一方、モノマキア船内へと話を切り替える。
「―――っ」
「おお、目が醒めたか」
ゆっくりと瞼をあけた『誰か』は見慣れない天井、見慣れない人を見て、と惑いを見せる。
困惑している『誰か』に、覗き込んでいた人――神無が安心したように胸を撫で下ろした。
部屋には神無のほかにミュロスが扉に佇んでいたが、『誰か』の目覚めと共に歩み寄ってきた。
「…ふむ、あなた『自分が誰か』解る?」
据わった双眸を向け、自身が手に持つ分厚い本の中から取り出した栞を『誰か』に向けた。
栞は淡い光となって砕け、その断片が『誰か』を包んだ。
「誰か……」
光に包まれる中、ふと――ある二人の後ろ姿見えた。二人は手を繋ぎ、自分の方へ一緒に振り返った。
優しさに満ちた二人の顔を見蕩れるように見つめていた『誰か』へ、二人は口を動かす。
その紡がれた言葉共に、『誰か』は己の名を唱える。
「……『ハオス・クリロミノア』」
そう名乗ると、彼を包んでいた断片が消える。
ミュロスはどこか怪訝に、しかし、その名の意味をいった。
「“混沌の遺産”、か……さしづめ、二人で一人の存在で、『子』でもあるか」
「おい…どういうことだ?」
彼女の言葉に驚く神無と、そう言われた『誰か』―ーハオスは首を傾げる。
その様子を見てからミュロスは少し困ったような顔を作る。
「どうもこうも、ハオスを構築している『すべて』がフェイトとカナリアのものだからよ。あの黒い化け物にカナリアが取り込まれて、その後にハオスが生まれた…としか言えないわね」
「そうなのか?」
「……正直言えば、私も良く分からないのよ。ここは私だけでいいから、貴方は休んでいなさいよ」
「わかった」
神無はそう言って、部屋を出ていった。戦いの疲労は少なからず感じていた。
彼――ハオスの事は気になるが今、気になってもどうしようもないと諦めたのか彼はさっさと上甲板に戻っていき、上甲板には戦っていたものたちが座り込んで休んでいた。
「父さん…さっきはごめんなさい」
父神無へと駆け寄り、反省した表情と声色で娘ヴァイは声を掛ける。掛けられた神無は気さくに笑い返す。
「無理しないでくれたら俺はそれでいいさ。――しっかりと頑張ってくれたのはよーく解ってる」
「あ、わわ…………うん」
そう言って彼女の頭をくしゃくしゃに撫でまわす。その行為に恥ずかしげに、しかし、嬉しそうに父に笑顔を向けなおす。娘の笑顔に、父は安堵する。
「じゃあ、父さんもしっかり休んでね!」
「ああ……」
ヴァイは元気そうにその場からはなれて、船内へと駆けて行った。
神無は見届けた後、座り込んで、休息をとると、黒衣の男性――ゼロボロスが彼の隣へと歩み寄り、座した
隣に座ってきたゼロボロスを神無は怪訝そうに見据える。
「よお、若い頃と比べて疲れやすいのか?」
「まあな。……一先ず休むわ」
「おう」
そう言って雑魚寝するように横たわった神無を横に、やれやれと思いつつ、ゼロボロスはレプセキアの夜空を見つめはじめた。だが、神無は瞼を閉じたまま、ゼロボロスの言葉をかみ締める。
(それでも戦うしかねえんだよ。……俺は)
ふと、過ぎった父親の姿。最初は業火を背に刀を手に持っていた姿、すぐに晩年の姿へとなった。その姿は神無の心に生き続けていた……幻影の様に。
「――……一先ずこれでいいですわ」
「ああ…すまない」
治療を受けていたのはブレイズだった。彼女は怒りから力を開放した姿『蒼炎の女神』で最前線で戦った。
攻撃を受けた感覚に気付くことなく手創を負っていた。ブレイズは治療したキサラに礼を言って、ふと不思議に思ったことを口にする。
「キサラ。一ついいか?」
「はい、なんでしょう…」
「雰囲気、変わった気がする」
的確に言われたキサラは少し表情を曇らせたが、口で語るよりも見せたほう早いと思ってから左手に力を込める。
左手より現出したのは黒い剣。感じ入る力――属性の脈動に、ブレイズは困惑を満たした驚きの表情を作り、怪訝につぶやいた。
「!! ……闇……? 馬鹿な、お前は光――」
「私もよく分からないんです。うまく説明できないという感じで……」
ブレイズは彼女の言葉に嘘を感じず、信じるように頷き返した。
その答えだけでキサラは胸を撫で下ろし、彼女に一礼してからほかの負傷しているものたちへと足早に歩いていった。
しばらくして第二島、第四島を攻略したメンバーが帰還してきた。空いている部屋に操られていた心剣士、反剣士を入れて、それぞれ急速へと移っていた。
しかし、慌しい出来事はどんな場所でも起きるというもの。まずはハオスが居る部屋から始まる。
「……」
皐
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