「まさか、カルマがあなた達の世界にいたとはね…!!」
「そして、エンはお前達の仲間の一人の別世界のノーバディ…か」
「道理で見当たらない訳だよ…辛い事なのに、教えてくれてありがとね」
アクアの説明により、姿を見せなかった敵の情報を得る事が出来たミュロス、毘羯羅、セイグリットが思い思いに呟く。
そんな三人に、アクアもゆっくりと頭を下げた。
「私達の方こそ、ありがとうございます。こうして治療して頂いて…」
人としての礼儀を尽くすアクアだが、彼女の胸の内は後悔で渦巻いていた。
(どうして、ヴェン達を安全な世界に返さなかった? あの時、彼をテラから引き離していれば…)
これまで、二人を闇から守る為に頑張ってきた。そして、未来の世界でも世界に迫りくる脅威から守ろうとした。
なのに、結果はこれだ。世界を守る為にスピカを斬り捨て、ソラを止められず、シルビアが身代わりとなり別の世界に逃がされた。
あの時、ソラ達をヴェンと一緒に安全な世界に避難させていれば。ウィドに構わず、クウをテラから引き離しておけば。きっと…。
(私の、所為だ…!!)
もはやどうする事も出来ない事態に、アクアが悔しさで拳を握り締めていた時だった。
「アクアは、どう思ってるの?」
「え?」
突然カイリから声をかけられ、アクアは顔を上げる。
見ると、いつの間にかカイリは顔を上げてアクアに視線を送っている。
「クウの事、今はどう思ってるの? やっぱり信じられない?」
「…そう言うカイリは、どう思ってるの?」
「分かんない…でも、悪い人じゃないのは分かるよ」
「どうして…そう思うの?」
恐る恐るアクアが質問すると、カイリは少しだけ笑みを浮かべて答えた。
「ソラを助けようとしてくれたから」
あまりにも簡単な理由に、アクアは言葉を失う。
その間にも、カイリは笑みを保ちながら話を続ける。
「リクだってそう。リクも闇に染まったけど、私やソラを助けてくれたもん。だから、クウも信じたいんだ」
そう静かに語りながら、カイリは記憶を蘇らせる。
一年前、ソラによって心を取り戻して目覚めた後の事だ。アンセムが襲い掛かろうとしたが、リクが決死の思いで動きを封じたおかげで逃げる事が出来た。
少し前の機関との戦いの時も、島でアクセルに捕らわれようとした所をリクが闇の回廊で逃げ道を作ってくれたし、ナミネのおかげで牢屋から脱出した後にサイクスを退けてくれた。
あの時のクウも、闇に染まってでもソラを助けようとした。だからこそ、彼の事を信じたい。
そんな気持ちを抱くカイリに、アクアは納得したくないのか思わず身を乗り出す。
「でも、彼の所為でソラは闇に消えて――!!」
「消えないよ」
「「え…?」」
否定するカイリに、アクアだけでなくオパールも目を丸くする。
すると、カイリは胸に手を当てて二人に言った。
「ソラは消えない。どんなに深い闇だとしても、私達が繋がっている限りソラは消えない…消させないんだから…!!」
「カイリ…」
胸に当てた手をギュっと握るカイリに、アクアの中で何かが揺らぐ。
これを見て、オパールもアクアに向かって口を開く。
「ねえ、アクア。アクアの言い分は正しいと思う。あたし、闇で故郷も家族も奪われたから」
そうアクアに語りながら、忌々しい過去の記憶を過らせる。
10年も経った今でも胸が締め付けられるような錯覚に陥るが、オパールは真っ直ぐにアクアを見た。
「でもさ、全部否定するのは嫌なの。だって、アクアの言う使命って…言い換えてみれば、リクもテラも…レイアやスピカさんも消すって言ってるようなもんじゃないの?」
「それは…!」
核心を突いたオパールの言葉に、アクアは戸惑いを浮かべる。
キーブレード使いの使命は、世界の脅威である闇から守り消し去る事。闇は存在してはいけない、そうエラクゥスから教え込まれた。
実際、これまで闇の存在であるアンヴァースを始めとしたハートレスやノーバディの人ならざる敵。そして、ヴァニタスを始めとした闇に染まった住人と戦ってきた。
闇に染まり世界に脅威を齎そうとする彼らと、同じように闇に染まったテラ達。一体何が違うのだろうか?
アクアが自問自答していると、オパールは更に言葉を重ねる。
「それに、闇に落ちたから消すしかないって…正しいかもしれないけど、あたしは納得したくない。助けたいのに、諦めるの…あたしはイヤ」
「オパール…」
何かを堪える様に固く拳を握るオパールに、アクアは何も言えなくなる。
もはや反論する余裕さえも無くなったアクアに、カイリが笑顔を浮かべた。
「闇はさ、否定してもいいと思う。でも…仲間の事は信じてあげよう。そうじゃなかったら、き
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