「消えた、か…」
セフィロスの気配が完全に消え、ゼロボロスは小さく呟く。
その言葉を合図に他の人達も武器を収める中、テラは心配そうにアクアを見た。
「アクア、怪我は?」
「少し、かな…大丈夫、すぐに治すわ」
「それなら、俺達の凄腕魔導師に任せとけよ。レイア、頼むぞ」
「もう、クウさん…そう言う事言わないでください…!」
クウに言われ、レイアは恥ずかしそうに顔を赤らめるものの、また杖を取り出して魔法を唱える。
そうして三人の傷を直そうとしていると、クウの腕をウィドが掴み出した。
「まさか、こんなに早くあなたに会えるとは思ってもみませんでした。さあ、今日こそは話して貰いましょうか?」
逃がさないと言った目つきで睨み、腕を掴む手に力を込める。
しかし、クウは軽く溜息を吐くなり、自分の腕を握っているウィドの手首を掴み上げて軽く捻り上げた。
「つぅ!?」
「その前に、怪我を治す方が先だ。これでもまだ軽めな方だぜ?」
「…くっ!」
何処か淡々と話すクウに、ウィドは悔しそうに顔を逸らす。
そんなウィドに、クウは目を逸らすと神妙な面付きを浮かべた。
「――俺だって、話したいとは思ってる。だから、もう少しだけ待ってくれ」
「本当に、話してくれるんですか…!?」
「あぁ、心の整理がつき次第な」
「心の整理って――!!」
無神経にも聞こえる言葉に、思わずウィドは手を払い除けて突っかかる。
その時、ウィドを引き止めるかの様に、何と無轟が腕を掴み上げて拘束した。
「何を…!?」
「どんな事情を持ってるか知らないが、そう焦るな。返って物事が遠ざかるだけだ」
「あなたには関係ありません!! それに姉さんの情報を持ってる人間が目の前にいるのに、遠ざかるなど――!!」
「クウも覚悟をそれなりに決めている。なのに、お前の焦りで覚悟を鈍らせている。今すべきことは、攻める事ではない。忍耐強く待つ事だ」
無轟の放つ一言一言がやけに重く感じ、ウィドは顔を俯かせる。
クウや無轟だけでなく周りの人達も黙って見ていると、やがてポツリと呟いた。
「……一緒に行動してる間に、姉さんの事教えなかったら斬ります」
「分かった…その間に、どうにか心の整理つけとく」
どうにか場が丸く収まり、無轟はようやくウィドの拘束を解く。
他の人達も肩の力を抜いていると、レイアがある方向を見て首を傾げた。
「あの、その人…リクさん、ですか?」
レイアの見る方向には、未だに眠るルキルが横たわっている。
彼女達はあの時ルキルに会っていないが、黒髪である事からリクとは別人だと思ったのだろう。テラが不思議そうにアクアに聞いた。
「髪が黒い…彼は一体?」
「あの…この子は――」
これまでの複雑な経緯を、アクアが説明しようとする。
その直後、辺りに不穏な空気が漂い7人はそれぞれ周りに目を向ける。
すると、闇や狭間と共にそれらに巣食う存在が姿を現した。
「「ハートレス!?」」
「「ノーバディ!?」」
クウとレイア、ウィドとゼロボロスがそれぞれ叫ぶと同時に、それらは一斉に襲い掛かる。
「みんな、避けて!!」
「くっ!?」
アクアの号令に全員は散り散りに動く中、ゼロボロスに向かって天使のようなノーバディが剣を振るってくる。
それをギリギリで避けていると、横からクウが蹴りを放ってノーバディを吹き飛ばした。
「よそ見すんなよ!」
「助かった!」
ゼロボロスがお礼を言うと、今度は梟型のノーバディが急降下で襲ってくる。
二人はそれを避けるなり、互いに背中を合わせた。
「さて…見事に分担されてしまったね」
背中を合わせながら少し先を見ると、アクア達が向こうで戦っている。それで手一杯になっているのか、自分達に気づく様子はない。
そんなゼロボロスに、クウは軽く拳を叩いて周りの敵を睨みつけた。
「だったら強行突破だ。行くぜ、ゼロ!」
「“ゼロ”?」
思わぬ言葉にゼロボロスが首を傾げると、クウは振り返ってニッと笑いかけた。
「【ゼロボロス】なんて、いちいち長ったらしいからな。不服だったか?」
「…いえ。では行きましょうか、クウ!!」
そうして拳を握るゼロボロスに、クウも構えを作り…二人同時に地を蹴った。
その頃、ソラ達はハートレスが襲い掛かる中で建設中通路を通っていた。
「『スパーク』!!」
「『エアリルスラム』!!」
向かってくるハートレス達に、ソラは光の結晶で身を守りつつ攻撃し、ヴェンは大きな敵を真上に飛ばし、最後に地面に叩きつけて他の敵を巻き込んで攻撃する。
ハートレスを蹴散らしながら前に進む二人の後ろで、フードを被って顔を隠したリクは殿を守る様に後ろで戦っていた。
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