「まず、今のフロアについて説明すると…――事件が起きてるみたい」
「事件?」
町中を歩きながらオパールが説明を始めると、ソラが聞き返す。
このソラの質問に、オパールは一つ頷いて話を続けた。
「はぐれプログラム…まあ、言い換えれば不審なデータがこの辺に現れたの。それを、今はシドが最近開発した【特殊消去プログラム】が消そうとしているんですって」
「特殊消去プログラム?」
「ほら、前にこの町ってMCPに襲われたって話をしたでしょ? で、トロンがシステムを掌握した後に何か不都合が起きないようにって作ったの。万が一にでもウイルスに感染されたり、他のユーザーに主導権を握られたら困るでしょ?」
そうオパールはリクに説明する横では、残りの二人が首を傾げていた。
「う、うーん…?」
「えーと…?」
「あー、あんた達には難しい話だったわね…要は、この世界を守るプログラムが敵を倒そうと動いているって事。これなら分かるでしょ?」
意味が理解出来ずに唸るソラとヴェンに、苦笑しながらもオパールは分かりやすく教える。
すると、言いたい事が伝わったのか二人が納得する。そんな中、リクは再びオパールに質問した。
「それで、トロンって奴は?」
「その敵に接触しないよう、今は遠くにいるみたい。念には念をって所ね」
「じゃあ、トロンには会えないのか…」
トロンに会えないと分かり、ソラは盛大に落ち込む。
皆に会わせたかったのにさ…。などと愚痴っていると、リクが呆れたように溜息を吐いた。
「おいソラ、今回の目的忘れてないか?」
「わ、忘れてないよ!」
「どうだかぁ?」
「あー、信じてないだろ!?」
この二人のやりとりに、ヴェンとオパールは思わず笑ってしまった。
「二人とも、本当に仲が良いんだな」
「そうね…何か羨ましいな、ああ言う男の友情って」
ヴェンに賛同するようにオパールも言っていると、彼女の耳に微かに何かが振動する音が聞こえて振り返った。
「オパール、どうした?」
「あ、ううん。今、あっちから何か聞こえた気が…」
ヴェンに答えていると音が段々大きく鳴り、巨大なドックが浮かんだ状態で建物の間から現れる。
それはやがて、四人の上を通り過ぎて奥の方へと向かって行った。
「うわぁ…」
「何なの、あれ…?」
「俺、ちょっと見てくる!!」
茫然とするヴェンとオパールに対し、ソラは目を輝かせながら後を追おうとする。
しかし、当然リクは追いかけようとするソラを止めに入った。
「ソラ!? 待て!!」
「大丈夫だって! ヴェンも見に行こうぜ!」
「ああっ!!」
だが、ソラはリクの制止を振り払うように、ヴェンを誘いながら走り去っていく。
ヴェンも興味があったのか、ソラの後を追うようにその場から走り去る。この二人の行動に、さすがのオパールも怒りを露わにした。
「もう、あの二人本当に緊張感って物がないんだから!! 早く追いかけるわよ!!」
「あ、ああ!」
半ば怒鳴るように言う物だから、リクは肩を竦めてしまう。
その間にオパールも後を追って先に走るので、ワンテンポ遅れてリクも走ろうとした。
その時、先程と同じ音がリクの耳に入る。見上げると、あのドックがゆっくりとこちらに近づいていた。
「こっちに向かってくる…?」
じっと見上げていると、段々こちらに向かって下降し始めている。
これを見て、リクは近づくドックを見ながら腕を組んだ。
「…様子を見るか」
その頃…ヴェンは一人、十字路の通路の真ん中で佇んでいた。
「マズいな…ソラとはぐれた」
困った表情を浮かべながら、ヴェンは頭を掻く。
思いのほか興味津々のソラは足が早く、いつの間にか距離を取るほどに見失ってしまった。
どっちへ行けばいいか分からずに困っていると、後ろから足音が聞こえていた。
「いた、ヴェン!!」
その声に振り返ると、オパールがこちらに向かって走ってくる。
そうして足を止めると、オパールはすぐに質問をした。
「あいつは?」
「それが、途中ではぐれちゃって…」
「もー、あのバカ。どうする…――って、あれ? リク?」
文句を言いながらオパールが後ろを振り返るが、誰もいない。
思わず辺りを見回すオパールに、ヴェンは少し意地悪な笑みを浮かべた。
「もしかして、オパールもはぐれた?」
「何であたしがはぐれるのよ。明らかにはぐれたのはリクの方じゃない。とにかく、急いで戻るわよ」
「ソラはどうするんだ?」
「勝手に一人で走ったんだから、一人で戻れるで――え?」
不機嫌そうに答えてる途中で、不自然に言葉を止める。
オパールの見る方向には、例のドックが自分達のいる場所からそう遠くない所
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