突如無轟を中心に白い炎が爆発したように広がる。
あまりの威力に、誰もが顔を覆って攻撃の余波をヒシヒシと感じていた。
「くっ…!? 無轟!?」
いち早くテラが無轟のいた場所を見ると、無轟は所々に火傷を負っていたがしっかりと立っていた。
「――さすが、だな」
「そちらこそ、即席で仕込んだ『フラゴール・フレア』を受けてもまだ立っていられるとは…」
少し前に、別の世界で敵対する人物達の戦闘力を量る為に使った魔法。
その時よりは多少威力は落ちてるが、諸に喰らっても尚立っていられる無轟に驚きを通り越して呆れを浮かべるエン。
そんな中、知識に長けたゼロボロスは今のカラクリに気づいた。
「地面に魔法を仕込んでいたんですか…何時の間に」
「暇はありましたよ?」
布越しに笑うなり、エンは腕を今度は横に振るった。
「さっきあなた達が作戦会議している間にね!!」
直後、地面の一部が光ると辺り一帯に巨大な雷が降り注ぐ。
この魔法攻撃に、全員一斉にガードや避けたりした。
「なんて強力な『サンダガ』なの!?」
「ひ、一溜りもなかったぞ…!!」
アクアが悲鳴に似た叫びを上げると、同じ考えなのかテラも冷や汗を掻く。
当たっていたら黒焦げは確実だった攻撃が終わると、今度は巨大な暴風が襲い掛かる。
「今度は『エアロガ』!?」
ソラの『リフレガ』に守られながらヴェンが丈違いの暴風を見ていると、エンがダブルセイバーを二刀に変えていた。
「『イノセンス』!!」
剣を振るい、真空の刃を次々と暴風に紛れて飛ばしていく。
更なる攻撃が組み合わさり、誰もが息を呑んで目を見開いた。
「『火之鎖刈突』――!!」
その時、暴風の中で無轟が炎の鎖をエンに投げつけ、腕に絡みつける。
そのまま引き寄せようとした直後、巨大な氷結が飛んできて炎の鎖を引き千切った。
「なに!?」
「私を抑え込めば、仕込んだ魔法は発動しないと思いました? まったく――」
『ブリザガ』で炎の鎖から解放されるなり、二刀の剣を構え後ろを振り向く。
瞬間、甲高い金属音が鳴り響いた。
「単純なバカほど、腹立たせるものはない」
冷たい目をして低い声で呟くエンの前には、クウが蹴りを放ったまま二刀の剣で抑え込まれていた。
「なめんなぁ!! 『メテオドライヴ』――!!」
即座に距離を取るなり、エンに掴みかかろうとするクウ。
しかし、クウが一歩踏み出すと共に黒い魔方陣が周りに現れる。
すぐに逃げようとするが、何故か身体が拘束されたように動かない。
「なっ…!?」
「クウ!?」
「下手に動くと…闇の雨が襲い掛かるぞ?」
ソラが助けに行こうとすると、エンが尚も冷たい目で睨みつける。
その言葉と共に地面の一部がが怪しく光ると、頭上に闇色の空間が開き漆黒の刃が雨の様に降り注いだ。
「こんな魔法まで!?」
「これじゃあ近づけない!?」
遠くで見守るカイリはもちろん、ゼロボロスさえもこの魔法に驚きを隠せない。
誰もが『カラミティ・レイン』に翻弄される中、エンは拘束されたクウを睨みつけた。
「『ダークネス・ジャベリン』を喰らう覚悟は出来たか?」
「う、動かな…!?」
どうにかクウは動こうとするが、拘束する黒い魔方陣から刀や剣、槍などと言った闇の刃が現れる。
それらは刀身をクウに突き立て、串刺しにしようと一斉に放たれた。
「『ダークバラージュ』!!」
だが、貫く直前に無数のキーブレードが闇の刃を粉々に砕く。
この光景に思わずクウが息を呑んでいると、エンは横に目を向ける。
そこには、回復したリクがキーブレードを手元に戻しながら着地していた。
「どうやら、頭は冷めてるようですね?」
「ああ。同じように怒っていたのに、冷静になってるオパールを見ていたらなぁ!!」
そう言うなり、リクはエンに向かって斬りかかる。
それを二刀で防御しながら軽くオパールに目を向けると、アイテムで無轟を回復している。他の仲間に気を配るほど、理性を取り戻したのが分かる。
一方で、クウは攻撃が終わったのに未だに魔方陣に捕らわれていた。
「くっ…!! まだ、解けないのかよ…!!」
「あの三下の真似になりますけど――」
必死に身体を動かしていると、一つの呟きが聞こえる。
見ると、拳に光のような白い炎を纏わせたゼロボロスの姿があった。
「四の五の言ってられませんからね!! 『崩煌弾』!!」
そう言うと、クウを拘束している魔方陣の部分に白い炎をぶつける。
すると、魔方陣はまるで溶けるように崩れていく。
やがてクウの拘束が解けると、エンはリクと戦いながら何処か感心した声を上げた。
「フェンと違って、魔力を削る炎と言う訳
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