次なる戦場。それこそがカルマが見た最大にして、最終戦争――名を冠すれば『キーブレード戦争』であった。
その舞台はかつては国として存在していた場所であった。城も城下町も存在していたが、戦争の戦火により損壊した建物が目出って居る。
善も悪も、光も闇も、熾烈な意思と意思が混沌となって、戦場を塗り、染めていく。
かつて城が聳えていたその遥か上空に存在する巨大なハートの力、それはマキアが待ち望んでいたキングダムハーツであった。
カルマ、マキアもこの戦禍に立っていた。そうして、そんな苛烈な戦場に、一人の強大な力が光臨した。
「っ―――!?」
人工キーブレード、鎧で武装した兵士KRの指揮をしていたマキアは突如、現れた鎧騎士の目にも止まらぬ斬撃が体に走り、激しい痛みを噛み殺すように声を抑える。
鎧騎士はマキアが対峙していたキーブレードの使いたる騎士たちよりも異質で異様。神々しさとおぞましさを放つキーブレードを手に、騎士はそのフルフェイスの奥から笑い声を上げた。
「フハハハハハハハッッ――――!!!!」
「マキア!? 皆、時間を稼いで!」
カルマは、窮地のマキアを救出し、KRの指揮を下す。即ち、殿軍としてこの圧倒的な強敵から、激戦の戦場から離れようとした。
しかし、此処は総てが決しようとする戦場―――決戦の地なのだ。何処もかしこも超威力の魔法が剣戟、火花が飛び交っている。
混沌の中心であった。だが、誰もが先ほど現れた騎士の参戦が彼奴へと向けられ始めている。
先ほど居た場所から激しい衝撃音が轟く。同時にKRの気配が全て『消失』した。
僅かな時間稼ぎであったが無事に廃墟に潜り込み、負傷したマキアに治療の魔法をしようとした。――その時であった。
施そうとした彼女の手をマキアが強く掴んでそれを阻むようにしていたのだ。なぜ、唐突に拒むような真似をするのかがわからなかった。
「な、マキア様―――何を!」
「……カルマ。この傷なんて問題ないわ」
問いかけ途惑うカルマへ痛みに喘いぎ、蒼白な彼女であったが、生気を取り戻していた。傷口も塞がっている。
心配する必要はないと微笑で返し、同時に憂いの表情を創る。
ゼアノート術式の恩恵、それはマキアの傷を即座に修復することも可能な機能であった。しかし、マキアは自分の実力ではあの騎士に勝てない。
何より、彼女の歴代のゼアノートたちが求めに求めたものの情報と重なり、あれが『χブレード』であると理解した。
「―――おそらくこの体ではどうあってもあれには勝てないわ。術式の回復力でも、追いつかない」
「なら…」
「貴女でも無理よ」
身を乗り出し、進言したカルマの言葉を遮ったうえでマキアが断じた。
言い切られたカルマは肩を落とし、落ち込んだ表情を浮かべる。その様子をくすっと微笑んで、話を続けた。
「カルマ。それでも、本気でアレに戦いの挑みたい?」
「―――はい」
マキアを傷つけたものは許さない。それが例え最強無比の力を秘めた剣の使い手であろうとも。
覚悟を燃え盛る青い双眸を合わせ、マキアは対等になる策を打ち明ける。それを打ち明けることで彼女がどうするかは、既に知っている。
「……そう。なら、カルマ。私に刻まれたゼアノート術式、それをあなたに継承させるわ」
「!!」
「別に気にすることはないわ。この戦いで生き残れる気なんて最初からない。
そう………こんなクソったれた世界に生き続ける気も―――――ない」
翳りのある金に色めいた双眸、吐き捨てるように打ち明けたそれは、心からの本心であった。
ためらう必要がない。その決意の双眸を向けたからには自分にはそのようにしか応じれなかった。
カルマはマキアの覚悟を汲み取り、継承を了承した。
「―――わかった、手をかして」
差し伸べた戸惑う手を両手で包むように掴み、マキアの躰を染め上げていた術式が総て浮かび上がる。
漆黒の刻印が徐々にカルマの手を介して、注ぎ込まれていく。本来、人間同士で行われた儀式も受け継がれる方は身も狂うほどの激痛を味わう。
しかし、カルマの躰は人のものではない。マキアが自身の機械の器として創り上げたことから継承の件も問題なく継承されていった。
そして、すべての刻印がカルマの体中に浮かび上がって浸透するように薄らいだ。
「マキ、ア―――」
「あとは―――――……貴女の自由に、思う儘に、やりな―――さい」
途切れつつあるかすれた声で最後の言葉を紡ぐ。
カルマは理解した。マキアの躰に刻まれた術式が総てカルマに移り、先ほどの受けた傷、今までの肉体への負担が一斉に圧し掛かったのだ。
瞬く間にマキアは息絶え、その生に幕を下ろした。カルマはその亡骸をしばらくの合間だけ強く抱きし
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