「別…次元の…?」
「俺の、ノーバディ…!!?」
エンが放った言葉に、ウィドはもちろんクウですらも開いた口が塞がらない。
全員も思考が追いつかず呆けてる様子に、エンはさほど気にせずに頭を振った。
「やれやれ。こうなるから、極力顔を隠していたかったんですがね」
「なんで…どう、して…?」
そんな中、ようやくレイアが口を開き疑問をぶつける。
すると、エンは軽く息を吐いて全員を見渡してから説明を始めた。
「世界は外の世界を含め、自分達のいる所が全てではない。さまざまな選択により、分かれてしまう事からさらに多く存在する。そうして生まれたのが【平行世界】。と言っても、まったく異なる世界も中には存在しますが」
「【平行世界】…聞いた事があります。僕らの世界とは別の次元に存在する鏡の様な世界。またの名を【異世界】とも言いますよね?」
知識があったのかゼロボロスが補足を入れると、ヴェンが質問する。
「異世界…他の世界とは違うのか?」
「ええ、根本的に違います。僕達の住む全ての世界を一冊の《本》と例えましょう。例えば世界観や人物をそのままの設定で書くとしても、思想の違う人が書けば物語は人によって違う物語が生まれるし、まるで違う話にも変えられる。異世界というのは、まさにそう言った世界なんです」
「分かるような、分かんないような…?」
ゼロボロスの説明に意味があまり伝わっていないのか、ソラは混乱してしまう。
しかし、今は時間を掛けて詳しく説明している場合でもない。申し訳ないと思いつつも、ゼロボロスは話を進めた。
「話を戻しましょうか。あなたは、この世界とは理や歴史の違う世界から次元を越えてやってきた。それでいいですよね?」
「ええ。それはこの顔…そして、そこで呆けている奴を調べればいい」
そう頷くと、クウに向かって指を差すエン。
「つまり、あなたは…異世界のクウさんって事なんですか…?」
「そうなります。出来れば、認めたくないが…!!」
レイアに頷いて答えると、急に声を低くして唸るように呟く。
「結局…同じって事ですか」
突然聞こえた冷たい声に、一斉に振り返る。
そこでは、ウィドが再び剣を握りながらエンを睨んでいた。
「あなたが《クウ》だから…姉さんを傷付ける事に対して、何も感じてない訳ですか!! 姉さんより、あの子が大事って事かぁ!!!」
そう叫ぶと、一歩踏み出してその場から消える。
そうして後ろに回り込んで斬りかかろうとするが、読んでいたのかすぐさま振り向くと共に一気に剣の峰の方で動を薙ぎ払った。
「ぐぅ!?」
腹の部分に激痛が走ると共に、思いっきり吹き飛ばされる。
そのまま地面を滑るように倒れ込んでいると、エンは薙ぎ払った体制のまま静かに言った。
「勘違いして貰っては困ります。この世界のスピカと、私の世界のスピカは全くの別人だと理解してますから…――それにこのぐらいの攻撃、結婚の挨拶で決闘しあった時よりもまだ軽い方です」
「け、結婚!!」
「挨拶で決闘って!!」
「何か、目が輝いてないか…?」
即座にカイリとオパールが喰い付くのを見て、リクがボソリと呟く。
まさに女としての趣味全開で話を聞く体制に入る二人に、エンも何かしらの記憶が過ったのか何処か遠い目を浮かべた。
「スピカにプロポーズして、次の日にウィドに話した途端に襲い掛かって…三日三晩戦って説得したものだ」
「当たり前だぁ!! 姉さんと結婚するなど、神や世界が許しても私が許さんっ!!!」
「凄い執念だな…」
「ここまで来ると、私でもどうにも出来ないわ…」
もはやキーブレードを使った光の力でも彼の負を消せないのではと思う程のウィドの剣幕を見て、テラとアクアは口を引き攣らせてしまう。
少しずつ話がずれていく中、再びレイアが口を開いた。
「あの…前に、言ってましたよね。『あいつの所為』とか、『別れ』とかって…――それと、私達を襲った事、関係があるんですか…?」
これにより辺りに沈黙が過っていると、更にレイアは核心に迫るように言葉を紡ぐ。
「それに…ゼロさんも言ってました。異世界は、私達の世界の鏡の様なモノ…今の私達のように、あなたもソラさん達と会ってたんですか? だから…あの島を知っていたんですか?」
「――本当に、スピカと同じように勘が鋭い子だ」
エンはそう言うと、武器を下ろす様に体制を戻してレイアを見た。
「別の世界の私は、世界に数少ないキーブレード使いだった。と言ってもマスターを目指す訳でもなく、世界に闇が現れたら討伐すると言う単純な日々を過ごしていた。そんな時に、キーブレード使いであるあなた達六人と出会った」
そう言うと、エンはキーブレードを使うソラ達だけでな
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想
TOP
掲示板一覧
ゲームリスト |
ゲーム小説掲示板
サイト案内 |
管理人Twitter
HOME