最近になって、一つの夢を見る。
深い、深い海の底で漂う夢。とても苦しくて、悲しくて、痛くて…何も見えない。
まるで闇の中にいる私を、一つの光が照らしてくれている。
それはとても暖かくて、眩しくて、それでいて優しい。
手を伸ばしても触れる事は出来ない。それでも、良かった。
光に手を伸ばせば、とても優しくて懐かしい声が私を包んでくれるから。
あなたは誰? 何処にいるの? どうして闇の中でも光れるの?
会いたい。この光であるあなたに、会いたい…。
辺りが真っ暗な場所を、必死で駆ける。
少しずつ、息が切れる。足も疲労が溜まり、重くなる。
それでも、逃げる。だけど、どれだけ走っても、出口は見当たらない。
そんな自分に、少しずつ、確実に、闇が迫ってくる…。
「―――ッ!?」
直後。目が覚めて、飛び跳ねる様に起き上がる。
息を荒くし、胸を締め付ける様に掴むと何処か怯えを見せて辺りを見回す。
薄く窓から星の光が入った、少し暗い部屋。隣にある二段ベットには、下の段にソラが、その上でヴェンが小さく鼾を掻いて眠っていた。
「はぁ…はぁ…!! 夢…!?」
この二人の姿を見て、ようやくリクは先程の光景が夢だと気づく。
少しずつ落ち着きを取り戻すと、汗ばむ額を手で拭いゆっくりとベットから立ち上がる。
隣で眠る二人を起こさないよう部屋を出ると、何処か覚束ない足取りで廊下を歩いた。
「喉が乾いた…水は…」
カラカラに乾いた喉を押さえつつ、休憩室へと足を運ぶ。
やがて休憩室に辿り着き自動でドアが開くと、そこには先客がいた。
「オパール…?」
休憩室のテーブルの一つで、オパールは寄り掛るように腕を組んで眠っていた。
リクが近づくと、オパールは何枚もの紙を散乱させた状態で眠っている。よく見ると、彼女の顔が紙の束を下敷きにしている。
「これは――?」
「んうっ…」
リクが散乱した紙の一つを持った直後、オパールが身じろぎする。
思わず目を向けると、瞼を擦りながらゆっくりとオパールがこちらを見て―――顔を一気に真っ赤にさせた。
「――きゃあああああああああああああっ!!!??」
「ごぶぉ!!?」
甲高い悲鳴と共に、リクの顔面に拳がクリティカルヒットした。
あまりのダメージに顔面を押さえて膝を付いていると、オパールは状況が理解出来ないようで顔を赤くしてあたふたしている。
「んなななっ…どどどどどどっ!?」
「悪い…驚かせた…っ!!」
「そ、そりゃあ驚くわよぉ!!! い、いきなり顔が近くに…!!」
リクが痛みで震えながら謝ると、ようやくオパールも落ち着きを取り戻したのか顔を俯かせる。
それから座り込むと、殴った所を治そうと『ポーション』を取り出してリクの顔に手を伸ばす。
その時、廊下からドタドタと足音が響いてくると部屋のドアが開いた。
「オパール、どうし…た、の…?」
「大丈夫、か…?」
「…何やってんだ、二人とも?」
カイリ、ソラ、ヴェンが部屋に入ってくるなり、蹲ったリクと手を伸ばすオパールを見て目をポカンとさせる。
二人も何とも言えない表情を作っていると、カイリがハッと顔を上げた。
「まさか、リク…!! オパールの寝込みを「「襲ってないっ!!!」」ふ、二人して言わなくても…」
「なあ、リク。『ねこみをおそう』ってどう言う意「「あぁんっ!!?」」ナンデモアリマセン…!!」
即座に二人から否定され怯むカイリに、意味が分からずにソラが聞こうとしたが二人から睨まれて縮こまってしまう。
こうして二人が有無を言わせぬ空気を作っていると、ヴェンは首を傾げながら話を戻した。
「結局…二人とも、何してたんだ?」
「お、俺は喉が渇いたから水を飲もうと思って…で、オパールが何かしながら寝てたから…」
「あ…もしかして、コレの事?」
リクの説明に、オパールは立ち上がるとテーブルにあった紙の束を纏める。
それをリクに渡すと、気になるのか三人も一緒に覗き込んだ。
「何、この紙の束?」
「ちょっとしたレポート書いてたの。この旅の事とか、敵や今までの情報をいろいろ纏めてあるのよ」
ソラの問いかけに、何処か得意げに説明するオパール。
リクが軽くページを捲るとそこにはびっしりと文字が書かれてあり、ページを捲るごとにこれまでの事や今まで倒してきたハートレスやノーバディの情報が纏められていた。
「すごいな…こんな事を一つ一つ書いて纏めているのか…」
「そ、そう…? こんなの、誰だって出来るわよ…」
「でも、何でこんな事を?」
リクに褒められてオパールが顔を赤くしていると、ヴェンが不思議そうに質問する。
すると、オパールは呆れた溜息を吐くと頭を押さえた。
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