その頃、治療室では暴れるウィドを数名の女性達が取り押さえていた。
「放せぇ!! あいつの所にいかせろぉ!!」
「駄目です!! 大人しくしてください!!」
セイグリットとキサラによって押え込まれるウィドに向かって、王羅が再びその手に心剣を取り出す。
そのまま切先を向けて秩序の光を当てると、ウィドはすぐに抵抗の意を無くした。
「つぅ…!」
そうして意識を無くしたのか、その場で膝を折って倒れ込む。
どうにかセイグリットとキサラが両側から支える中、カイリは王羅の心剣を見て驚いていた。
「凄い…何処から剣を…?」
「それについては後です。まずは彼を運ばないと」
この言葉に、カイリもキサラ達と一緒にウィドをベットに運ぶのを手伝う。
そんな三人を見つつ、ヴェンは騒ぎの元凶を思い浮かべていた。
「でも、クウを探しに言った筈なのにどうしてこんな事…!?」
「…多分、見ていられなくなったんじゃないかな?」
「え?」
思わぬ所から答えが返り、ヴェンは視線を向ける。
そこには、何故かオパールがリクから目を逸らす様に不機嫌な表情を浮かべて腕を組んでいた。
「どっかの誰かさん、姿が変わったからってネガティブになってあたし達から離れて別行動しようとしたんだもん。あの時、引っ叩いてなかったらどうなっていたのかしらね〜?」
何やら棘のある言葉にヴェンが冷や汗を垂らしていると、ウィドをベットに運び終わったカイリがリクを睨みつけた。
「…リク?」
「どうしてそこで俺になるんだ…!?」
「この中で姿変わってるのリクしかいないでしょ?」
正論を言いながらギロリとカイリに睨まれては、リクは顔を逸らす以外の行動がとれない。
この二人を見ていると、不意にオパールが顔を俯かせた。
「今のクウも、多分そうだと思う。だって、大切な人や仲間を目の前で助けられなかったし、敵だと思った人物が自分自身なんだもん…あたしもクウと同じ立場なら、さすがにへこむわよ」
「…確かに、そんなクウを見たらあの人は怒るな。今みたいに」
無轟と一緒に行動していたテラも頷きつつ、爆発の聞こえる方向に顔を向ける。
「それでも…俺達、何も出来ないのかな? 仲間がピンチなのに…ここで待ってるしか出来ないのか…?」
ベットの上で悔しそうにヴェンは拳を握り締めると、脳裏に何も出来なかった自分達が思い浮かぶ。
気持ちはテラも一緒なのか、悔しそうに顔を歪ませていた時だ。
「オパール…頼めるか?」
突然リクが口を開き、オパールを真っ直ぐに見つめる。
その視線に宿る意思を汲み取ったのか、オパールはキサラを見た。
「…回復薬はある?」
「え?」
「回復薬よ! あるんなら、何でもいいから出して!!」
「は、はいっ!?」
キサラは返事をすると、近くにあった薬の入った箱をオパールに手渡す。
すぐにその中から幾つか薬を取り出すと、調合するように手を動かす。この合成の様子に、カイリは思った事を聞いた。
「何を作るの?」
「『ファイナルエリクサー』には及ばないけど、ある程度回復させる薬…!! この材料なら一時的だけど、戦えるまでには回復する筈だから…!!」
「それ、ホント!? あ、でも…」
ヴェンは喜びを露わにするが、何処か申し訳なさそうに王羅達を見る。
すると、今まで黙っていたビラコチャが大きく溜息を吐いた。
「お前さん達の好きにするといい。ただし…お前さん達が選ぼうとする選択は、言い訳はもちろん泣き事すらも許されないぞ?」
「それでも、あんた達はあの場所に向かうのかい?」
ビラコチャに続き、セイグリットも真剣な表情でヴェン達を見る。
神の力を持つ二人の問いに…ヴェンとテラは力強く笑った。
「――行くよ。近くにいるのに、何も出来ずにいた方が辛いから」
「俺も同じです。クウも無轟も共に旅をした仲間であり…俺の友です」
迷いも戸惑いも感じない答えを述べると同時に、オパールの合成が終わった。
「出来たわよ、自信作の『ウルトラポーション』!!」
そう言うと、オパールは出来上がった薬をヒュっと上に投げつける。
すると、リク、ヴェン、テラの身体の傷が癒される。リクは身体の調子を確認しながら、ベットから降りた。
「動ける?」
「…ああ、行くぞ」
「うん!」
動ける事を確認してオパールに合図すると、カイリも頷いて三人一緒に部屋を出ていく。
それに続くようにヴェンとテラも部屋を出ていくと、セイグリットが苦笑を浮かべながら開きっぱなしの扉を眺めた。
「結局、こうなったね」
「でも、これでいいのではないでしょうか?」
「僕らは話を聞いただけだけど――…彼らは辛くて悲しい思いをした。それなら、やりたいと思う
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