その頃、オルガ達が訪れたアイネアスの執務室でも一つの動きを見せていた。
「まったく…脱走した一人を見つけたと思えば、何やら勝手に物事を進めて…もう少し私の指示を守って貰いたいものだ」
「あはは…すいませーん…」
部屋に入り次第アイネアスの小言を受けて数分、ようやく説教が終わるなりアーファは引き攣った笑みを浮かべてしまう。
他の四人も居心地が悪そうにしていると、シュテンが酒を飲みながら助け船を出した。
「まあいいじゃねーか、それぐらいはよ。で、アルカナから聞いたお守りってのはどれだ?」
「こ、これでーす…」
ようやく説教から解放されたものの、それなりに堪えたのかシャオは恐る恐る例のお守りを取り出す。
さっそくシャオからお守りを受け取ると、三人はすぐに触ったり魔方陣を出したりして詳しく調べ始めた。
「どう、分かる?」
期待を込めてアーファが聞くと、少ししてからアイネアスが口を開いた。
「…なるほど。何らかの力を封じているようだな」
「「「「「封じる?」」」」」
この言葉に五人が首を傾げると、サイキも顔を上げて説明を始めた。
「これには“宿す力”を感じる。それを無暗に解放させない為に、“錠”をかけているのよ」
「“錠”か…これで外せるかな?」
思いついた様に、シャオは腕を伸ばして手を広げる。
すると、手の内が光り出し、彼の武器でもあるキーブレードが出現した。
「キーブレード…!」
「話には聞いてたけど、本当に使えるんだね…」
初めて知ったアイネアスはもちろん、元々情報を得ていたイオンも驚きを見せる。
その間に、シャオはシュテンの持つお守りに向かって切っ先を向ける。
だが、キーブレードもお守りも何の変化が見えない。
「出来ない、みたい…」
「そりゃそうだ。錠はその女の感情…要は心の一部で出来ている。幾らキーブレードでも解く事は出来ない」
「じゃあ、どうすれば解く事が出来るんだ?」
落ち込むシャオに、シュテンは首を横に振って言い聞かせる。
そこを更にオルガが質問すると、サイキが笑って答えた。
「目には目を、歯には歯をって言うでしょう? その封印は、何らかの『思い』で消えるようね」
「何かの思いって、具体的には?」
アーファが尤もな質問を繰り出すと、サイキは僅かに口を引く付かせてしまう。
「えっ!? そ、それは…ねえ、アイネアス?」
「何故そこで私に振るんだ…!」
どうやら話題を振られたアイネアスも、答えが分からないのか顔を逸らす。
思わず五人が落胆しかけたその時、分からない二人に変わってシュテンが答えを出した。
「『信頼』だ、こいつを開く鍵はな」
「「「「「信頼?」」」」」
五人が一斉に聞き返すと、シュテンは大きく頷いて説明を始める。
「心に錠をかけるってのは、心を殻で閉じ込めるのと同じだ。自分を見せたくないとか人と関わりたくないとか…要は、不安やら疑心と言った感情だ」
そう説明すると、シャオに向かってお守りを投げる。
とっさの事で驚きつつもどうにかキャッチすると、シュテンはさらに説明を続ける。
「お前らはシャオと出会ったばっかりなのに、もう仲良くなってるだろ? それは互いを信頼しているからこそ出来る事だ。だから、その女が一番に信頼している奴にだけ心の錠が解けて…そいつに力が宿るって寸法だよ」
こうして仕組みを教えると、オルガ達五人は何となくだが理解する。
その女の子はきっと、シャオの持つお守りを通して誰かに力を託そうとしている。それが誰なのかは分からないが、よほど信頼をしている人なのだろう。半神でも解けない心の錠で力を封じているのだから。
改めて女の子が渡した『思い』の意味を感じながら、オルガはシャオの手にあるお守りを見た。
「信頼してる人物にしか解けない、か…」
「少なくとも、シャオじゃないね」
オルガに続く様にペルセも頷くと、シュテンが笑いながら締め括った。
「恐らくはお前達の誰かか、また別の奴なのか…何がともあれ、俺達が協力出来るのはここまでだ」
「そうね。錠の仕組みは分かっても、解く鍵までは持ってないもの」
「何だろ…ふりだしに戻った気分…」
サイキも苦笑を浮かべると、イオンが疲れた顔をする。
いろんな人に相談してあちこち回った結果、やるべき事は最初にやった聞き込みになったのだ。これでは遠回りしただけである。
他の三人も若干疲れを見せる中、シャオはある事を思い出した。
「あ、そうだ! オルガさん達から聞いたけど、この城ってアイネアスさんとサイキさんの何だよね? だったら、師匠が何処にいるか知らない?」
笑顔で聞くシャオに対し、アイネアスとサイキの表情が強張る。
「師匠…」
「…あな
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