「ヨシュアさん、ちょっと耳いいですか?」
「ん?」
グラッセに声をかけられ、ヨシュアは二人の戦いから目を離す。
すぐにグラッセはヨシュアの耳元で何かを話す。すると、ヨシュアはニヤリと笑ってグラッセに頷いた。
「――なるほど。君もなかなかの悪知恵だねぇ? 分かった、二人は僕が連れてくるよ」
「お願いしますねー?」
二人が会話を終了すると、ヨシュアはその場から消え去った。
グラッセとヨシュアの謎の行動に、ムーンは首を傾げた。
「グラッセ、一体何を?」
「ちょっとな…――えっと、シキにオパールさん。今の内に、シャオにあの服着せてみたらどうですか? 今なら気絶してるし」
「それもそうだね! よーし、バッチリとコーディネイトさせてあげる!」
「シキ、あたしも手伝うわよ!」
そう言うなり、二人は気絶しているシャオに近づいて服を脱ぎ始める。
和気藹々とシャオに女装させる二人に、親友としての勘かムーンの中で嫌な予感が湧き上がった。
「…本当に、何をする気なんだ?」
「見てれば分かるさ」
グラッセがニコニコ笑いながら言っている間に、シャオの着替えが着々と進んでいく。
上はピンクのフリルが付いたキャミソール。そして下はカラフルなロングスカート。その二つを着せさせると、二人は笑顔で立ち上がった。
「「かんせーい♪」」
「よーし、『ケアルガ』っと」
上機嫌の二人を見て、グラッセは癒しの魔法を唱える。
そうして癒しの光を当てると、シャオが目を覚ました。
「う、うーん…ボクは一体――…え? な、何なんだよこれぇぇぇーーーーーーーーっ!!!」
気絶から回復するなり、女装させられた姿に絶叫を上げるシャオ。
それとほぼ同時に、ヨシュアが現れて戻って来た。
「グラッセ君、連れて来たよ」
「連れて来たって誰を――」
ムーンが振り向くと、表情が凍りつく。
そこには、自分達にとって若き頃(KH2)のソラとリクがいたからだ。
「ヨシュア。来て欲しい所って、ここ?」
「リズはともかくとして…ムーン、今日は随分と大人しいんだな」
「いろいろ…あってな」
ソラが不思議そうに辺りを見回す中、リクは腕を組んで見てくるのでムーンは思わずオパールに目をやる。
リクに関してはこれでもかと言う程憎んでる。だが、前回のゼアノートの事を思えばここで反抗の意思を見せたら殺されかねない。
そうこうしていると、ソラが女装されているシャオに気づいて目を丸くした。
「え、シャオ!? その恰好…」
「あ、あああの…これは、その…!?」
「シャオ…女の子だったのか?」
「ちがーう!!! ボクは男だぁぁぁーーーーーーーーっ!!!」
これでもかと泣きながら大声を上げてソラに否定していると、グラッセが未だに戦うリズとネクの方を向いた。
「おーい、リズ!! ちょっと戦闘中断してこっち来てくれー!!」
グラッセの声に、二人は思わず戦いを止める。
そして、リズがキブレードを消してグラッセに近づいた。
「どうしたの、グラッセ?」
「シャオ…お前、何時の間にそんな恰好を?」
「原因作ったネクさんに言われたくないよぉ!!?」
驚きの目でまじまじと見るネクに、シャオは泣きながら怒鳴りつける。
この二人を無視し、グラッセはニコニコと笑いながらシキに声をかけた。
「シキさーん」
「え、何?」
「ソラさんって、このワンピース似合いそうだと思いません?」
「ねえ、ソラ!! ちょっとこれ着て見て!!」
「え、えええええええええっ!!?」
グラッセの言葉にシキは目の色を変え、ソラにワンピース(天使ワンピ)を見せつける。
突然の事に動揺するソラに、ムーンはグラッセの意図が分かったのかニヤリと黒い笑みを浮かべた。
「なるほど…だったら!」
そう言うと、ある服を掴んで何処か黒い笑顔でオパールに差し出した。
「オパールさーん、リクってこのゴスロリ似合いそうだと思いませーん?」
「リク、このゴスドレス着てみない!?」
「ムーン、お前ぇぇぇ!!!」
目を輝かせながらゴスドレス(ヴァンパイアドレス)を見せるオパールに、リクは原因を作ったムーンに怒鳴りつける。
見事に生贄にされた二人に、グラッセは黒い笑みでネクに首を傾げた。
「さあ、どうしますネクさん? ネクさんの所為で、二人がシャオのように惨めな思いしちゃいますよぉ?」
「そうだねぇ。ネク君、早くどうにかしないとソラ君達が餌食になっちゃうねぇ?」
「ぎ、ぎににに…っ!!?」
グラッセとヨシュアの言葉に、ネクは思わず歯軋りを起こす。
女装は嫌だ。しかしこのままではソラが危ない。ネクの中でそんな二つの思考が鬩ぎ合っていると、後ろから影が差した。
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