「別々に飛ばされたようね。『異空間』ともいえる此処に」
「母さま、どうしましょう…?」
同じく、別の空間へと飛ばされていたアナザ、フィフェルは周囲の様子を伺いながら歩き出した。
飛ばされた空間は菜月と違い、厳かな石造りの廊下だった。だが、奥行きはあるものの前も後ろも『終わり』が無い。
「でも――歩きっ放しってわけじゃあないようね」
「!」
アナザは苦笑を浮かべ、視線の先に居た果てない回廊で二人をSin化の仮面をつけた剣と左腕を覆い隠すような大きなの盾にも似た鉄甲を装備した女性が立っている。
それに気づいたフィフェルはアナザの前にかばうように身の丈以上の大剣を手に、構えを作る。アナザも銀と黒の刀を下ろしていながらも臨戦態勢をとった。
「悪いけど、さっさと此処から出させてもらうわよ――フィフェル」
「はい!」
彼女の一声と共に、フィフェルが女性へと斬りかかる。大剣の一振りは繰り出して左腕の鉄甲で受け止め、はじかれるが、横なぎに魔力を纏った一撃を薙いだ。
激しい衝撃を鉄甲で受け止め、フィフェルへ剣を振り下ろそうとした。だが、その頭上からアナザが刀を手に飛び掛ってきていた。
「光よ…!」
「なに――っ」
「きゃっ!?」
女性は振り下ろさず掲げるように突き上げ、同時に彼女を守るように光の結界の柱が立ち上り、アナザの攻撃とフィフェルを弾き飛ばした。
「――光よ、放て! 『光火烈弾』!」
結界の光が欠片となって崩れ落ちる。だが、その欠片一つ一つが炎熱帯びる光弾となってフィフェルとアナザへと放たれた。
「『虚闇』――!」
銀黒の刀を擲ち、地面に突き刺さる。同時に薄暗い壁が広がって女性が放った光弾の礫を全て打ち消す。
その防御に女性は驚きの声を小さく洩らした。
「攻撃が…」
「残念ね。その程度じゃあ私を守る帳――『虚闇』は突き破れないわよ」
せせら笑う様に刀を引き抜いたアナザが言った。フィフェルも彼女の傍まで戻っていた。
「……だけど、このままにらめっこでもするつもり?」
「ははは…面白いけど、私たち―――急いでるのよね。あ、そうだったわ。あなたの名前は何だったかしら。私はアナザ、この娘はフィフェルよ」
アナザは薄闇の結界の向こうから自分と娘に等しいフィフェルの名を名乗った。
フィフェルも母に等しい彼女の言葉に従い、小さく礼する。女性は呆れながらも、再び自身の周囲に光弾を配置し、再度攻撃をする姿勢をとるも礼儀に応じた。
「私の名前はギルティス。そんな結界、最大火力で突き破るわ」
光弾の配置が円をなし、更なる光の収束と力の胎動を高鳴らせる。
アナザはまずは一礼し、
「そう、まずは名乗ってくれて謝すわ。――でも、そう簡単には行かないわ。フィフェル、お願い」
アナザは剣を地面に刺し、フィフェルに声をかける。。
「はい。―――わが魂、この現し身、全てを貴女に」
フィフェルは彼女の言葉を全てを理解する。彼女の体が光に包まれ、その体を変異する。
それは彼女が握っていたほどの大きさ、優美すら思える刀身をした朱色の大剣となり、アナザはその柄を両手でしっかりと握り締め、更には軽々と持って構えをつくった。
同時に、
「『オーバーレイ・ホーリネス』!」
激しい炎熱の破壊光が闇色の結界を貫く。
「――『闇荒の銀熾斬(プルートゥ・エクプリス)』ッ!」
アナザへ届く寸前、迎え撃つように渾身の一振りを振り下ろした。
振り下ろされた一撃は破壊光を両断し、続けざまに魔力を纏った斬撃を伴って振り上げた。
「まだ、まだああっ!!」
放たれた衝撃波を彼女は光を纏った左腕の鉄甲で殴りつけ、ギルティスへと放たれた『闇荒の銀熾斬』は強化された鉄甲の一撃で消滅した。
アナザは驚いた顔をしたがすぐに真剣な顔色になり、彼女を見据える。
更に敵を見据える事で気づいた事がある。攻撃を弾いた鉄甲はまったく持って無傷だが、その内から血が勢いよく滴り落ちる。
「……無敵の防御力、ってほどじゃあないのね」
「それでも私は戦い続けないといけない。―――躊躇いはお互いに不要よッ!!」
仮面の下、血反吐を吐くような叫びをあげるとと、剣の刀身に光が纏われる。
一目で殺傷力を高めたようだった。そして、彼女は驚異的な速さでアナザへと斬りかかった。
『母さま…』
「そうね。ある程度の制限、操られているだけで意識、意思はそのままだったわね」
左手で大剣を持ち、空いた右手で刺していた銀黒の刀を引き抜いて迎え撃った。
大剣による強大な一撃を誇る一振りを左腕を犠牲してでも鉄甲でガードし、すかさず剣で切り裂く。
「――ッ!」
引き裂かれた箇所は腹部で、アナザは銀黒の刀でギルティスを追い
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想
TOP
掲示板一覧
ゲームリスト |
ゲーム小説掲示板
サイト案内 |
管理人Twitter
HOME