をフェンは身を低くしてギリギリで避けると、弓はブーメランの要領でシャオの手に戻っていった。
「弓を投げるなんて、なんてガキだ…!!」
「言い忘れてたけど、『フィルアーム・モード』は――」
冷や汗を掻くフェンに言いながら、弓を光らせる。
そうして横に振って光を霧散させると、何とガンブレード型のキーブレードに変化した。
「もう一種類あるんだっ!!! 『ブリザドバレット』!!」
シャオは剣先を向けて引き金を引き、氷結の弾丸を素早く飛ばしてフェンにぶつけた。
「くそっ…!!」
「貴様ぁ!!」
攻撃の当たった部分を押さえるフェンに、マリェースが腕を刃に変えて向かう。
それを見て、シャオは一回転して周りに赤い光を出現させて引き金を引いた。
「『フェイテッドサークル』!!」
赤い光を起爆させ、爆発で身を守ると共にマリェースを一気に吹き飛ばした。
「がはっ…!?」
「大人しくしててよね、今のボク最っ高に機嫌が悪いんだから」
地面に倒れるマリェースに、何処か冷めた目でシャオはそう言う。
そんなシャオを、フェンもまた冷めた目で見ていた。
「さすがは、作り物だな…」
「うるさい、黙れ…!!」
フェンの放った言葉に、シャオは思いっきり睨みつける。
だが、それに怯む事も無くフェンは馬鹿にしたように笑い返した。
「何言ってるんだ? 大体、その能力は全部他人の者なんだろ? お前自身の物は何もないんだ」
「そんな事、ない…!!」
「じゃあ、今までの光景はどう説明するんだ? 妙な変化する前から、お前自身の記憶は映っていなかったんだろ?」
「それは…!!」
今までの幻を思い返し、シャオは顔を俯かせる。
この部屋で作り出されていた記憶の中に、自分は何処にもいなかった。全て、他者の記憶しか映っていない。
何も言い返せなくなったシャオに、フェンは更に言葉を畳み掛ける。
「結局、お前は作り物…――人形は人形のままなんだよ」
「あ、あぁ…!!」
顔に絶望を浮かべ、シャオはキーブレードを落として膝を付いてしまう。
もはや何もする事が出来ず、茫然と目を見開くシャオ。それを見て、フェンは歪んだ笑みを浮かべて近づいた。
「一つ、教えてやる。人形ってのはな、遊ぶ為にあるんだ…――最後には飽きて、捨てて、壊れるまでなぁ!!!」
「ぐわあぁ!!?」
シャオは頭を掴まれ、思いっきり床に叩きつけられる。
思わず悲鳴を上げるが、フェンは更にシャオを叩き続ける。
「お前みたいな人形がキーブレードに選ばれた? 俺は認めねえ……認めてたまるかぁ!!!」
「うっ…!! ぐはぁ!! がっ!?」
「てめえみたいに意思を持った人形は人間じゃない…――化け物なんだよっ!!!」
「げふっ!? あがぁ!!」
何度も何度も叩きつけられ、シャオの意識が痛みに蝕まれて朦朧となる。
そんな時、一際強い衝撃がシャオに襲いかかる。
どうにか視線だけ上げると、何とフェンが自分を床に押さえつけてあの金色の剣を振り上げていた。
「化け物は封じてやるよ…――この剣でなぁ!!!」
そう叫ぶと同時に、剣を振り下ろす。
それをシャオは虚ろな目で見ながら、別の事を考えていた。
(ボクは、人形…化け物…――本当のボクは…誰なの…?)
今にも迫る剣に恐怖も怯えも感じず、ただそれだけを考える。
そうして、シャオは剣に斬り裂かれる―――直前、甲高い金属のぶつかりあう音が響いた。
「なっ…!?」
「あいつは!?」
驚くフェンとアウルムの声に、シャオはボンヤリとしてた焦点を合わせる。
フェンの握っていた剣は、弾き返されたのか後ろの方で突き刺さる。ここでようやく、押さえつけている筈の腕が放されているのに気づく。
そして、自分の目の前には黒と白の翼を持った人影がフェンに向かって足を振り上げていた。
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