次々に繰り出される少年の素早い攻撃に、さすがのリリスも軽く舌打ちする。
どうにか隙を見て少年と距離を取ると、横に薙ぎ払うように槍を振った。
「喰らえっ!!」
「しまっ――」
「『ラグナロク』!!」
不意を突かれ、少年は思わず動きを止めて目を見開く。
しかし、横から聞こえた声と共にリリスの後ろから幾つもの螺旋する光弾が襲い掛かった。
「きゃあ!!」
攻撃の途中だったためか、リリスは防御も出来ずに光弾に喰らいつかれてしまう。
すぐに少年は攻撃が飛んできた方を見ると、『ラグナロク』を出し終えたソラが砂浜に着地していた。
「君は…」
ソラを見て、少年の中に妙な懐かしさが溢れてくる。
それはソラも同じなのか、少年を見て不思議そうに首を傾げる。
しかし、今やるべき事を思い出したのかソラが笑顔を作って叫んだ。
「俺はソラ!! お前はっ!?」
「俺は、ヴェントゥス!! ヴェンって呼んでくれ!!」
「そっか!…じゃあ、ヴェン!!」
「ああ!! 一緒にやるぞ!!」
二人は同時にキーブレードを構えると、体勢を立て直したリリスを睨みつける。
そんな二人に、リリスはギリッと歯を食い縛った。
「舐めたマネをっ!!」
怒りを露わにして、二人に向かって槍を振るう。
その攻撃を、二人はかわしつつリリスに攻撃を仕掛ける。
「燃えろっ!!」
「そんなの――」
ソラが至近距離で巨大な炎を周りに出して攻撃するが、リリスが後ろに避ける。
「喰らえっ!! 『エアリルブレイク』!!」
だが、そこを目掛けてヴェンは軽く飛び上がって思いっきりキーブレードを振り下ろす。
思わず槍で防御して受け止めると、ザッと砂を踏み込む音がした。
「そこだっ!! 『ストライグレイド』!!」
「なっ…あぐっ!?」
ソラの投げたキーブレードが回転しながら防御しているリリスの横に当たり、思わず怯んでしまう。
「まだだっ!! 『ホーリーライズ』!!」
「俺もだ!! 『ラストアルカナム』!!」
「きゃああ!?」
ヴェンから放たれる光とソラの怒涛の攻撃に、リリスは耐え切れずに悲鳴を上げる。
まるで昔から一緒だったと思えるほど二人の息はピッタリで、戦いを見ていたリクとカイリでさえも口を半開きにさせている。
「うぐぅ…!?」
二人の流れるコンビネーションに、とうとうリリスが膝を付く。
このチャンスに、すぐにソラが声をかけた。
「ヴェン、一緒に!!」
「行くぞ、ソラ!!」
そう言って二人は地を蹴って飛び上がると、キーブレードの先端に光を集めた。
「これで――」
「――トドメだぁ!!!」
光を最大限にまで溜めると、二人は同時に光弾を放った。
二人の放つ『ラグナロク』に、リリスは成す術もなく巻き込まれる。
あまりの多さに、着弾すると同時に辺りに砂埃が舞う。この様子を見ながら、ヴェンは警戒を解かずにリリスのいる場所を見た。
「やったか!?」
ソラも声を上げつつ警戒を解かずに見ていると、砂埃が晴れた。
そこには、傷だらけのリリスがいた。苦しそうにうめいているのを見ると、もう戦えないようだ。
そんなリリスを、いつの間にか白い翼を持った一人の青年が両手で抱えていた。顔は白い布で隠しているのでよく分からない。
「――探しましたよ。まったく、無茶をしないで欲しいものです」
「だって…あなたが教えたんでしょ…?」
「聞きたがっていたから、答えただけです。だけど、これからは感情に任せて行動しないでくださいよ?」
青年が首を傾げながら言うと、リリスは複雑そうに顔を俯かせる。
「さあ、目覚めたばかりでまだ疲れてるでしょう。ゆっくりおやすみなさい……『スリプル』」
そう言って眠りの魔法をかけると、リリスはゆっくりと目を閉じた。
そのままリリスが寝息を立てるのを聞くと、青年はゆっくりとソラ達を見る。
布からはみ出した黒の髪に金色の瞳の青年に、ソラはキーブレードを突きつけた。
「お前、何者だ!?」
「勇ましいものですね――…何処に行っても変わらない」
「何を訳分からない事言ってんだよ!?」
何処か謎めいた青年の言葉に、ヴェンも睨みながら武器を構える。
そうして敵意をむき出しにする二人に、青年はフッと笑った。
「私達は、いずれまた逢いますよ。その時まで、精々生き延びて置きなさい」
「逃がさないぞっ!!!」
撤退しようとする青年に、ソラとヴェンが同時に駆け込んだ。
「『プロテス』」
この二人を見て、青年は即座に魔法を唱える。
魔法の障壁が青年を包みこむが、二人はお構いなしにキーブレードを振り下ろす。
だが、二人の攻撃は障壁にぶつかり青年には届かなかった。
「「え…?」
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