二つの世界が、互いに知らぬまま物語の終焉へと近づいていく。
鍵の剣を持つ者達と彼らと絆を交わした者達が、心の剣を持つ者達とカミに生み出された者達がそれぞれの終着点へと歩みを進める。
しかし、彼らは知らない。その運命に、ある者が加わろうとしている事に…。
世界と世界を結んでいる、闇によって作り出された見えざる道―――【闇の回廊】。
しかし、闇だけで構成されたその場所はとても危険な場所だ。そこにいる人の心を闇が蝕み、やがてこの回廊のように闇へと還ってしまう。
その黒き道の真ん中に、何故か一人の女性の姿があった。
「…あれから、もう11年…」
回廊を歩きながらそう呟くと、フゥと小さな溜息を零す。
少し長めの金髪を肩にかかるぐらいの長さで二つに括り、赤の瞳をしている。服装は水色の服に白の上着を羽織り、肘まである長い黒の手袋。そして、銀のベルトで装飾された前止めの白のスカート、その下には黒のタイツにヒールのある黒のブーツを穿いている。
女性は歩き続けながら、ふと黒い空間を見上げた。
「――無理にこうして旅する事、無かったかもしれない…」
そんな弱音を吐くと、再び溜息を吐く。
「もう、次で終わりにしないと…それで見つからなかったら――」
「どうするんですか?」
突然回廊の中で響いた声に、女性は険しい目を作り辺りを見回した。
「っ!? 誰っ!!」
こんな場所に人がいるなど、普通ではない。
何も見逃さないと言わんばかりに神経を這っていると、女性の視界に何かが過った。
「白い、羽根…?」
周りの空間の黒とは正反対の色をした物体がヒラリと舞い落ちる光景に、女性の動きが止まる。
そうしていると、背後の方で足音が鳴り響いた。
「待ちなさいっ!!」
すぐに女性がその方向を見ると、回廊の出口である光が漏れている。
追いかけるように光の中に飛び込むと、何処か淀んだ光と共に乾燥した空気が肌に当たった。
「ここは…何?」
辿り着いた世界を、女性は同然と見回す。
見渡す限り岩ばかりの荒野で、所々何か巨大な力で抉られたようなクレーターがちらほらと存在する。
この情景を見ながら、女性は不安そうに胸を押さえた。
「人の気配どころか…生き物の気配も感じない。だからと言って、闇の気配も…」
何も気配が感じられない虚空の世界に、女性は顔を歪ませる。
しかし、何かを感じたのか突然目が鋭くなると片手に闇を纏わせた。
「そこっ!」
手に宿した闇を細い剣の形に具現化させるなり、“何もない”背後へと一気に振り下ろす。
直後、金属の鳴る音と共に剣が見えない何かにぶつかった。
「姿隠して奇襲なんて、私には効かないわよ!! 『デスペル』!!」
振り下ろしている剣に力を込めつつ、空いている手を振って魔法を発動させる。
すると、女性の目の前で光が弾けて一人の人物の姿が浮かび上がる。
白いコートに長ズボン。そして、白い布で顔を隠しておりその間から見える黒髪と金目の男性。その手には、自身の剣を受け止めた赤と黒の刀身のダブルセイバーが握られている。
「あなたは、一体…」
女性が眉をしかめていると、男性はダブルセイバーを両手で握り剣を弾き返す。
これには女性がよろめき、その隙に逃げるように近くの岩の柱の上に跳んだ。
「逃がさない!!」
すぐに女性も近くの岩の柱に跳んで上に立つ。
そうして岩から岩へと跳んでいく男性を、同じように追いかける。
やがて荒野の壁を曲がるので、女性も後を追う。しかし、視界の先はあちこちに同じような岩の柱があるだけで男性の姿が消えていた。
「どこっ!?」
思わず立ち止まって警戒して見回していると、女性の近くにあった崖の上からダブルセイバーを構えて落ちてきた。
「くっ…!?」
どうにか奇襲を紙一重で避けつつ、地面へと降り立つ。
そして、同じように降り立った男性に素早く手を振るった。
「『ファイガ』!!」
男性の足元に炎が収縮すると、全身を巻き込むぐらいの大爆発を起こす。
それでも女性が警戒を解かずに剣を構えていると、何と男性が火の粉を払いながらその場に立っていた。
「上級で、これだけの威力…さすがですね」
「不意打ちしてるような卑怯者に言われても、説得力が欠けるのだけれど」
「それは失礼…では、改めて名乗りましょうか。私は、エン」
男性―――エンが名乗ると、女性は腰に手を当ててゆっくりと剣を持ち直した。
「…スピカよ。じゃあ、挨拶も終わった事だし――…正式に始めましょうか?」
女性―――スピカもそう答えると、剣を振り上げるように水平に構えた。
「『空衝撃・牙煉』」
そうして剣を横に振るうと、巨大な衝撃波がエンに向かって
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