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第五章 三剣士編第十話「第二島攻略前編」


 第二島の神殿前では毘羯羅、イザヴェルの二人は操られた心剣士、反剣士の男女、ディアウス、プリティマと戦っていた。

「――っちぃ、分断は出来ないか」

 眼前に阻む氷塊を微塵に斬り捨てた、毘羯羅が心剣を鞘に収め、構えを作り直した。相対する二人は付かず離れずの間合いを保ちながら互いをサポートしあって戦っている。

「たぶん、あっちはもともとコンビみたいな感じだろうな」

 片手に受けた雷撃の傷を振り払いながら、傍らで立っていたイザヴェルが言った。

「でなけりゃ操られたくせに、他人の動き一つ一つ理解して動けるはずがないだろ?」

「……それも一理あるな」

 二人の動きは操られた者としては不可解と言えるほどに精妙、お互いの動きを理解したうえで行動を繰り出す。打って変わって、自分とイザヴェルは違う。
 つい先ほど顔見知りになり、こうして共に戦いの場へと躍り出た。間違いなく彼らの方がコンビネーションでの実力が上だ。

「なら、どうする?」

 次々から繰り出される雷撃、氷塊の飛礫をかわす毘羯羅、イザヴェルが駆けだしながら話し合う。
 氷塊を膨大な熱量の炎でかき消した彼が一言で断じた。

「まとめて倒す」

「……悪くないな」

 にやりと笑みを浮かべ返した二人に、ディアウスが斬りかかる。雷を纏った剣と共に、虎にも似た獣の頭部だげが無数に放たれる。
 それに反応したイザヴェルは、真っ向から挑むように両手に炎の刀剣を握り、踊りかかると共に虎の頭部を切り伏せる。その隙を縫うように、ディアウスの一撃が彼の身体へと刺し貫く。

「ぐおっ…」

「まだだ」

「ッ!」

 刺したままディアウスが冷厳に言うと、イザヴェルの全身が激しい紫電に蝕まれる。

「があああああああああぁああああぁぁぁぁぁ―――ッ!!!」

「イザヴェル!! ――くッ!」

「……」

 助け出したいところだが、既に先手を打たれている。
 プリティマが氷結の槍の穂先を連射し、すかさず毘羯羅は高速の居合いによる斬撃で叩きおとす。
 だが、全てをいなしきれず、3発ほど彼女の利き手、足、腹部に着弾し、凍りついた。

「うっ……らああ!! 瞬刃、『飛燕月』!!」」

 凍りついた腕を振り払い、衝撃波を伴って牽制する。だが、プリティマの氷塊を纏った剣でたやすく弾き飛ばされる。
 こうしている合間もイザヴェルは全身を紫電で焼き焦がされている。

「ぁあ……が、が……ッああ……」

 ぴくぴくと痙攣を起こす彼を見て、ディアウスはトドメの一押しを刺そうと一気に彼の身体から剣を引き抜いた。

「―――」

「トドメだ。帝王の剣に沈め……! ―――ッ『雷火』!!!」

 地上へと落ちて行くイザヴェルへ紫電で固めた閃光が迫った。

「イザヴェル!!!」

「―――ハッ」

 ニヤリと毘羯羅に向けて笑んだ彼は、すぐさま体勢を変えた。それに驚くディアウスだったが、構わず追い込みをかける。
 奴は瀕死だ。身体を刺しぬかれ、全身は電撃に浴びたボロボロのはずだと。

「俺を舐めるなよ? 伊達に『不死の焔』って呼ばれて無えんだよ!」

 その油断を逆手に取る。斬られようが、全身を電撃に浴びられようが、関係ない。その身は既に炎の悪魔に捧げ、加護を受けた肉体。
 イザヴェルは短剣をまるで、矢を射るように構える。すると、彼の全身から紅色の炎が出現し、形はまさに先端を短剣にした炎で固められた矢。
 繰り出された紫電の『雷火』が彼を呑み込む、その瞬間。

「『神悪の炎矢(ブルカーン)』!!!」

 彼の掛け声と共に射出された短剣の矢は閃光を撃ちぬき、一気にディアウスの右胸を刺しとどまった。致死を防ぐためとはいえ、その威力は絶大だった。

「なっ―――」

 トドメの巨大な雷撃ごと射抜かれて受けた傷を唖然と見下ろし、がくんと意識を失ったディアウスは無様に地上に落下する。

「ディアウス!!」

 流石のプリティマも思わぬ彼の負傷に声を上げる。だが、視線を彼に向けた所為に毘羯羅の『瞬刃』の的となる。

「―――『瞬刃」

「しまっ!」

 直ぐに氷の壁で阻もうとするが、氷が張り巡る前に彼女は潜り込んでいた。毘羯羅は必殺の刃に、眼光鋭く、吼えたける。

「天滅一閃!!」

 一瞬で間合いをつめ、防御不能の一閃を繰り出す毘羯羅の『瞬刃』が誇る最高威力の大技を防ぐまもなく受けたプリティマは事絶えた。

「……ふう、命まではとらんさ。お互い、操られていたもの同士だったわけだからな」

 同時に彼女の仮面は崩れ、霧散した。仮面に隠された素顔は痛みに苦しんでいる顔だったが、何処か安心したようにも見えた。
 一方のイザヴェルも落下していたディアウスを抱えて、救い出した。彼の仮面もまた散り、その素顔をさらした。

「後はあいつらか。―
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