時を同じくして、町から離れた場所にある壊れた城門前。
そこで異空の回廊が開き、中からアクアとゼロボロスが現れる。
そんな二人の目に飛び込んだ景色に、ゼロボロスは考え込む様に顎に手を当てた。
「ここが『レイディアントガーデン』? 名前の割に、随分寂れた感じだね…」
「場所はあってるのに、雰囲気が全然違う…ヴェンの言った事は、本当だったのね」
ヴェンから事前に聞かされた情報を思い返しながら、アクアも不安そうに周りを見回す。
そうしていると、開いていた回廊から重い足音が聞こえてくる。
振り返ると、ウィドが未だに眠るルキルを背負ったまま閉じていく回廊から現れた。
「ウィド、大丈夫? 何だったら交代しますよ?」
『トワイライトタウン』から休み無しでルキルを背負って歩いてきたウィドに、アクアが申し出る。
だが、ウィドは静かに首を振った。
「いえ…もう少しだけ、このままでいさせてください」
「分かったわ…でも、辛くなったら言ってくださいね?」
「ええ、その時はお願いします」
そうアクアに笑いかけるウィドに、ゼロボロスはこれからの事を話し出した。
「とりあえず、まずは人の住んでる場所に行って宿を探そうか」
「そうね。とにかく、安全な場所でルキルを寝かせないと」
アクアも賛同するように一つ頷く。
元々はルキルが目を覚まし次第、この世界に来る予定だった。だが、目を覚ました筈なのにルキルは再び眠りについた。そんな彼をあの世界に一人置いていく訳にもいかず、こうして一緒に連れてきたのだ。
話を戻し、アクアとゼロボロスの会話にウィドも頷いた時だった。
「――これはまた、思わぬ客だな」
上空から投げかけられた言葉と共に、一枚の黒い羽根が落ちてくる。
すぐに三人が見上げると、そこには右に黒い翼を生やした長い銀髪の男性が浮かんでいる。
この男性に三人が警戒していると、優雅に自分達の前に降り立った。
「あなたは――?」
「セフィロス」
アクアが問いかけるなり、男性―――セフィロスは自分の名を答える。
同時に彼から放たれている強い闇の気配を感じ、アクアがキーブレードを取り出す。すると、セフィロスの目が細くなった。
「少女。面白い武器を持っているな…キーブレードか?」
「お前は一体――」
更にアクアが警戒を高めていると、次にセフィロスはウィドが背負っているルキルを見た。
「ほう? 武器だけでなく、変わった人形も持っているな」
「人形…!?」
淡々としたセフィロスの言葉に、ウィドは鋭く睨みつける。
このウィドの様子に対し、セフィロスは軽く鼻で笑った。
「そう、意思を持たぬ人形。自分では何も出来ず、人から与えられた事柄に喜んで飛びつく。私の知る人物にそっくりだ」
「彼は人形ではない!! 立派な人です!!」
そう否定するようにウィドが叫ぶと、セフィロスは笑みを浮かべて何と武器である長刀を取り出した。
「どちらでもいい…――キーブレード、そして人形に荷担する者達。その力、試させて貰おう」
アンセムの研究室のコンピューター前。
カイリが一人部屋を散策しながら時間を潰して待っていると、コンピューターの端末が光り出す。
見ると、光に包まれながらソラ達が帰ってきた。
「皆、お帰り! どうだった?」
「バッチリ!」
「ちょっと危なかったけどな」
ソラがガッツポーズを作る横で、ヴェンが苦笑を浮かべる。
そんな三人から少し離れた所では、オパールが顔を俯かせたままあのディスクを握っていた。
これを見て、現実世界に帰って来た事により再びゼアノートの姿になったリクはオパールに声をかけた。
「大丈夫か?」
「あ、うん。ありがと…」
そう言うものの、オパールの表情は未だ冴えない。
リクは少しだけ考えると、オパールの頭に手を置いてそのまま撫でだした。
「え!? ちょ…!?」
「無理はするな」
「…分かってるわよ…」
思わず動揺するオパールだったが、リクの一言で再度黙ってしまう。
こうして二人が話している中、ヴェンが思い出したようにソラを見た。
「なあ、ソラ。ちょっといいか?」
「ん?」
「聞きそびれたんだけどさ、ソラ達が話してたゼアノートって――」
そこまで言った瞬間、突然部屋全体に激しい揺れが襲い掛かった。
「何!?」
「外に出るぞ!!」
突然の事にカイリが動揺する中、リクが部屋を出るので慌てて四人も追いかける。
すぐに研究所を出で廊下に出ると、何故かリクが立っている。その先にある光景を見て、ソラは目を見開いた。
「ハートレス!?」
彼らの前に、大量のハートレスが至る所に発生していたからだ。
「『空衝撃』!!」
城
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