不意に、身体が揺さぶられる。
同時に知らない声がリクの耳に入る。声の高さからして、これは少女だろう。
少しずつ頭が回って来たのか、眠りの暗闇に光が差し込んだ。
「ん…うぅ…」
そうして身動ぎしてゆっくりと目を開けると、青い髪の少女の顔が目の前に広がっていた。
「――良かった、気が付いた…!!」
安心したように顔を綻ばす少女に、リクは横になったまま口を開く。
「君は…――リリィ、だったか…?」
「はい! それより、大丈夫ですか?」
「あぁ…どうにか、な」
そう言うと、手を地面に付けて立ち上がる。
だが、急に足元がふらつくので頭を押さえる。と、ここである事に気づいた。
「そうだ、オパールは!?」
あの時リリィと一緒に渓谷に落ちて流されたのを思い出し、すぐに辺りを見回す。
すると、少し先で自分と同じく岸に流れ着いたのか仰向けに倒れている。
この様子に、リクは慌てて近づくとオパールの身体を揺さぶった。
「おい、しっかりしろ!? オパール!!」
「う、うんっ…」
声をかけながら揺さぶると、意識を取り戻したのかゆっくりと目を開いた。
「リク…?」
「良かった!! 無事か!?」
「あたし…あ、れ…?」
頭が回らず思い出せないのか、頭を振って上半身を起こそうとする。
しかし、途中でよろめいて身体が崩れるのでリクが背中を抱える。
すると、オパールは意識を取り戻し目を見開くが、何故か顔を真っ赤にさせた。
「あ、あ、あ…――のぉうああああああああああっ!!!??」
「ぶべぇ!!?」
二人分の悲鳴と共に、バチィンと景気のいい音が辺りに響き渡ったのは言うまでもない…。
「…ごめん、リク」
「き…気にするな…!! 俺も、悪かったんだ…よな?」
座り込んだ状態で顔を俯かせるオパールに、リクは平手で打たれた頬を擦りながらリリィに目配せする。
「え、えっと…私に聞かれても…」
これにはリリィも困ったように顔を逸らすので、何とも言えない空気に包まれる。
さすがのオパールもこの空気には耐えきれず、話を戻す事にした。
「そ、それより…どこまで流されたのかな、あたし達って?」
自分達のいる場所を見回すと、水の流れが速い岸辺に流れ着いた状態だ。
リクも上を見るが、落ちた筈の足場所か道も無くソラ達もいない。嫌でも別の場所まで流されてしまったのが分かる。
「完全にソラ達と離れ離れになったな…」
「この潮の流れじゃ、早すぎて戻れないし…」
オパールも困ったように流れの激しい渓流を見ていると、リリィが声をかけた。
「あの…戻る道なら、こっちにありますけど?」
二人は振り向いてリリィの指した方を見ると、壁の部分に大きな割れ目が出来て道になっている。
これを見て、リクは軽く溜め息を吐くと腕を組んだ。
「地道に歩いて戻るしかなさそうだな」
「だね…どっちみち、リリィは見つけたんだし。送り届けないと」
「あ! そう言えば、どうして私の名前を?」
「実は――」
驚くリリィに、リクがこれまでの事を説明する。
そうして全部説明し終えると、リリィは暗い顔で俯いた。
「そうだったんですか…皆に何て謝ろう…」
「それはここを出てから考えればいいさ。さ、とにかく行こう」
「はい! …えっと?」
リクに返事したものの、何故かリリィは困ったように交互にこちらの顔を見る。
どうしてそんな態度を取るのか分からずリクが首を傾げる中、オパールは言いたい事が分かったのか苦笑を浮かべた。
「そう言えば、あたし達の自己紹介まだだったよね? あたしはオパール!」
「…リクだ」
「あんたね、それだけ?」
「それだけって言われても…」
「ふ、ふふっ…!」
呆れた視線を送るオパールにリクが顔を逸らしていると、突然リリィが笑う。
思わず二人が口を閉ざして注目していると、視線に気づいたのかリリィは笑みを浮かべつつ謝った。
「あっ…ごめんなさい。じゃあ、宜しくお願いします。リク、オパール」
「うん、よろしく!」
「あ、ああ…」
それから三人は、ソラ達と合流するために先へ進む事にした。
だが、先へ進むごとにハートレスが束になって現れる。しかも、さっきよりも人数が少なく、リリィもいるので守りながらの戦いとなる。
最初こそ慣れない戦い方で二人は戸惑ったものの、五回目ともなると邪魔にならないようリリィはその場を離れ、リクとオパールも互いに息が合ってきた。
「ったく、しつこいほどハートレスが出るな…」
「ホント。あたし達が分担されても倒せるだけマシかな…」
少しして全てのハートレスを倒すと、リクとオパールはそれぞれ武器を仕舞いながら息を吐く。
そんな二人に、
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