「!!」
「―――」
強烈な光と、光から出来た鎖がフェイトの孔からあふれ出し、ジェミニ諸共に飲み込んで消え去った。
ジェミニには困惑を浮かべながらも、周囲を見渡した。
白い大地以外は全て虚空な世界。そんな不思議な閉鎖空間に送り込んだ張本人を睨み据えた。
「これが匣の『中身』か?」
光を放ち終えたフェイトは一息、噴出して彼を見やった。
「正確には此処は『狭間』だよ。匣の名前は『カハ・ネガシオン』。これは、僕たち破面の下僕『従属官』を幽閉するために作られたものだ……僕自身、ここに入るのは初めてけどね」
「幽閉? なら、此処から出られないのか」
「その答えは明瞭だよ」
フェイトは微笑みを浮かべて、白刃を構える。
「―――赦せ、『黒龍刃』―――」
刀身から溢れ出す黒い水がフェイトを包み込み、球体のように丸くなった。
そして、中身を切り出すように内側から銀に照らされた黒い竜鱗の翼、篭手、尾を生やし、装着したフェイトが姿を現した。白い王冠はフェイトを最上の破面と証明するかのように彼の頭に装飾されていた。
「貴方を倒せば、僕と共に脱出すればいいだけですから」
「……そんな、情けは要らない……斬り捨てろ、私を!」
「残念だけど……それは叶わないよ。睦月たちは何より、あの子が―――アビスが赦してくれない」
「構うものか、斬り捨てろ! フェイトぉお!!」
「―――……その仮面が君を苦しめているのか」
斬りかかったジェミニの剣撃を受け止め、空いた左手を伸ばした。
「引き剥がしてやるよ、ジェミニ・ソロモン・レーサム!」
「っ!」
引き伸ばした彼の腕を切り捨て、再び彼に斬り挑んだ。
苦悶の顔色を零したフェイトは切り飛ばされた腕に構わず、彼へと剣尖を向けた。
「『黒龍の魔槍』!!」
「ぐっ……!」
黒に剣先を染め、ジェミニ目掛けて長く突き伸ばした。それをぎりぎり、刀身を盾にして防いだ。強力な一撃で、刀身に皹が走った。
そして、その勢いのままに突き飛ばされたジェミニは虚空で受身を取り、フェイトは刀を傍にさし、地に落ちた腕を拾い上げた。
「流石だ……長く戦えば、僕が死んでしまいそうだ」
「……」
「―――意識がそろそろ飲まれかかってるね」
既に、ジェミニを包んでいた仮面は素顔を覆うほどに侵食されていた。すでに自分を切り捨てろと懇願し始め、此処での戦いの最中には、もう――。
フェイトはきっと彼の最後の伝えるべき事だったんだろうと想った。だが、彼を倒せるのは自分だけだから。
「喰い赦せ」
―――『黒龍魔王』―――
そう唱えると、フェイトの翼が大きく広げ、彼を、刺しおかれた刀を、包み込んだ。
更に中身ごと『ぐちゃぐちゃ』にかき回すように回転し、音の一切が砕ける。真円の黒い球体、その真ん中から内より黒い刃が生え出て、切りあげていく。
そして、真っ二つに切り裂かれると出でるものは全身を白く染め上げた竜の様な顔をした何かだった。尾は細長く、その右腕が黒い刀となっていた。
『……』
「ぉおおおお」
支配されたジェミニは彼の姿を見て、声を上げた。
それは感嘆でも、驚きでも、嫌悪でもない。
「―――おおおおおぁあああああああああ!!」
恐怖。殺意。
滲み出る恐怖と殺意がジェミニの身体を突き動かした。
八ノ剱を虚空へ消し、真の一振り―――『永闢皇』を抜刀する。
『永遠剣士は喰らう者』
斬りかかった彼の一閃を受け止め、竜の口で、フェイトは言う。
『僕の死は、罪の顕在は【暴食】』
あらゆる他者を引き裂き、屠り、喰らい尽くす。虚しい餓えに塗れたモノ。その果てに飢えで野垂れ死ぬ。
『でも、それは過去の自分の一面に過ぎない。別に変わろうとも想わない。でも、今の僕は』
細く伸びた尾でジェミニの両腕を締め付け、そのまま一気に宙へ放り上げた。自身も続いて、大きくジャンプした。
『―――いや』
今の貴方には聞こえないか。
『大凶津の断罪』
刀身が黒く煌めき、
「……」
自分の敗北を悟った。
その瞬間、真黒の波濤が全てを覆い尽くした。
「喰らえぇ!」
白い翼を羽ばたかせ、皐月は光弾を無数に放った。だが、男は雷光を閃かせ、切り捨てる。
そして、紫電の光弾を鋭い槍のように連続にうち返した。
「ぐっ……!」
防御を構えたが、光弾の勢いは更に増し、打ち崩した。すかさず、男は皐月の懐にもぐりこみ、雷を纏った剣で攻撃してきた。
「『帝王剣舞』!」
「うわあああああ!!」
無数の連撃を直撃し、トドメの雷撃の衝撃波で皐月は地上へと落ちていった。
その姿を見た睦月は驚きと絶望の含んだ顔を浮かべて、
「皐月いいい!!」
「よし、ア
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想
TOP
掲示板一覧
ゲームリスト |
ゲーム小説掲示板
サイト案内 |
管理人Twitter
HOME