城にある庭園で、アクアは一人顔を俯かせていた。
そうして、少し前に起きた記憶を蘇らせる。
『――分かった。私もすぐに向かおう』
クウを探し庭園を見回っていた際に爆発が起き、少しして毘羯羅が誰かと連絡を取っていた。
やがて通信を切るのを見計らい、何が起こっているのかを聞いた。
『一体何があったんですか?』
『クウと言う男を見つけた、が…どう言う訳か、無轟が襲っているそうだ』
『どうして!?』
『それを今から確かめに行く。お前はここに残れ』
その毘羯羅の指示に、納得がいかず詰め寄ってしまう。
『何故ですか!?』
『お前には迷いが見える。僅かな疑心は、時に大きな過ちを生み出すぞ』
『っ!?』
まるで心の内を覗かれたような言葉に、思わず動きを止めてしまう。
その隙を突く様に、毘羯羅は背を向けると更に言葉を述べた。
『ここで一度、自身の心を見つめ直せ。その迷いが消えたと感じたのなら、修練場に来るがいい』
それだけ言うと毘羯羅は去って行き、一人庭園に取り残された。
ここまでの記憶を蘇らせると、アクアはお守りを取り出して見つめる。
「マスター…私は、どうすれば良いのですか…?」
小さく呟き、自身の迷いに思いを巡らせる。
闇を宿しているが、クウやスピカが悪い人ではないのは分かる。だから、いなくなってしまったクウを探そうとした。
だが、闇は存在してはならないと言うマスターの教えも忘れた訳じゃない。本来の時代で旅してた時も闇の住人がテラとヴェンを狙っていたし、今回の旅の敵だって闇を宿している。
何故、無轟はこのような事を起したのだろうか…。
「アクアー!!」
そうして考え込んでいた時、大声で呼びかけられる。
急いで振り向くと、そこにはヴェンとテラが近づいていた。
「ヴェン、それにテラも!? 動いて大丈夫なの!?」
「ある程度はな。それよりアクア、どうしてここに?」
「そうだよ! 今はクウが大変なんだ、アクアも早く行かないと!」
ヴェンが急かす様に詰め寄ると、アクアの顔が僅かに引き攣った。
「二人とも…」
僅かながらもアクアの迷いに気付いたのか、ヴェンが悲しげな表情を浮かべる。
「アクア…クウの事、やっぱり疑ってる? 前のテラみたいに…」
「違うの!! 私は――!!」
「アクア、聞いてくれないか?」
誤解を解こうとするアクアに、不意にテラが口を開く。
突然のテラの言葉に、アクアだけでなくヴェンも口を閉ざして注目する。
そんな二人の視線を浴びながら、テラは自分の掌を見つめながら話し出した。
「アクアの言う通り…俺は、闇の力に手を染めた」
「「テラ…!?」」
突然の告白に、二人が息を呑む。
だが、テラは怯む事無く話を続ける。
「だから、俺は闇と向き合う事にした。闇に落ちるのではなく、闇を自分の力にしようとしたんだ。そんな中でいろんな人に出会って…いろんな事を教えられた。例え闇に身を染めても…変わらぬ心の事をな」
「変わらぬ、心…」
アクアが呟くと、テラは笑いながらポケットに手を入れる。
そこから取り出したのは、オレンジで作った星の形をしたお守り。
承認試験の前日に渡した物だ。
「アクア、ヴェン…俺達は、まだ繋がってるよな?」
何処か確信を持ちながら、テラは『つながりのお守り』を二人に見せる。
そんなテラに、ヴェンもポケットに手を入れる。
「当たり前だろ!! テラもアクアも…俺の大事な友達だ!!」
ヴェンも『つながりのお守り』を取り出し、テラと同じように前に差し出す。
まるで最初にお守りを渡した時のように見えて、アクアも手に持ってたお守りを同じように見せ合う。
ふと二人の顔を見ると、こちらを見て笑っている。この光景に、アクアの中にあった迷いが晴れた。
「テラ、ヴェン…ごめんなさい。仲間も信じられないなんて…私、マスター失格ね」
そう言うと、心の蟠りが取れたのか穏やかに笑いかける。
一度は亀裂が出来て別れても、こうして繋がっていた。誰かを信じる事。誰かと繋がっている事を忘れなければ、きっと大丈夫なのに…どうして忘れてしまってたのだろう?
自分の失態に若干落ち込むアクアに、二人は何処かおかしそうに笑い出した。
「マスターになって、頭が余計に固くなったんじゃない?」
「確かに、アクアは真面目すぎる所があるからな」
「もう、二人とも!?」
ヴェンとテラの言葉に、すかさずアクアが叱り付ける。
それでも笑う二人に、怒ってたアクアも釣られるように笑ってしまった。
「ハハッ…それじゃあ、行こう!!」
三人が一頻り笑うと、ヴェンが元気よく声をかける。
そして、テラとアクアも大きく頷いた。
天空に聳
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