「んっ…ううん…」
夢が覚め、シャオは現実の世界へと意識を戻す。
ゆっくりと瞼を開くと、そこには足元まである銀髪に銀の瞳の少女が手にある何かを見て驚いていた。
「誰…?」
まだ朦朧とする意識の中でシャオが呟くと、少女はこちらを見る。
だが、何かを感じ取ったのかすぐに険しい顔で上を見た。
「マズイの…奴に気付かれたか…」
そう呟くなり、少女は横に手を重ねせ合わせて光らせる。
光が収まり少女が手を広げると、ジャスから貰ったお守りが握られていた。
「なに、を…?」
「――我の『思い』で形作っただけじゃ。我に万が一の事があった時にの」
そう言うと、少女は倒れているシャオの前にお守りを置いて背を向けて歩き出した。
「何処に、行くの…?」
「安心せい。消えに行く訳ではない……守る為に行くのじゃ」
少女は言い切ると共に足を止め、シャオに振り返る。
美しい銀色の目に、強い意思を宿して。
「我らの希望の光を、闇に染めぬ為に」
決意とも言える言葉を送ると共に、少女はその場から消え去った。
「守る…」
後に残されたシャオは、少しだけ考えると未だに痛む身体で上半身を起こす。
そして、道具袋を取り出すと中を漁り出した。
「そうだよね…こんな所で、寝てる場合じゃないんだ…!!」
シャオもまた決意を新たにすると、奥にあった『エリクサー』を取り出して一気に飲み干した。
その頃、城壁前の広場では未だに激戦が続いていた。
「くっそ、無駄に強いなこいつら…!!」
「無駄口叩いてる暇あるなら、手を動かしなさい!」
天使型のノーバディの放つ剣や梟型のノーバディの突進を翼で防ぐクウの後ろで、ウィドがハートレスを斬り捨てる。
「『ダイヤモンドダスト』!!」
「『フェイタルモード』!!」
別の所ではアクアが魔力を高めて周りに氷結を出現させて敵を凍らせ、テラは空中に飛び上がって武器を振り下ろすと共に衝撃波を起こして敵を薙ぎ倒す。
「『ケアル』!」
そんな中、レイアはサポートに回って少しでも傷ついた人達に癒しの魔法をかける。
この様子に、周りの敵を刀で薙ぎ払っていた無轟はレイアに叫んだ。
「レイア! 守護の魔法を全員にかけろ!」
「ハ、ハイ!! 『プロテラ』! 『シェルラ』!」
突然の無轟の指示に、レイアは驚きつつも守護の魔法をその場にいる全員にかける。
物理と魔法攻撃を軽減する障壁を張り終えると、無轟が刀に炎を纏いだした。
「全員防御しろ!! 一掃する!!」
「「なっ…!?」」
この言葉に、何をするのか理解したのかテラとクウは目を見開く。
しかし、他の人は何が何だか分からずに無轟を見ていると、上空に飛び上がった。
「『火之鳳琉』!!」
刀を振るい、空中から地上に向かい炎熱の衝撃波を放つ。
放たれた炎はハートレスとノーバディを呑み込むが、味方である彼らにも熱さが襲い掛かる。それでも、レイアの魔法のおかげでダメージはあまり無く、体力を蝕んだだけに留まった。
無轟は地面に降り立つと、刀を振るって残った炎を掻き消した。
「これでいいだろう」
「な、何て威力ですか…」
一瞬で敵を一掃した威力に、ゼロボロスも空いた口が塞がらない。
後の二人も唖然としている中、もう慣れてしまったクウとテラは諦めた顔で『ポーション』を飲み、レイアも回復魔法を唱えていた。
「『ケアルラ』…」
中級の魔法を唱え、全員に癒しの光が包み込む。
こうして回復を終えてレイアが一息入れると、アクアが心配そうに声をかけた。
「レイア、大丈夫?」
「え!? な、何がですか!?」
「大したことじゃないの。戦ってる間、ずっと私達の補助ばっかりしてくれたから…」
アクアが思った事を言うと、レイアは申し訳なさそうに頭を下げた。
「す、すみません…」
「あ、ううん。別にあなたの行動を責めてる訳じゃないの。実際、あなたのおかげで私達は凄く戦いやすいし」
落ち込むレイアに、すぐにアクアがフォローを入れる。
戦っている間、レイアは攻撃の魔法はしなかったものの、迅速に回復や補助の魔法を行ってくれたおかげで攻撃に専念出来たのだ。
この事をアクアが思い出していると、テラも心配そうに声をかけた。
「レイア…もしかして、今の敵が怖かったのか?」
すると、俯いていたレイアの目に暗い影が差しこんだ。
「そう、ですね…怖い、のでしょうか…」
「レイア――?」
何処か様子のおかしいレイアに、テラが思わず声をかけた時だ。
「テラー!! アクアー!!」
聞き覚えのある声に、テラとアクアが振り返る。
そこには、城壁広場の道からヴェンがソラと一緒にこちらに向かって走っていた。
「「
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想
TOP
掲示板一覧
ゲームリスト |
ゲーム小説掲示板
サイト案内 |
管理人Twitter
HOME