洞窟の中は煌めいているのに、先に進むにつれて何処か不穏な空気が漂っている。
それを肌で感じつつ、五人が警戒しながら歩いていた時だった。
「――キャアアアァ!!」
突然、奥の方で少女の悲鳴が響き渡る。
これを聞き、ソラは焦りを浮かべてリクに振り返る。
「リク、今の悲鳴!?」
「あっちか!?」
悲鳴のした方を見て、すぐに五人は駆けだす。
丁度壁に空いた穴ような道を潜り抜けると、足場が広い場所に出た。
「皆、あれっ!!」
それと同時に、カイリが前方に指を差す。
見ると、魚やクラゲのようなハートレスが座り込んでいる少女の周りを囲んでいる。
「ハートレス!!」
「青い髪と目をした女の子…あの子がリリィか!?」
ソラがキーブレードを取り出すと、ヴェンも少女を見てキーブレードを取り出す。
その時、腰を抜かして蹲っている少女にハートレスが一斉に飛びかかる。
それを見たリクは、一気に駆け出してキーブレードを振るってハートレス達を消し去った。
「大丈夫か!?」
「ハ、ハイ…!」
キーブレードを下ろしてリクが声をかけると、少女は戸惑いつつも頷き返す。
少女を見ると、腰まで伸ばしたストレートの青い髪に深い青い目をしている。服装は白い半袖のブラウスにピンクのチェックの入ったミニスカートを穿いている。
少女を立ち上がらせようとリクが手を伸ばした途端、再びハートレスが現れる。すぐに構えると、ソラとヴェンも少女を守るように前に立った。
「ここは俺達に任せて!!」
「頼むな、オパール!!」
「もちろん。さ、こっちに来て!」
ヴェンに言葉を返すと、オパールは少女の手を取って後ろにいるカイリの所へと走っていく。
こうして少女を安全な所に連れて行くのを見て、リクは二人に向かって叫んだ。
「行くぞ! ソラ、ヴェン!」
「ああ!」
「任せとけって!」
二人が笑いながらリクに頷くと同時に、周りのハートレスが襲い掛かった。
「いけぇ!!」
そんなハートレス達にソラは突進突きを繰り出すと、振り向き際に更に突進を繰り出す。
『ソニックレイヴ』で攻撃を回避しつつ、ソラは着々とダメージを与えていく。
「そこだっ!!」
このソラの攻撃に便乗するように、ヴェンがキーブレードを投げつけて弱ったハートレスを消していく。
『ストライグレイド』を使っていると、隙を狙ってか一匹のハートレスがヴェンの後ろから襲い掛かる。
「はぁ!!」
だが、ヴェンを襲おうとしたハートレスを、リクが『ダークブレイク』で上空から突きを繰り出して消し去る。
着々とハートレスの数を減らす三人から離れた所では、カイリが座り込んで少女と目線を合わせていた。
「大丈夫? 怪我は?」
「は、はい…! ありがとうございます」
「ううん、気にしないで」
お礼を述べる少女に、カイリは微笑み返して首を振る。
そんな中、オパールはハートレスから二人を守るように武器を持って前に立っている。
そうして三人の戦いを見ていると、ある事に気づいた。
「ここのハートレスって、もしかして水系ばっかり…?」
見た目が魚類で水を使った攻撃を仕掛けてくるのに気づき、ある思考を巡らせるとアイテムを入れているポーチに手を伸ばした。
(“アレ”を試してみる、絶好の機会ね…)
心の中で呟くと、合成アイテムで作られた一つの透き通った黄色の結晶を取り出す。
そのまま結晶を握りしめると、目の前で戦っているリクに向かって叫んだ。
「リク!! コレ、使って!!」
「え!?」
急に声をかけられ、リクは思わず動きを止める。
すかさずオパールは結晶を投げつけると、リクの身体が光りだした。
「これは…!?」
光が収まると同時に、リクの体に電気が帯びる。
この光景に驚いていると、数匹ものハートレスが飛びかかる。
向かってきたハートレスに、リクはすぐに突きを放った。
「はあっ!」
ただの突きなのに、何とキーブレードの先端から電撃が飛びハートレスを巻き込む。
こうしてハートレスが消滅したのを見て、リクは目を見開きながら電撃を帯びるキーブレードを見た。
「攻撃がさっきより効いてるし、体も軽い…!?」
「凄いな、リク!! オパール、それ俺にもやって!!」
この強化されたリクの攻撃に、ソラは目を輝かせながらオパールに頼む。
だが、オパールは申し訳なさそうに顔の前で手を合わせた。
「あー、ごめん。その『サンダーストーム』、一個しか作ってなくって…」
「えー!? 俺もやりたいー!!」
思わずソラが文句を言っていると、天井から巨大な何かが足場の中央に落ちてきた。
「何だ!?」
思わぬ事態に、リクが動きを止めて落ちてきたもの
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