「しつこい…!!」
「進む度に大群が押し寄せるって…!!」
扉を潜り通路に出た途端に次々と現れるハートレスを、アクアとオパールが苛立ちを交えて倒していく。
それでも全員が協力してここ一帯の敵を全滅させると、ソラが不意に顔を俯かせた。
「…にしてもさ」
「どうしたんだ、ソラ?」
息を整えていたヴェンが振り向くと、ソラは俯きながら話し出した。
「俺達ってさ、クウとはそんなにいなかったけど…でも、未だに信じられなくて」
「あいつが闇の住人だって事か?」
リクが問うと、ソラがコクリと頷く。
周りが何とも言えない表情を浮かべていると、テラが同意するように頷いた。
「それは俺も一緒だ」
「テラ…」
不安そうにアクアが呟くが、テラは何処か真剣な目を向けた。
「分かってるさ。俺だって、マスターの教えを忘れた訳じゃない…――それでも、クウは今まで出会って来た闇に染まった住人と違って、本当に良い人だと俺は思ってる」
「そうです! クウさんは闇を持ってますけど、悪い人なんかじゃありません! 私を助けてくれましたし、守ったりしてくれたんです!! 信じてくださいっ!!」
「レイア…」
必死に叫びクウの事を庇うレイアに、アクアの意思が更に揺らぐ。
他の人も何も言えずに黙っていると、ゼロボロスが話しかけた。
「――アクア、僕が思うにクウは…いや、“彼ら”は自らの意思で闇の住人になった訳じゃないと思うんだ」
「どう言う事ですか?」
思わずアクアが聞き返すと、ゼロボロスが全員を見回した。
「君達は【神隠し】って知ってる?」
いきなりの質問に、カイリとアクアが目を丸くしつつも頷いた。
「えっと…人が突然行方も分からずに消える事だよね?」
「私も、話ぐらいは聞いた事ありますが…?」
「そう。その話はどう言う訳か見えない壁で隔てている筈の世界全土に存在している。その分、世界によっては諸説もいろいろあるけど…《人が消える》と言う事だけは既成概念として存在しているんだ」
ここでゼロボロスは言葉を切ると、説明を続ける。
「さらに、その消えた人が戻って来た場合の話も諸説はあるけど、ある一点だけはどの世界でも同じなんです」
「その、一点って?」
「普通の人では無くなる、と言った点だよ」
オパールの質問にゼロボロスが答えると、ヴェンが何かに気づいたのか目を見開いた。
「それって!?」
「…僕は、世界を渡り歩いていてたまにそう言った人を見てきました。調べた所、ハートレスから人に戻った者、実はノーバディになっていた者、別の世界に渡った者だったり、中にはあなた達のようにキーブレードに選ばれた者だったりもいました」
そう語りながら、ゼロボロスは今まで生きてきた分の記憶を辿って行く。
だが、先程のスピカ達の話を思い浮かべると軽く溜息を吐いた。
「ですが、さっきの話を聞いてつくづく世界は広いと思いました。中には、彼らのように闇の世界に呑み込まれた人物もいたのですから…」
「【神隠し】、か…まさに、その通りだな」
かつて闇に呑まれた経験のあるリクも、納得して頷く。
あの三人は光の世界を追い出され、闇の住人になった者達。そこを考えると、一般的に知られる【神隠し】の話とかなり類似してる。
「一つ、気になる事がある」
そんな中、今まで黙っていた突無轟が突然話に割り込んだ。
「クウは『組織』とか言う奴らの反対を押し切って闇の世界を抜け出したと言った。だが…」
「どうしてスピカとセヴィルがこの世界にいるのか、ですよね?」
ゼロボロスが無轟の言いたい事を代弁すると、ソラが首を傾げた。
「どう言う事?」
いまいち話が分かっていないソラに、ゼロボロスが詳しく説明した。
「クウはともかく、闇の世界から光の世界に戻るのは『組織』と言う人達にとって禁忌とも言える行為。なのに、あの二人がこの世界に戻っているのは変だと思わない?」
「そっか! あいつ、クウの事言えないくせに一方的に悪く言うなんて…!!」
「でも、本当に何でだろ…?」
ソラがセヴィルに怒りをぶつけていると、カイリが首を傾げる。
セヴィルがクウに冷たく接するのは、この世界に戻って来ていたから。スピカはクウを追いかけて来たと仮定するにしても、セヴィルの理由は思いつかない。
他の人も思考を巡らせる中、レイアは何かに気づいた様に顔を上げた。
「もしかして、“一年前”が…?」
「レイア、どういう事だ?」
「話はここまでのようだ」
テラが問い返すが、無轟が話を終わらせる。
前を見ると、通路の終わりに辿り着いたのか白い扉が見える。
全員が扉を開くと、白い空間の中央に柱上の装置の核らしき部分があった。
「あれね!!」
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