「よーし…――これで、あらかた完成っと…!!」
再び太陽が昇り、洞窟の内部に光が戻った頃。
焚火の前で見張りをしつつ、オパールは数枚のレポートを書き終えた。
レポートを持って軽く背伸びをすると、小さく折りたたんでポーチに戻す。
そうして後ろを振り向くと、数時間前に見張りを交代したリクが壁に寄り掛って眠っていた。
「んぅ…」
その時、リクから少し離れた場所で眠っていたリリィが微かに声を上げる。
交代の際に掛けていた毛布代わりの大きめのバンダナが肩からずり落ちるが、気づかないのかリリィは目を擦りながら上半身を起こした。
「起きた?」
「あ、っと…おはよう、オパール」
リリィはそう言うと、掛かっていたバンダナを持ってオパールに手渡した。
「ずっと、起きてたの?」
「途中からね。さて、と…あたし、この先の水場で魚でも採ってくるわ。リリィは、リクと一緒にここで待ってて」
バンダナを頭に結び付けるなり、立ち上がって未だに眠るリクを見る。
この頼みに、リリィは不安げにオパールを見た。
「一人で大丈夫?」
「今は特に気配も感じないから。じゃ、何かあったら大声で呼んで」
そう言うなり、オパールは先へと進んでしまう。
いろんな事をテキパキと取り仕切るオパールに、リリィは感嘆の溜息を洩らした。
「凄いなぁ…」
素直に思った事を呟きながら、リリィはオパールを見送る。
それからする事もないので、眠っているリクの傍に来てしゃがみ込んだ。
光に反射する銀色の髪に整った顔立ち。一つ一つを観察するように、リクを見ていた時だった。
「う、くっ…!!」
急にリクが顔を歪め、苦しそうに声を上げる。
しかも額には汗も浮かび上がるので、リリィは見ていられなくなっったのか震えているリクの手を繋ぐ。
直後、リクは目が覚めたのか飛び跳ねる様に起き上った。
「…ッ!?」
「きゃ!」
突然起き上がるリクに、思わずリリィが悲鳴を上げる。
この声でリクは我に返ったのか、何処か恐怖の混じった瞳で隣にいるリリィを見た。
「え、えっと…おはよう、リク」
「リリィ、か…すまない」
驚かせた事についてリクが謝ると、辛そうに頭を押さえ出した。
「大丈夫? 何か、悪い夢でも見たの?」
「ちょっと、な…」
はぐらかす様に答えるリクに、さすがのリリィも口を閉ざす。
二人の間で妙な沈黙が続いていると、奥の方からオパールが戻って来た。
「あ、起きた? 丁度良かった、今そこで魚捌き終わったの。一緒に食べよ?」
「あ、ああ…」
「う、うん…」
オパールの介入で何とも言えない空気が取り払われるのを感じつつ、二人は曖昧に頷きながらも立ち上がった。
その後、三人は軽く食事を済ませるとソラ達と合流するために再び先へと進みだす。
相変わらず襲ってくるハートレスを蹴散らし、前へと進んでいた時だった。
「あっ…!?」
後ろを歩いていたリリィが、突然地面の石に躓く。
そのまま倒れようとしたが、前にいたリクが腕を掴んでリリィを支えた。
「っと…大丈夫か?」
「う、うん。ありがとう、リク」
支えて貰いながら、リリィは笑顔を浮かべてお礼を言う。
すると、リクも笑みを浮かべてリリィをしっかり立たせた。
「気にするなよ、リリィ」
「…うん!」
嬉しそうに頷くと、リクは軽く笑って再び前へと歩きだす。
それを見て再度歩こうとしていると、何故かオパールが目を逸らしながら隣で立ち止まっていた。
「すごいわね、リクとあーんなに仲良くなって」
「あ、あんなにって…!! そ、そんなんじゃ…!!」
オパールの言葉に、リリィも顔を赤くして顔を俯かせる。
そうしていると、会話が聞こえたのか訝しげにリクが振り返った。
「おい、何を話しているんだ?」
「べっつにぃ!!」
若干怒りが混ざったオパールの声に、リクは思わず口を閉ざしてしまう。
そのまま先に進むのを見て、リリィは距離を置いて歩くとオパールに話しかけた。
「オパール、聞きたいんだけど」
「何?」
不機嫌そうにしつつも、オパールはリリィと並んで歩く。
話を聞く体制になると、リリィは疑問をぶつけた。
「オパールって、リクの事好きなの?」
「ブッ!?」
この質問に噴き出すと、顔を真っ赤にしてあたふたと手を振った。
「あああああ、あたしは、その…!! あいつの事は、別に何とも…!!」
「そんなに否定しなくてもいいのに…――でも、何となくオパールの気持ち分かるなぁ…」
クスリと笑うと、リリィは先を歩くリクの背中を見つめる。
このリリィの様子に、オパールの表情に動揺が浮かんだ。
「ま、まさか…リリィも、リクの事…!?」
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