イライラは落ち着いたが、未だに不機嫌そうにシャオがテーブルに肘を立てて座っている。
その隣ではユフィも座って苦笑いを浮かべ、レオンもどうにかシャオに目を合わせようとしていた。
「ユ、ユフィとシドが失礼な事を言ったな…」
「内心、レオンおじさんもボクが女だって思ってたんじゃないよね?」
すぐにシャオが疑いの目を向けると、レオンは無言で目を逸らす。
更にジト目になっていると、奥からシドが大きな土鍋を持って現れた。
「ほれ!! 出来たぞ、ボウズ!!」
そう言ってテーブルの上に用意された敷物に豪快に置くので、一旦疑心を沈めて中を覗く。
すると、中は美味しそうな匂いが漂う出汁に浸された野菜や肉。その他にも魚や何か分からない食材などがグツグツと煮込まれている。
この料理に目を丸くしていると、シドは笑いながら鍋の物を小さな器に取り分けてシャオに差し出した。
「これがシド様特製の腹一杯鍋だ!! お詫びと言っちゃなんだが、たーんと食ってけ!!」
「ア、アリガト…イタダキマース…」
どうにかお礼の言葉を紡ぐと、シドから器を受け取る。
取り分けた分を見る限り、特に変わった食材は入ってない。あるとしても、骨だけの魚ぐらいだろう。
念の為レオンやユフィを見ると、嫌がる事も無くシドが取り分けた鍋の具を受け取っている。少なくとも、どこぞの教師のように不味くは無い筈だ。
シャオは覚悟を決めて箸を握り、煮込んでいる肉を掴むと口に含んだ。
「ん…おいしい!!」
「でしょ!? これ、シドの得意料理だからねー!!」
あまりの美味しさに顔を綻ばせるシャオに、ユフィは笑いながら取り分けた分をかき込む様に食べる。
対してレオンも静かに食べるので、シャオも再び食事を再開する。
それから少し経った時、シャオが向かい側に座るシドを見ると、何処か不審げにこちらをじっと見てるのに気付いた。
「…な、なに?」
「いや…お前さんの顔、どーっかで見たような気がしてならなくてなぁ…」
「ブフーッ!?」
シドの言葉に、シャオは口に含んでいた食材を噴き出してしまう。
これにはユフィとレオンも驚きながらシャオから離れるように椅子を動かした。
「ちょ、いきなり噴き出さないでよ…!? 何かハズレでも出たの?」
「え!? あ、うん…アハハハハ…」
若干顔を引き攣らせながらシャオが笑っていると、レオンも訝しげに眉を寄せた。
「だが、シドの言う通り誰かに似てるな…」
「あ、それあたしも思った! でも誰なんだろうなー?」
二人に賛同するようにユフィも頷くものだから、シャオは全身から冷や汗を掻いて目を逸らした。
「ヘー、ソウナンダー。タニンノソラニッテスゴインダネー、アハハハハ…」
「シャ、シャオ? 何か片言になってない?」
「シド…変な材料入れてないよな?」
「失礼な事言うな!! 俺が入れたのは冷蔵庫の中身だけだぁ!!」
こうして食事の場が騒がしくなる中、玄関のドアが開く。
そこから、ピンクと白のワンピースに茶髪の女性―――エアリスが入ってきた。
「ただいまー」
「あ、エアリスお帰りー!」
「むごぉ!?」
出迎える様にユフィが手を振ると、シャオが再び咽てしまう。
そんなシャオに気づいたのか、エアリスは四人に近づきながらユフィに首を傾げた。
「ねえ、その子は誰?」
「この子はシャオ。ソラ達と同じ、キーブレードの勇者なんだって!」
「げほっ、ごほ…!! だから、勇者じゃないって…!!」
咳込みながらもどうにか言うと、エアリスが笑みを浮かべてこちらを見た。
「シャオって言うんだね。私はエアリス、よろしくね」
「ハ、ハイ…よろしく…」
そんなエアリスに、シャオは顔を引き攣らせながらも頭を下げる。
何せ、自分の世界のエアリスは怒らせたら怖いのだ…いろんな意味で。それゆえ、どうしても苦手意識が出てしまう。
シャオがその事を思い出していると、エアリスも思い出したように顔を上げた。
「そうそう。オパールがね、さっき帰ってきたの」
「ホントか!?」
「うん。今はソラ達と一緒に研究所で例の調べ物をしてくれてるよ」
エアリスの報告にシドが驚くと、ニコニコ笑いながら現状を説明する。
この説明に、思わずシャオも喰い付いた。
「例の調べ物? ねえ、どう言う事!?」
突然興味を持ったシャオに、エアリスは困惑の表情を浮かべるがすぐに説明した。
「実はね――」
そうしてエアリスは今の状況の事、そしてソラ達が戻って来て今はコンピューターのデータを調べてくれている事を話す。
こうしてエアリスが説明し終えると、シャオは考えるように顔を俯かせた。
「そんな事が…」
ようやく目的に近づいたのを
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