暗い意識の中を漂う自分。
ゆっくりと、だが確実に死へと向かっているのが分かる。
何処か他人事のように感じつつ、このまま覚めぬ闇の中へと沈んでいた。
(なん、だ…これ…?)
そんな時、不意に一つの温もりを感じる。
(あたた、かい…――それが…くちに、ひろがってる…?)
温もりは口に柔らかく当てられ、少しずつ冷たさを和らげていく。
それにより、闇に沈んでいた意識が少しずつ浮上していく。
(おれ…なにを――し…て――…ッ!?)
ここまで考えていると、急に意識が覚醒する。
同時に、息苦しさを感じて胸を押さえた。
「―――っ!!? げほっ、ごほっ!!」
肺の中にある水を全て吐き出す為に、前かがみになって咳をするリク。
ある程度水を吐いて荒く呼吸をすると、隣で涙目になって座り込んでいるリリィに気づいた。
「――よ、良かったぁ…!! やっと、目が覚めた…!!」
「リ、リィ…!! 俺、一体…ぐふっ!! ごふっ!?」
まだ水が溜まっているのか、途中で咳込んでしまう。
そうしていると、慌ててリリィも背中を擦った。
「駄目だよ、無理に動いちゃ!! 沢山水を飲んでたんだから、まずは溜まった水を吐かないと」
「水…溜まった…?」
「やっと、目が覚めた?」
ボンヤリと頭を働かせていると、冷たい声が投げかけられる。
リクが顔を上げると、何故かオパールが冷めた目でこちらを見下していた。
「オパール…?」
「助けられたと思ったらピンチになるってどう言うシチュエーション? ワザと自分を犠牲にしてあたしら助けるって魂胆? ホンットそう言う所ムカつくんですケド?」
「あれは、その…」
棘の混じった言葉に否定できず、リクは思わず頭を下げてしまう。
そうして何も言えなくなっていると、オパールは苛立ちながら後ろを向いた。
「感謝しなさいよね! あたしは合成用に取って置いた爆弾使ってあいつ追っ払ったんだし、リリィなんて死にかけのあんた助けるために…――あ、あんな事したんだし…!!」
「あんな事…?」
オパールに言われてリリィを見ると、何故か赤らめた顔を隠す様に俯く。
どうしてそんな行動を取るのか分からず、再びオパールを見るが背を向けたまま静かに拳を震わせている。
自分が気を失っている間に何が起きてたのか首を傾げて考えていると、オパールから何かがキレる音がした。
「――こんの…バカァァァーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!!」
「ぐおああああああぁ!!!??」
今までとは比べ物にならないほど、思いっきり顔を殴られた。
地面となる砂浜を滑り半ば埋もれていると、オパールが怒りを爆発させたのか睨みながら大声で怒鳴りつけた。
「サイッテー!!! バカアホボケリクゥ!!! もう知らないっ!!! ハートレスにでも蹴られて一生寝てろぉっ!!!!!」
怒りに任せて思いつく限りの暴言を吐くと、そのまま先へと進んでいった。
「な…なんで、あんなに言われるんだ…?」
理解が出来ず、リクは砂浜から起き上ると殴られた頬を擦る。
そうしていると、未だに顔を赤くするリリィが近づいて向かい合うように傍に座った。
「リリィ?」
「あ、あの…やっぱり、本当の事言うね…」
目線を彷徨わせながらも口を開くと、勇気を振り絞ってゆっくりと事のあらましを述べた。
「わ、私…リクが死んじゃうと思って、無我夢中で、その……じ、人工呼吸を…!!」
「じんこ…――ッ!!?」
その言葉に、思わず顔を赤くして唇に手を当てる。
溺れて死のうとした時に感じた、あの柔らかな温もり。それは、つまり…。
事を理解して顔を真っ赤にさせるリクに、同じく顔を赤くしているリリィは思いっきり頭を下げた。
「ごっ、ごめんなさいっ!!! 死んじゃうかもしれない状況だったけど…わ、私なんかと、キスなんて…嫌だったよね…!?」
「い、いやっ!! 気にしてはいない!! それが無かったら俺はきっと死んでたし、その……逆に、俺なんかの為にそこまでして貰って迷惑を…」
「め、迷惑なんかじゃない!! 私はリクが助かって嬉しかったよ!! キスだって、全然…!!」
二人とも恥ずかしいのか、段々と会話が変な方向に曲がっていく。
そんな空気に耐えきれなくなったのか、リクは目を逸らしながら立ち上がった。
「と、とりあえず人命救助って事で話を終わらせようっ!! 早く、ここから抜け出さないと…!!」
「そ、そうだよね!! オパールも待ってるだろうし!!」
リリィも便乗してどうにか空気を取り払っていると、何処からか地鳴りが鳴り響いた。
「今の、何!?」
「確か、あっちはオパールが…!? リリィ、ここにいろっ!!」
「リク…
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