今では闇の中に隠れてしまった、遠い記憶。
シャオは眠りの中で、一つの夢を見ていた。
まだ戦う力も持たぬ幼い頃の自分と友達の、初めての冒険を…。
「…まってー!」
「もう、おそいわよシャオ! 早く、早くー!」
自分達の町にある、裏山にある洞窟の中。
ゴツゴツして薄暗い道を小さな足で走る先には、虹色に輝くプラチナ色の髪と黒い瞳の1つ年上の女の子が手を振ってる。
どうにか女の子の元まで走って肩で息をしていると、女の子の後ろで赤の混じった茶髪に青の混じった黒目の一つ年上の男の子と金髪に淡い緑の瞳をした二つ年上の男の子が話をしていた。
「けっこう奥まで来たけど、本当にかいぶつはいるのかな?」
「いるさ。イオンだって、うわさは聞いただろ?」
「もし、かいぶつがいたら、僕とフレクでつかまえられるかな?」
「出来るさ、俺とイオンなら」
そう言うと、金髪の男の子―――フレクは、赤い髪の男の子―――イオンに笑いかける。
「もー、『三人なら』でしょ? さりげに私を仲間はずれにしないでよ!」
「ごめん、エリーゼ」
そんな二人に、虹色に輝くプラチナ髪の女の子―――エリーゼが割り込む様に入ると、イオンが苦笑して謝る。
そう。この洞窟来たのは裏山に潜む怪物を皆で捕まえる為だ。大人達は危ないから入っては駄目だと言っているが、フレク達がこっそりと自分を誘ってくれた。
今回の計画を立てたフレクをシャオが見ていると、こちらに笑顔を作って頭を撫でた。
「そう言うわけだから、シャオ。かいぶつが出ても俺たちが守ってやるからな」
「う、うん。ありがと、フレク兄ちゃん!」
自分達より年上であるフレクに、シャオも笑顔を浮かべて頷く。
その時、洞窟の奥の方で唸り声のような物が上がる。暗闇から聞こえた声にシャオが怯む中、エリーゼは待ってましたと言わんばかりに目を輝かせた。
「今の声、かいぶつ!?」
「イオン、エリーゼ! 行こう!」
「「うんっ!」」
フレクの掛け声に、イオンも一緒に頷いて奥へと走っていく。
同時に、シャオは一人その場に残されていった。
「あっ…お兄ちゃん、まってー!」
三人に追いつこうと、シャオも必死で走って後をついて行く。
だが、まだ小さい足では走るスピードも遅く三人との距離は広がっていき、しまいには石に躓いて転んでしまう。
それでも前を見るが三人の姿はもうそこにはなく、一人薄暗い場所に取り残されてしまった。
「お兄ちゃん…どこ…!? う、うえぇええん!!」
一人しかいない寂しさと、転んだ痛みでシャオはその場で号泣する。
それでも追い付こうと一歩一歩進んでいく。
やがて広い場所に出ると、後ろで低い唸り声が聞こえてきた。
「うぇ…?」
シャオが泣きながらゆっくりと振り返ると…――ボンヤリとした巨大な黒い影に赤い目が浮かんでいる。
赤い目はシャオを見回す様に右往左往に動かし、突然凄いスピードで迫ってきた。
「「「シャオっ!?」」」
それと同時に、誰かに抱かれて横に倒れ込む。
シャオが我に返ると、そこには頬に傷を負ったイオンが自分を抱え込んでいた。
「だ、だいじょうぶ…?」
「イオン兄ちゃん!?」
何処か辛そうに安否を尋ねるイオンに、シャオは悲しそうに叫ぶ。
そこから離れた場所で、エリーゼは揺らめく赤い目を睨みつけていた。
「よくもシャオを泣かせたわね! 『ファイア』!!」
本来泣かせたのは自分達である事を棚に上げつつ、エリーゼは小さな火の玉を赤い目に向けて放つ。
火の玉が当たると爆発を起こし、赤い目は悲鳴を上げた。
「どうよ、父さん譲りの魔法は!!」
エリーゼが胸を張っていると、黒かった影が実体を帯びて獣の様な姿に変化する。
こうして本来の姿を現したハートレスは、ギロリとエリーゼを睨みつけた。
「あれ…?」
「エリーゼ!?」
思わずエリーゼが固まっていると、フレクが叫ぶ。
しかし、フレクの叫びも虚しくハートレスはエリーゼに飛び掛かった。
「きゃあぁ!?」
ハートレスに吹き飛ばされ、壁際の所で倒れ込む。
そんなエリーゼに向かって、ハートレスは大きく息を吸い込んだ。
「こっちだ、かいぶつ!!」
だが、フレクが落ちていた木の棒を握るなりハートレスの足を力の限り殴りつける。
痛がる様子を見せぬものの、これにより標的を変えたのかハートレスはフレクに向かって何と巨大な火の玉を吐き出した。
「うわあぁ!?」
「フレク!?」
炎の中に呑まれたフレクに、イオンが叫び声を上げて立ち上がる。
すぐにフレクに覚えた回復魔法をかけようとすると、ハートレスは今度はイオンに向かって突進を繰り出そうとする。
これを見たシャオは、
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