リク達が休息を取っている頃。
上の階層の方では、ソラ達は下に続く坂を下っていた。
「大分奥まで来たな…」
「大丈夫かな、リク…」
未だに続く坂の下をヴェンが見ていると、後ろの方でソラが小さく呟く。
不安で一杯のソラに、隣にいたカイリは笑いかけた。
「リクなら大丈夫だよ。オパールも一緒にいるし」
「うん…」
カイリの言葉でも不安は拭えないのか、暗い表情のまま生返事を返す。
そんなソラに、ヴェンは何処か寂しそうに小さく笑った。
「心配、だよな。大切な友達と離れ離れになるの…」
「ヴェン?」
ソラが顔を上げると、ヴェンは表情を変えずに静かに語り始めた。
「話したよな…俺、仮面を被った奴にいろいろ言われて、テラを追いかけるように旅をしてたって」
テラがテラで無くなる―――ヴァニタスに言われた言葉に、テラを追いかける様にあの修行場の世界から旅立った。
いろんな世界を巡り、いろんな人と出会い、アンヴァースや闇を持った奴らと戦い…――そうして、ようやくテラと会えた。
だけど…。
「それで、あの世界でテラとアクアに再会したけど…二人とも、俺を置いて旅を続けたんだ。理由はあるんだろうけど、凄く不安で寂しかった…」
「ヴェン…」
何時か俺を救ってくれる。そう言って旅立ったテラは、今思えば何かを決意してた。そして、自分にあの地へ帰る様に言ったアクアも。
でも、その時は何だか自分一人置いていかれた気がして…とても寂しかったのを覚えている。
ポケットに仕舞ってあったアクアが作ってくれた『繋がりのお守り』を取り出すと、じっと見つめた。
「だから、ソラの気持ち分かるんだ。絆で繋がってるって分かっても…――やっぱり、一緒にいたいって思うよな」
この未来の世界ですれ違ってた絆は元には戻った。だけど、今もこうして離れ離れのまま。
再び心に芽生えた寂しさと一緒に離れているテラとアクアを思い、ヴェンはお守りを握りしめる。
そんなヴェンの様子に、カイリはお守りを握り手を包み込むように手を握った。
「大丈夫だよ、ヴェン。今はテラやアクアと離れているけど…でも、私達みたいに一人じゃないでしょ? その人達の事も、信じてあげよう」
「俺だってカイリやリクと離れ離れの時があったけど、こうして再会して一緒にいるからさ!! ヴェンだって、俺達みたいにテラやアクアとまた一緒になれるって!!」
そうして笑いかけてくれる二人に、ヴェンの表情に笑顔が戻った。
「ソラ、カイリ…ありがとう」
逆に励まされてしまったが、それでもヴェンは嬉しかった。
笑顔を浮かべながらお礼を述べると、ソラは満面の笑みを浮かべて前に出た。
「よーし! それじゃあ、早く三人を見つけるぞー!」
「もう、ソラ! こんな所で走ったら危ないでしょ!」
急いで坂を駆け下りるソラに、カイリは怒りつつも後を追いかける様に駆け下りる。
少しずつ遠ざかる二人を見て、ヴェンも笑いながら坂を駆け下りる。
そうして三人が坂を下り終えると、前方に三つに分かれた道があった。
「分かれ道だね…」
「何処に行けばいいんだろ?」
カイリとヴェンが分かれ道を見て迷っていると、突然ソラが手を叩いた。
「そうだ! ここは…」
そう言いながらキーブレードを取り出すと、何と道の真ん中に立てる。
何をしたいのか予想が付き、カイリは恐る恐る自信ありげのソラに聞いた。
「何、してるの?」
「ほら、どっちに行けばいいか迷った時はこうするだろ? で、倒れた方向に進めばいいって!」
「だからって…キーブレードをそんな風に使っていいのか?」
「でも、木の棒とかよりこっちの方が当ててくれそうだろ!? よーし、頼むぞキーブレード!」
ヴェンさえも呆れた目で見るが、ソラは気にせずにキーブレードを立てた状態で手を離した。
すると、キーブレードは支えを失い一回転して―――やがて左の方向に倒れた。
「こっちだな! おーい、リクー!! オパール!!」
ソラは落ちたキーブレードを拾うと、すぐさま大声で呼びながら左の道に進む。
この行動に、思わずカイリは不安げな目でヴェンを見た。
「ヴェン…これ、信じていいのかな?」
「どうだろう…?」
その頃―――オパールは軽く洞窟の下見を終え、二人のいる場所へと戻っている所だった。
(あたしばっかじゃ、フェアじゃないもんね)
そんな事を考え、泳ぎながら小さく笑う。
数日前に出会ったとは言え、リクといる時間は自分の方が上だ。
だから理由を付けて、眠っている間とは言えリリィを一緒に居させた。
(でも…本当に、良かったのかな?)
不意に、自分が取った行動に一種の不安が過る。
リリィの夢。そしてリクの言う
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