「集いて滅ぼせ―――『鍠刃滅星』!!」
第五島へ向かう一行。突破は光の翼『煌翼(センチュリオン)』を広げながら、クェーサー一人が行っていた。
彼女の指示で無駄な力を突破に費やすことを考慮しての事であった。彼女一人での突破に最初は誰もが不信がって居たが直ぐにその不信は払拭された。
煌かんほどの光弾がハートレスを悉く打ち砕き、攻勢が弱まる。すると、彼女の元に駆けてくる残光を走らせる流星を見て、前進を止めた。
凛那たちが立ち止まろうとしたが、それをさえぎるようにクェーサーは言った。
「―――凛那、敵が来たわ。此処から先は任せるわ」
「解った。皆、先に行くぞ」
彼女の言葉に、反対をあげるものは居なかった。今、そのような悠長なことも許されないことも。
駆けだして来る『流星』に、凛那は覚えがあった。クェーサーが語っていた『妹』。
進んで行った凛那らを尻目に、クェーサーは迫り来た流星に刃を向ける。
「――アトス!!」
「姉さん……」
彼女の呼びかけに流星は姿をさらした。
だが、今の彼女の顔には支配の証の仮面を付けられていた。カルマに支配されていた時、救い出したかった。
それを果たしたかった。それを今果たすことが出来る。
「来なさい」
クェーサーが静かに告げると、アトスは彼女と似た光翼を広げ、更には数人の『アトス』を具現化する。具現化された彼女らは一斉に彼女へと斬りかかってきた。
上甲板防衛チームは周辺防衛のメンバーが倒し損ねたハートレスの群れや押し寄せてくる、ハートレスを撃破していた。
「はああああっ!」
キーランスを手繰る青年ラクラは力を纏い、馬上槍を模したキーランスの一突きが自身の倍はある体躯のハートレスの身体を大きく貫き、消し飛ばす。
更に、間髪居れずに十文字槍を模したキーランスに持ち替え、大きくなぎ払い、自分は呼吸を整える。
「――っ一人は戦えず仕舞いか?」
「仕方ないんじゃない?」
激しい上甲板での戦闘の中、キサラの姿を捉えた。酷く怯えた様子で、身を守るのに精一杯なのが見て取れる。
すると、彼の言葉を返す女性の声と共に、無数のハートレスを空中で撃破し、上甲板に優美に着地したフェンデルが言った。
「話に聞くとトラウマレベルの傷らしいし。せめてもの救いは――――っ!? んー……防御を……うまく発動してくれるところかしら?」
彼女の背後を襲いかかってきた腕が剣と一体化したハートレスの不意打ちを受けそうになるも、薄いガラス上の結界によって防がれた。
不意打ちを繰り出した腕は粉々に砕け、崩れかかると共にラクラによって刺しぬかれて消滅した。
結界を発動している人物―――キサラは上甲板でヴァイと共に戦闘をしている―――と言っても、身動きできず必死に光の魔法による防御術で自分たちを守りを徹し、ヴァイが迫るハートレスを蹴散らしている。
数え切れない程のハートレスを倒していく中、ラクラは思わず呟いた。
「……この数、異常だな」
「ええ……撒き餌でもしたのかしら」
フェンデルも口だけではなく槍を振るいながら、同意した。ラクラは彼女の発した言葉に怪訝な顔を作る。
「撒き餌だと?」
「でなきゃこんなにハートレスがうじゃうじゃうじゃうじゃ―――群がるはずないでしょ!?」
「だな…」
このハートレスのたかり様は異様だった。
大多数のハートレスの群れが攻め入ってくる。迷いなく突っ込んでくる。
何処かおかしい。
「ミュロス、こいつらは……『ハートレス』だよな」
ハートレスの攻撃をかわして、ラクラが討ち取った。抱いた疑問を彼女に尋ねた。
ミュロスは様々な知識が豊富な女性だった。彼女も何処か不信に思っていたようで、納得するように頷いた。
「ハートレスよ。厄介なのはハートレスを無尽蔵に作り出すアレ」
ミュロスの見た遥か先には黒い穴からハートレスが爛れるように現れている。
ラクラたちは息を呑んだが、構わずハートレスは攻め寄せてくる。
「―――怖い…怖いよ」
そう呟きながら、怯え惑いながらも、必死に防御の結界で身を守り、怯えているキサラと必死にハートレスを蹴散らすヴァイ。
ヴァイはそんな彼女を優しく慰めたりする。だが、
「大丈夫だか――っきゃあ!」
「ヴァイ!?」
僅かな隙を狙ってハートレスがヴァイを殴り飛ばした。大きく床に打ちのめされ、立ち上がろうとするが伏してしまった。
ラクラたちも直ぐに掛けだそうとするが、無数のハートレスが一斉に四方八方からヴァイに牙をむく。
「ヴァイッッ!!!」
「っ、やめてええええええええええええ――――ッッ!!!」
神無、キサラの悲鳴と共に、彼女の頭の中から響くような声が聞こえ
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