第五島にある神殿へと侵入した凛那たちは真っ直に続いていく回廊を駆けている。
だが、阻むように機械兵士たちが列をなして防衛線を貼っていた。オルガは面倒そうに舌打ちした。
「ちっ――くそ、固められていたか!!」
凛那たちを捕捉した機械兵士たちは戦闘態勢に入った。
「――灼け、『炎魔覇討』!!」
凛那は先陣を駆け出し、炎により凝縮された刀が通常の数倍近くの刀身となり、目一杯に振り下ろされた。巨大な炎の塊に押し潰され、機械兵士の布陣は焦土と化した。
その一撃に彼女以外のメンバーは感嘆の声を漏らす。
「おー、すげえ」
「阿呆。先を急ぐのだろう? 早に向かうぞ」
そう言って、焼き焦げた床を駆け出していった。焼き払われた回廊の果てにある扉を凛那が開ける(警戒のため)。
白色だけの広間。だが、その中央に二人の人物が立っていた。
一人は仮面をつけた老人を彷彿した雰囲気のある人物。
一人は仮面をつけた紳士を彷彿した雰囲気のある人物。
「――ほお、おぬしらが侵入者か」
仮面をつけた老人が入ってきた凛那たちを見て、口火を切った。隣の紳士はため息混じりにどこからともなくナイフを取り出した。
「悪いが容赦しない」
凛那が先走る。紅蓮を纏った鳥が甲高い啼き声と共に二人へと迫る。だが、老人が床に杖の石突を叩く。瞬時に立ち上った白い壁が炎の鳥に激突しても黒く焼き焦がしただけだった。
「!」
「ふふふ、まだまだ」
さらに石突で叩く。白い壁が無数の槍となって放射され、凛那は槍を叩き落としながら、締めに炎を纏った一撃で焼き払う。
「『素材』はいくらでも!」
「凛那! 後ろだ」
「っ――!」
「ふふ」
投げ飛んできたナイフが凛那の背後の床に刺される。瞬時に老人の杖で床を叩く。
ナイフは変異し、鋭く伸びた刃に、凛那は躱しきれずにその脇腹掻っ切られた。
声を噛み殺し、襲ってきた刃を切り伏せ、老人を睨み据える。その表情を見てか、老人はせせら笑った。同時に、紳士は手に持つナイフで彼女の周囲に投げ飛ばす。
「しまっ」
周囲に刺さったナイフを投げ払おうと爆炎纏った一刀を振り下ろそうとする。
「かかったな、阿呆が!」
カン、と杖の石突で鳴り響いた音と共に刺されたナイフが光を帯びて、白い柱となる。凛那はその中に閉じ込められてしまう。
「凛那!!」
「このっ――!」
慌ててオルガたちが駆け寄り、皐月は黒い永遠剣『斬裂王ガヴェイン』で白い柱を斬りつけるが、傷一つついていなかった。ダメージを負わない柱を愕然と見ながら、シェルリアは柱の中にいる凛那に声をかける。
「ど、どういうことよ…!? 凛那、無事なの?」
「――ああ、だが、幽閉されたようだ。すまない」
柱の中から凛那の声が聞こえ、安堵するが、シェルリアはまず戦闘に集中する。
「悪いが、おぬしらはその様になって?」
「大人しく、捕まってください――――ねッ!!」
紳士は手に雷光が走り、ナイフを握っていた。オルガたちへ擲つ。それに反応して、彼らは四散した。
(一体……どういう力だ?)
イオンは二人の能力に疑問を抱いていた。何かあるはずと思い、敵の攻撃を深く見据える。
老人は『杖で床を叩いた』時に、周囲のものを変異させて、壁や武器にして攻撃している。
紳士はまだ解らないが、投げ飛ばしたナイフは形を成して、それを介して老人のコンボとなった。
「ん――?」
イオンへと向かっていた攻勢が変わる。老人は矛先を皐月に向ける。杖の石突を叩き、白い塊が隆起する。放射された槍を彼は剣で叩き落し、老人へと斬りかかる。
しかし、それを阻むように白い壁が生えて塞がれる。前方を抑えられ、周囲から壁が立ち上る。
「くっ!!」
イオンは咄嗟に時、空間を操るキーブレード『マティウス』で周囲の時間を停止する。立ち上がろうとした壁は停止し、彼は老人から離れた。
老人は身を引いたイオンをせせら笑うように声を上げた。
「かっかっか……甘いのう」
(神月さんのとは違う力……創造、じゃない。媒介――この部屋は白い。あの老人が杖で叩いた途端に壁や剣になった)
白い壁に囲まれた凛那はイオンと同じく思考に耽っていた。無闇に力を使う事より、冷静に敵を見定めていた。
「……投げ短剣を媒介に『構築』した、か? ……となると、この部屋全体が奴らが優位になっているわけだな」
凛那は一息ついて、思い切り声を張り上げた。
「お前ら、身を守れ!!」
『!!』
イオンたちはその言葉の意味を直感で理解した。彼らは全力で『防御』に力を集中した。その声に戸惑う老人と紳士は凛那がいる白い壁の方へと視線を向けた。彼女を囲っていた白い壁が一瞬で弾け、中から茜に燃え盛る波
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