ある程度時間が立ち、三人の休息は終わりを告げる。
再び先に進む為に水の中に沈むと、三人は出口に向かって泳ぎだした。
(にしても、本当によく眠れたな…)
そんな事を考えながら、リクは思考を巡らせる。
リリィから渡されたお守りを持って眠ったおかげか、あの悪夢は現れず十分に睡眠を取れた。
起きた後はお守りはリリィに返したが、また借りて見てもいいかもしれない。
“あの男”の夢を見るくらいなら…。
―――クイ
その時、ジャケットの裾が引っ張られる。
目を向けると、いつの間にかリリィが傍にいて前の方を指している。
見ると、オパールが不思議そうな顔をしながらも分かれ道の右の方を指していた。
(右か?)
(うん、あっちは行き止まりだったの。だから、こっちに――)
リクが目で語ると、オパールは頷いて手を動かしてジェスチャーで説明する。
その時、後ろの方で大きく水が蠢くのを三人は肌で感じた。
(何っ!?)
いち早くリリィが振り返ると、来た方向から一つの影が見える。
目を凝らすと、何と自分達を分担させたあの大型ハートレスがこちらに向かって泳いでいた。
(あの時のハートレス!?)
(何でこんな所に!?)
大型ハートレスの登場に、リクとオパールが目を見開く。
その間にも、ハートレスはこちらを見つけたのか目を光らせて泳ぐスピードを上げる。
この場所で戦うのは不利すぎる。すぐに逃げようと三人は一斉に泳ぐが、あっという間に距離を縮められてしまう。
(クッ…!!)
(逃げきれない…!! リリィ、先に行って!!)
覚悟を決めたのか、リクとオパールは武器を取り出してその場に留まる。
水中で戦おうとする二人に、リリィは目を丸くした。
(二人は!?)
(こいつを倒したら、すぐに行く!! だから、先に行け!!)
リクが目だけで語ると、リリィは拳を握って二人を見つめた。
(…私、待ってるから! だから、すぐに来てね!)
そうして声なき言葉を送ると、リリィは一人出口に向かって泳いでいく。
ある程度見送ると、ハートレスがゆっくりと二人の前に浮かんで対峙した。
(倒そうにも、時間が無い…!!)
(それなら気絶させる!! だから――!!)
(時間稼ぎ、だな!!)
オパールがポーチに手を伸ばすと同時に、リクは左手に闇を込める。
それを見て、ハートレスは触手を伸ばして二人に襲い掛かる。
しかし、オパールは避けながらポーチから二つの石を取り出し、リクも避けて『ダークファイガ』を打ち込む。
闇の気弾がハートレスに直撃すると、攻撃が聞いたのかがむしゃらに触手をリクに向かって振り回した。
(よしっ…!!)
上手く自分に意識を向ける事に成功し、『ダークシールド』を展開させる。
闇の障壁に守られながらオパールを見ると、ハートレスの真下の方で手を素早く動かしている。
出来るだけ彼女を見つけさせまいと、リクは隙を見つけては『ダークシールド』で迫りくる触手を防御しては、切り裂いていった。
(出来た!! 離れて!!)
その時、オパールの準備が出来たのか真剣な目で顔を上げる。
すぐにリクがハートレスから離れると、オパールは真上に投げつける。
すると白い球体が現れ、弾けるようにハートレスを巻き添えに爆発を起こすと、気絶したのか全身をダラリと垂れ下げて浮かんでいた。
(よし、これで――!!)
『スタンブレイク』を出し終え、オパールがガッツポーズを作った時だった。
「きゃあああああっ!?」
水中なのに、リリィの悲鳴がここまで響き渡る。
二人はハッと顔を上げ、先に彼女が進んだ道を見た。
(今の悲鳴!?)
焦りを浮かべ、真っ先にリクが向かう。その後をオパールも追う。
そうしていると、目の前に光に照らされる砂浜が見えて一気に水面から顔を出した。
「――リリィ!?」
息を取り込みながら見ると、リリィは何匹ものハートレスに囲まれていた。
「くっ…――どけぇ!!」
水面から腕を出すと、キーブレードに力を纏わせてハートレスに投げつける。
やがて一匹に当たると、何とキーブレードは複数の光に分裂してハートレスを攻撃していく。
リクが『スパークレイド』を使っていると、オパールも水面から顔を出して岸から上がってリリィに駆け付けた。
「大丈夫!? 怪我は!?」
「ど、どうにか…!!」
リリィが胸を押さえて頷いている間に、最後の一匹を倒した。
思わずリクが安堵の息を吐きながらキーブレードを手元に戻すと、水から上がろうと岸に向かって泳ぐ。
直後、こちらを見ていた二人が顔色を変えた。
「リク、下!?」
「なっ…うわぁ!?」
リリィの声に下を見ると、触手が自分の足に
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