少しずつ、壁の煌めきが弱々しくなっていく。
それに伴うように、洞窟の内部も薄暗くなっていった。
「マズイな…段々と暗くなってる」
夜に近づいているのに気づかされ、リクは不安げに辺りを見回す。
オパールも足を止めると、周りを確認しながら口を開いた。
「どうしよっか…今日はここで野宿する?」
「それしかないな……ソラ達は無事だといいんだが…」
そう言いながらリクが落胆の溜息を吐いていると、後ろを歩いていたリリィが頭を下げた。
「あの、すみません。私の所為で…」
「気にするなよ。さて、火を起こすとして…こんな所に木の枝なんてないしな…」
辺りを見回すが、周りは湿った石だらけで焚火に使えそうな物がない。
そんな中、オパールは笑いながら胸を叩いた。
「火なら任せて。とりあえず、火を囲む石を集めましょ」
「何をする気なんだ?」
「いいからいいからっ!」
訝しげに顔を顰めるリクに、オパールは気にせずに野宿の準備を始める。
それを見て残された二人は顔を見合わせるが、すぐにオパールの言う通り石を集め始めた。
壁に反射される煌めきは、今は太陽の代わりに月の光で淡い輝きで光っている。
綺麗で儚い光が暗闇に呑まれそうな壁が崩れた場所で、円状に囲んだ石の中に赤い結晶が置いてありそれを中心に炎が放たれている。
そんな焚火代わりの炎を囲むように、三人は座っていた。
「…凄いな、【合成】って言う技術…」
「火を起こして明かりも灯せるし、戦いに使えるし…オパールって凄いね」
この技術に感心する二人に、オパールは何処か嬉しそうに笑みを浮かべた。
「たまたま材料があったから出来たのよ。何だったら、二人にも教えようか?」
「俺は遠慮する…」
「興味はあるけど、難しそうだな…」
「まあ、数日で簡単に出来る技術じゃないのはあたしも認めるけどね」
すぐに辞退を申し出る二人に、オパールも苦笑を張り付ける。
何処か朗らかな空気三人が包まれていると、徐にリリィがポケットに手を入れる。
そうして取り出したのは、少し大きめのアクアマリンのブローチ。それを見て、オパールは思わず身を乗り出してブローチに注目した。
「それは?」
「私の家に、代々伝わるお守りなの」
リリィが微笑みながら答えると、手の中のブローチを見ながら語り出した。
「海は時に人の命を奪ったりする事もあるから……この宝石は、そんな災厄から守ってくれるんだって!」
説明しながら笑みを浮かべるリリィに、リクとオパールにある記憶が過る。
アクアと出会うキッカケとなった戦いで、クォーツもリリィの持つ同じ宝石で結界を作ってリリスの攻撃を無効化していた。
そう考えると、リリィの持つ宝石も自分達が落ちたあの激流から守ってくれたのかもしれない。
「そうなんだ…あたし達が助かったのって、もしかしたらそのお守りのおかげかもね」
「そうだな。あんな場所から落ちて流されたのに、こうして三人とも無事で済んだんだ。そのお守りに感謝しないとな」
「うん…ありがと」
二人がそう言うと、リリィもブローチについたアクアマリンにお礼を述べる。
それを見て二人が微笑みを浮かべていると、急にリリィが顔を上げた。
「そう言えば、二人って何処から来たの? この辺では見かけないよね?」
「「エ!?」」
突然のリリィの質問に、二人の顔が引き攣ってしまった。
「そ、それは、ねぇ…!」
「ま、まあ…遠い所、だな…!」
「そっか…」
目を逸らしながらも差当りの無いように答えると、リリィは考え込む仕草をする。
思わず二人が背中に冷や汗を浮かべていると、代わりに別の質問を繰り出した。
「ねえ、二人って何か叶えたい夢とかある?」
「「夢?」」
リクとオパールが同時に聞き返すと、リリィは一つ頷いた。
「うん、夢。そう言うの、聞いてみたいなって」
「まあ…あるにはあるけど」
そんなリリィに、オパールは居心地が悪そうに頬を掻く。
すると、話に興味を持ったのかリクが笑いかけた。
「へえ、どんなのだ?」
「…笑わないでよ」
疑うような目でリクを見ると、オパールは顔を上げて話し始めた。
「――ある人みたいに、大空を自由に飛び回りたい…それが、あたしの夢」
「ある人って?」
疑問をリリィが聞くと、オパールは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「あたしの恩人。昔、ある事故で身寄りのないあたしを引き取ってくれた空賊なの」
「空賊? 何だ、それは?」
更にリクが問い質すと、若干顔を引き攣ってオパールは慎重に説明した。
「えっと、ね…空を駆けまわる乗り物に乗って、金持ちの悪人からお金を盗んだりする義賊なの。もちろんそれだけじゃなくて、遺跡な
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