クウの見舞いへとレイアはオパールらに引っ張られながら、彼の居る部屋の前へとたどり着いた。
すると、オパール、紗那、ヴァイがにやにやと笑みを浮かべながら彼女へ声をかけた。
「さ、私たちはもう戻るわね」
「え!?」
「そうそう、私たちはクールに去るとするわ」
「え!?」
「レイアちゃん、頑張ってね」
「えー!!?」
呼び止める間もない程にさっさと遠ざかっていった3人。レイアは開いた口を閉じずに呆然としていたが、直ぐに目的を思い出して息を呑んだ。
高鳴る鼓動を鎮めるように深呼吸し、覚悟を決めたように扉に手をかけて、入っていった。
その様子を遠くからオパールらが彼女を応援するように見守っていた。
「クウ……さん?」
部屋へと入ると、最低限の灯りもついていない真っ暗な場所にレイアは小さな声で話しかける。
視線を凝らしながらレイアは彼の傍の椅子に座った。クウはベッドで目を閉じ、眠りの姿勢を取っていた。
「……」
眠っているのを察して、レイアは口を噤んだ。静かな雰囲気の中、彼女の鼓動だけはまだ高鳴りを続けている。
時間の流れが遅く感じるほど、静寂に浸り、鼓動に耳を澄ませていた。
こうしているだけでも良いと思ったが、彼の傍らにある机の上にライトがある。小さな灯り程度につけようと手を伸ばした。
「キャッ―――!」
突然、手を伸ばした手を引っ張られ、惹かれるままに倒れこむレイア。
冷たい床にではない暖かい感触、ゆっくりと確認するように見るとクウの胸に飛び込むように倒れていたのだった。
混乱し、慌てて離れようとしたが強い力が離そうとしなかった。そう、クウが押さえていたのだった。
「クウ、さん!?」
「……悪ぃ、このままに居てくれないか」
そういうと彼の押さえる力が無くなった。押さえた手をレイアの頭を優しく撫で始めた。
その行為にやっと混乱していた彼女はゆっくりと我を取り戻した。しかし、戸惑う震えた声で話しかける。
「起きて…いたのですか?」
「いや……眠ってた」
「えっと―――どうして、こ……こんな」
己の鼓動が怒涛の如く高鳴る。胸がはち切れるとはこういう事だろうと思ったが、直ぐに考えを捨てる。
抱きこんだ彼へと問いかけ、問いかけられた彼は天井を見つめながら呟くように答える。
「無性に、手を伸ばしたらレイアが居た――かな……」
「え……?」
「なんでもない……ただ、助かった」
「……はい」
レイアはその一言で理解した。心から篭った言葉を汲み取り、優しく頷き返した。
クウは手を離し、レイアは身を起こし、再び傍らに座る。彼女が落ち着くのを見計らってから、クウは口火を切る。
「――お前が居てくれて良かった。実は夢にうなされていたんだ」
「夢に…?」
不安そうに見つめるレイアに小さく自分へ苦笑を浮かべるクウはああと頷いた。
あえて夢の内容を言おうとしなかった。あの掴んだ様子から必死だったのは確かだ。
そして、自分を抱きしめ、自分を見た彼の顔に安堵があったのは確かだった。
「悪い。本当に」
「いいです。怪我の具合は?」
「……なんとか、かな」
唯でさえ体に巻いた包帯の量は多かったのに、無轟の一戦でまた増えたのだ。苦笑いを返しながら、それでも問題ない事をアピールする。
そんな彼の様子にレイアは優しい笑みで応え、それを見たクウはゆっくりと身を起こした。直ぐにレイアが手助けした。
無理に起きるのを静止せず、手助けに動いたのはレイアも無意識だった。気付けば彼を手助けしていたのだから。
「レイア、俺は―――……皆に救われた」
身を起こし、真っ直ぐな眼差しをレイアに向けて、口火を切る。その言葉に頷きで応じる。
「はい」
「テラたちじゃない、見ず知らずの俺たちを手厚く受け入れてくれたあいつらにも救われた」
「はい」
「そして……ソラやスピカ、シルビアも俺を、俺たちを救ってくれた。……託し、託された……『俺はエンとは違う』」
「!」
その否定の言葉は受け止めた覚悟のある凄みを身についていた。
「誰かが犠牲になってしまって――だからといって、誰かを犠牲にしてまで得るものが良い訳が無い。それを解らせて見せる……!」
クウが強く握り締めた拳がその覚悟を物語る。多くを経て、絶望に叩き落されても、這い上がろうとした男の決意である。
その言葉に、覚悟に、レイアは次第に涙をこぼしながらも最大限の微笑を彼に向けて頷き返した。
そうして、お互いに見つめあうと普段見せないクソ真面目な顔と泣き顔でくしゃくしゃになった顔、不意に笑みをこぼして、愉快に笑いあった。
「レイア、うまくやってるのかな」
「さあ。へんな期待はしない、しない」
既にヴァイ
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