男性陣の部屋にカイリとオパールが来て少し経った頃。
別行動していたキサラも合流し、今はヴェンとテラと談笑していた。
「二人も、元気そうで良かった」
「カイリ達もな。でもさ…俺達と違って、どうしてそんなに回復してるの?」
「言われてみればそうだな…俺達と同じぐらい、ボロボロだった筈なのに…」
ふと、未だにベットの上で治療されているヴェンとテラが疑問を呟く。
エンとの戦いでは全員動く事も出来ないぐらい痛めつけられた筈なのに、女性陣の方はやけに回復が早い。
この疑問に、オパールも首を傾げた。
「それもそうよね…」
「ああ。彼女達の荷物にあった薬を拝借したんだよ。少しは足しになるかと思ったんだけど、意外にもかなり効いてね」
「薬?」
この疑問にセイグリットが答えると、覚えがないのかカイリが目を丸くする。
そんな中、何故かオパールの顔が真っ青になった。
「あ、あのさ…その薬、もしかして二重に赤い紙で包んでた?」
「はい。『ラストエリクサー』に似てたから、使わせて貰いましたが」
「な…何ですってぇぇぇーーーーーーーっ!!!??」
王羅が教えると共に、オパールから絶叫が上がる。
あまりにも五月蝿い声に、神月は耳を押さえながらも睨みつけた。
「おい、静かにって言っただろ!?」
「静かにしていられるかぁぁぁ!!! ああぁ…あたしの最高傑作の結晶がぁぁぁ!!!」
神月の注意を一蹴するなり、オパールは頭を押さえて天井を見上げる。
この只ならぬ様子に、キサラは目を丸くして聞いた。
「それほど…大切な物だったんですか?」
「当たり前でしょ!!! 『ラストエリクサー』に『癒しの結晶』、『たそがれの結晶』、『プレミアオーブ』と滅多に手に入らない材料使って作り上げた回復薬の大作…『ファイナルエリクサー』がぁぁぁ…!!! 完成まで数ヶ月かかったのにぃ…!!!」
心からの嘆きと共に、その場に蹲るオパール。
この様子を見て、ヴェンとテラは顔を見合わせた。
「そんなに凄い材料で作ったんだ…」
「嘆くのも、少し分かる気がするな…」
彼女に聞こえない様に、ヴェンとテラがヒソヒソと言い合っていた時だった。
「本当に、変わらないな…」
「リク?」
突然リクの呟きが聞こえ、カイリが振り向く。
見ると、リクは顔を俯かせて拳を震わせていた。
まるで、湧き上がる感情を抑えるかのように。
「あいつの強さに勝てず、ソラや他の人も助けられず…俺達は完全に敗北した。なのに…どうしてお前は、そう平然としているんだ…?」
戦いに負けたのにいつもの調子を保つオパールに、何処か辛そうにリクが見つめる。
その時の記憶を思い出し誰もが口を閉ざす中、当の本人は軽く首を傾げた。
「それが何よ?」
「なにっ…!?」
「言っとくけど、こっちはこう言った経験沢山してるの。目の前で家族や故郷が消えて、恩人が消えて…少し前に友達だって消えた」
リクが何かを言おうとするが、それを遮る様にオパールは身の内話を明かす。
話す内にその時の記憶を思い出したのか、顔を俯かせ胸を押さえる。
「そりゃあ悲しかったし、悔しかった。何も出来ない非力な自分に情けを感じた。でも、そうやって後ろ見て何か変わるの? 消えた人が戻って来るの?…そうじゃないでしょ!? どんな時だって、あたし達は前を向かなきゃいけない!! 違うのっ!?」
「…ッ!」
オパールの説教にリクが口を閉ざしていると、神月が割って入る。
「オイ、騒ぐなってさっき――!!」
「少し黙っててっ!!!」
「ハ、ハイ…」
彼女の全身から滲み出る気迫に、さすがの神月も怯んでしまう。
邪魔者が居なくなり、オパールはリクに近づくと更に怒鳴り付ける。
「立ち止まって、落ち込んで、諦めて…あんた、本当にそれでいい訳!? こんな時、ソラがいたらどうするか考えてみなさいよ!! 親友でしょ!?」
「ソラが…」
思わず無意識にリクが呟くと、状況を見ていたカイリが微笑んだ。
「《みんながいるから、何だって出来るだろ?》…ソラならそう言うよ、きっと」
「カイリ…」
「思い出しなさいよ、闇に染まっても自分を失わない…あんたの心の強さ」
そう言うと、オパールは強気に笑いかける。闇の賢者となった自分の姿に。
この二人の姿に、リクは何処か羨ましげな目を作った。
「強いんだな、二人とも…」
「忘れた? 私、一年前はソラと一緒に旅してたでしょ?」
「どんなに辛くても前を向くって事、恩人に教えられたから。それに…あたし達には、託された物があるでしょ?」
カイリは腰に手を当てて笑い、オパールは笑いながらポーチから追加データのディスクを取り出して見せつける。
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