天井まで水に浸かった洞窟となっている道を、三人は泳いでいく。
不意に閉ざされたリクの口の中に僅かに水が入ると、しょっぱさを感じてこれが海の水だと気づく。
そんな海の水の中を先へと泳ぎつつ、リクは横で泳いでいる二人に目を向けた。
(大丈夫か?)
そう瞳で語りかけると、通じたのか二人は泳ぎながら頷く。
まだ余裕がある二人に心の中で安堵していると、突然前方にハートレスが現れた。
(ハートレス!?)
(こんな所まで!?)
思わず三人が止まると、オパールは腰のナイフに手を当ててリクを見た。
(大丈夫? 戦える?)
(戦わないと駄目だろ?)
水中で声は出せないものの、二人は互いに投げかける言葉を受け取る。
リクがキーブレードを取り出すと、オパールもナイフを引き抜いた。
(水中にいるんだ、ちょっとの時間も無駄に出来ない…!!)
(だったら、一気にやっつけるわよ!!)
瞳で語るなり、オパールはポーチから赤い結晶を取り出す。
すると、リクに向かってその結晶を投げつけ光で包み込んだ。
(これは…!?)
思わず目を見張っていると、水中だと言うのにキーブレードに炎の力が纏われる。
リクだけでなく後ろに下がったリリィも驚きで見るが、ハートレスが突進を仕掛けて襲ってくる。
すぐにキーブレードを振るって攻撃すると、何と意思を持つようにキーブレードが炎を纏いながらリクの手を離れて敵に攻撃する。
そうして再び手元に戻るので、思わずオパールに目を向けた。
(すごいな、この力…!?)
(でしょ?)
『ファイアレイド』の力にオパールも鼻を高くすると、再びポーチから取り出した石を今度は敵に投げつける。
すると、辺り一帯に雷が襲い掛かかりハートレス達が殆ど消えて行った。
『サンダーボルト』を出し終えると、残ったハートレスに向かってリクがキーブレードを投げつけて全滅させた。
(よし!)
(リリィ、急ぐわよ!)
(うん!)
ハートレスを全て全滅させ、すぐに三人は先へと進む。
少しすると、道の途中で地面に差し込んでいる光が見えた。
(地面に光…!?)
(この上、きっと空気あるわね!!)
リクが目を見開くと、隣でオパールも上を指す。
そのまま光に沿うように上へと向かうと、水面に出た。
「「「――ぷはぁ!!」」」
水面に出ると、三人はすぐに空気を取り込む。
肩で息をしながら周りを見ると、そこは岸部のある空洞だった。
「さすがに…ちょっと、きついわね」
「でも、まだ中間地点みたい…!」
「一旦…岸に、上がろう…」
リクの言葉に、二人は反対することなく岸へと向かう。
そうして三人が岸に上がると、それぞれで座り込んで休憩を取る事にする。
そんな中、疲れているリリィを見てリクが傍に座り込んだ。
「大丈夫か、リリィ? 無理はするな」
「うん…リクは?」
「俺は平気だ。そうだ、オパールは?」
「あたしも、平気だから…」
そう話しかけると、何故かオパールは居心地が悪そうに顔を俯かせる。
この様子に、リクは立ち上がって今度はオパールの傍に座り込んだ。
「どうした? 何処か具合が悪くなったのか?」
思った事を聞くと、オパールはチラリとこちらを見て口を開いた。
「…やけに仲良くなってるのね、リリィと」
「そうか? そう、なのかな…」
首を傾げるが、思う所があるのかリクは顔を俯かせる。
「あいつを見ると…何故かよく分からないけど、変に落ち着くんだ」
「落ち着く?」
「それに…昔会ったような、知ってるような…リリィを見ると、そんな気持ちが湧き上がって。おかしいよな、この世界に来たのもリリィと出会ったのも昨日の事なのに…」
そう言うと、オパールに向かって苦笑する。
彼女と出会うのも、この世界に来るのも初めてのはずなのに、何故かそんな気持ちが湧き上がってしまう。
自分の気持ちの正体を考えながら笑ってたから、リクは気づかなかった。
オパールの目が不機嫌そうに変わったのを。
「ふぅん…」
「どうした? さっきから素っ気ながごぅ!!?」
言葉の途中で、リクは思いっきり顎にアッパーを喰らわされた。
舌は噛まずに済むものの、尋常じゃない痛さに殴られた部分を震えながら押さえる。
「な、何を…!?」
「無性に力の限り殴りたかった。それだけ」
淡々と答えるオパールに、リクもこれ以上詳しく聞けずに黙ってしまう。聞いた直後、さっきよりも痛い攻撃を覚悟しなければならないと感じたのだろう。
仕方なく温存していた魔力を使い『キュアポーション』で治していると、不意にオパールが壁に凭れているリリィを見ながら話しかけた。
「――なーんかさ、ソラ達と態度が違うよね」
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