全てをかき消すような溢れんばかりの光と闇が修練場を覆い尽し、漏れた天井からもその余波が轟いていた。
神無たちにも衝撃の余波にどうにか踏みとどまった。
そして、溢れる光と闇に視界を奪われながら、神無の足元近くに何かが突き刺さる音がしたのだった。
「?」
ゆっくりと瞳を開くとそこは『明王・凛那』であった。それはさっきまで無轟が振るっていた筈の得物が何故。
考える意味を確かめるように、神無は無轟がいた方向へと顔を上げて、眼を凝らし、瞠目した。
「親父…!!」
「マジ…かよ、おい」
神無、神月、親子ともども絶句と共に無轟を直ぐに見つけだした。
其処には全員の同時攻撃を『全て直撃』して、『緋乃炎産霊神』すらまとっていない。
呻き声をかすかに洩らしなが、立ち上がろうしているボロボロの無轟が居た。
手に持っていた凛那は自分の傍に突き刺さっている。と、刺さった凛那が火を渦巻かして、神無が知る女性の姿になる。
声をかけるのを憚る気迫を漂うその表情は険しい表情を深めすぎて、憤怒そのものであった。
だが、彼女はクウらに怒りを向けたのではなかった。彼女の向けた視線の先には無轟だったのだ。
「おい……凛那。なんで、親父は……直撃したんだよ! 防ぐなり、手段はあっただろうが!!」
「落ち着け、神無」
荒れている彼へと冷静に諌める毘羯羅に、それでも神無は彼女へと問いかける声を振り出した。
無轟の実力、それは例え異なる彼であっても理解はしていたつもりだった。
その不可解な行動を取った無轟の真意を理解を求めるように協力していた凛那に想わぬ怒声で問い詰めていた。
「………そんな力など、無轟には無かった」
「!」
神無が肩を掴み、その状態を悟る。小さく体も声も震えている凛那が静かに呟いた。
あの攻撃が、全て届く前に無轟は凛那(わたし)を手放した。そして、小さく。
『ありがとう』
「――そう、いったんだ……!!」
唖然とした表情で彼女を見る。凛那は険しい表情を崩れそうに、しかし、耐えるように瞼を閉じて唇を噛み締めていた。
一方のクウらも戸惑いながらも無轟に歩み寄って、助け出そうとした。
『―――駄目だよ』
「!」
クウらの前に、火を散らして顕現してきた炎産霊神が普段とは異なった厳かな声と表情で前に立ちはだかった。
それでもその威圧にテラたちは止まってしまうが、クウだけは一人、一歩前に出て、彼へと言い寄る。
「炎産霊神、そこを退いてくれ」
『断るよ。無轟を哀れむようなら僕が許さない』
頑なな姿勢を造り、静かな怒りを声に出している。
「…なら、どうして無轟は私たちの攻撃を全て受け止めたの!? あの人なら―――……まさ、か……?」
アクアは戸惑いの叫びと共に、無轟の最後の笑みを思い出した。
その様子を見た炎産霊神は立ち上がろうとしている無轟に視線を向けながら、それでも立ち阻んだままに言った。
『……無轟の体は本当はぜんぜん回復なんてしていなかった。あくまで動ける程度に、だった。
それでも必死に装って、こっち側の凛那に協力してもらって最低限に戦える状態にした』
「最低限…?」
その言い分にクウは呆れるように思い返した。無情の様相で自分に襲い掛かったあの無轟を。
シャオを追い込み、圧倒していた無轟の姿を。その表情を見た炎産霊神が深い息を零し、凛那のほうへを見た。
『シャオと戦って勝てたのは凛那のおかげだよ。彼女が刀の状態で、力を無轟に注ぎ、護ってくれていた』
「なんだと…? じゃあ、『緋乃炎産霊神』の姿は―――!?」
剣を交えたテラの驚きの声に、炎産霊神は首を振って言い続ける。
『まさにハリボテさ。……君たちを全力で戦わせる為に、見てくれがけが人じゃあ不相応だろう?』
「……………」
全力で戦ったテラたちは言葉を完全に失う。
それぞれが、最後の全力攻撃を思い返し、完全に言葉が出なかったのだ。
そんな彼らの表情を、姿勢を見た炎産霊神が怒りの表情と声を上げた。
『僕が此処まで言ったのは哀れと思うなの気持ちで言ったんだ! 戦いを強要したのは僕たちだ!! この結果は――――ッ……僕たちの、結果……だから』
「炎…産、霊神……なく…な」
いつしか涙声で彼らを一喝した炎産霊神に幽かな男の声が放たれる。
全員が声の方へと視線を向けた。そう、立ち上がろうと必死に這っていた無轟がゆっくりと立ち上がったのだ。
かすかな呼吸を洩らしながら、炎産霊神の方までゆっくりと歩み寄ろうとしていた。
『う―――うう……ぁあああッ!』
炎産霊神は彼の歩みに待ちきれずに、彼に抱きついた。必死に装った表情も泣き崩れて、嗚咽を零していた。
抱きとめた無轟はその手で彼の頭
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