「あ、ぅ…」
「キサラ、こっちも目が覚めたよ!」
意識が戻ると共に、女性の声が聞こえてくる。
鈍い痛みを感じながらオパールが目を開けると、見知らぬ部屋の天井が最初に映った。
「ここ…どこ…?」
「【ビフロンス】って世界なんだって…この人達が、助けてくれたの」
朦朧とする頭を押さえながらオパールが上半身を起こしていると、聞き覚えのある声が隣から掛けられる。
顔を向けると、あちこちに包帯を巻いているカイリがベットに座りこんで顔を俯かせていた。
「カイリ…?」
明らかに落ち込んでいる様子のカイリに、オパールが声をかける。
それと同時に、脳裏にある記憶が蘇る。
エンの攻撃によって、目の前でソラが闇に消えてしまった光景を。
「あっ…!」
「立て込んでいる所すまないが、こちらはお前達の事情を何も知らない。何があったのか聞かせて貰えないか?」
オパールも口を閉ざす中、毘羯羅が近づいて話を切り出す。
キサラとセイグリットも話を聞こうとするのを見て、カイリは更に顔を暗くさせる。
「それは…!」
「ねえ、あたしが持ってた道具袋は?」
悲しみを堪えきれずに、シーツを握るカイリの手に力が篭る。
それを見て、オパールが真剣な目で三人に質問を返した。
「道具袋、ですか? そう言えば…」
キサラは何かを思い出す様に、部屋の隅に移動する。
治療の邪魔になると、王羅やミュロスが彼女らの持つ荷物を一旦大きな袋に集めて部屋の隅の方に置いておいたのだ。
大きな袋の中を探すと、少し大きめの荷物袋を見つける。キサラはそれを手に持つと、オパールに近づいて渡す。
すると、オパールは荷物を漁りレポートの束を取り出した。
「これは?」
「あたしが書いたレポート。これ読んだら、ある程度分かるから」
オパールはそう言うと、キサラにレポートを渡す。
思わぬ行動に三人がキサラの持つレポートに目を向けていると、オパールが顔を俯かせた。
「きっと皆、今はあたし達のように話せる気分じゃないから…ごめん」
頭を下げるオパールに、三人はこれ以上何かを言える空気でない事に気付く。
仕方なくセイグリットとキサラはオパールの書いたレポートに目を通す。そんな中、毘羯羅はオパールを見て目を細めていた。
(どうして、一枚抜かしたんだ?)
荷物袋からレポートを取り出す際、一枚だけ隠すようにして中に押し込めていた。
ただ、今の行動は普通に見ていては分からない。現にキサラとセイグリットは気づいていない。幾多もの戦いで鍛え抜かれた毘羯羅の洞察力だからこそ、彼女の行動に気づけた。
彼女を問い質し、隠したレポートを差し出させようかと考え―――すぐに止めた。
オパールは悲しそうな表情で、隠したレポートを入れた袋を握り締めていたから。
(リリィ…リク…)
リリスの正体、そしてリクにとって大事な思い出が書かれたレポートを守る様に、オパールは袋の口を握り締めていた。
場所は変わり、男性陣が治療する扉の前。
そこに双子の兄妹―――リュウアとリュウカがいた。
「兄さん、何人か起きてるって言っても、そんな事したら怒られるよ?」
「大丈夫だって。こっそり覗くだけだからさ」
話を聞く限り、菜月からの報告を聞いたリュウアは興味を抑え切れずに新たに来た人達が治療する部屋の中を覗き見しようとしているようだ。
心配するリュウカを笑顔で言い聞かせ、リュウアはドアノブを握ろうと手を伸ばす。
「何をしている?」
その時、横から若干咎めるような女性の声が響き、二人は肩をびくつかせる。
恐る恐る振り返ると、そこにはゼロボロス、シンメイ、ヴァイロンの三人がいた。尚、声をかけたヴァイロンは目を細めて睨んでおり、その後ろでゼロボロスはシンメイは面白そうな表情でこちらを見ている。
「う、あっ…! 俺達、その…!」
「お前ら、どうしたんだ?」
ヴァイロンの質問にどう誤魔化そうか考えているリュウアに、更に声がかけられる。
目を向けると、丁度休憩を終えたのか神無達一家が近づいてきた。
「え!? えっと…」
「何だ、その…少し様子を見にな」
続けざまに襲い掛かるピンチにリュウアがしどろもどろする中、何処か居心地が悪そうにゼロボロスが頭を掻く。
このゼロボロスの様子に、神無の中で一つの考えが過った。
「…紫苑か?」
静かに問うと、ゼロボロスは分かりやすく表情を歪ませる。
それでもすぐに元の顔つきに戻ると、神無を見た。
「まあな…それで、あいつはもう目覚めてるのか?」
「あー、どうだろうな。俺と神月はさっきまで休憩して、今はビラコチャに――」
『何なんだよぉ!!!』
神無が説明している途中で、突然部屋の中から怒
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