最上階層の大広間、そこは主に広間しか用意されていない。
此処へと移動する為には各階層に用意した転移魔方陣から出ないと入れないのであった。
会議が始まる数分前、大方の面々が揃う中で新たに広間に足を踏み入れた者たちがいる。
招集を受けた神無と王羅である。入ってきた二人にサイキが歩み寄り、声をかけた。
「さ、こちらへ」
サイキの案内でそれぞれの席へと案内し、そうして彼女らも席へと座る。
大きく2列で『U』字型の対面会議となっている。その『U』字型の中央深部、両端と全体を見渡す座席にはイリアドゥスが居る。
その彼女が静かに立ち上がり、粛々とした雰囲気の中で口火を切る。
「それでは会議をはじめましょう。今回は異なるセカイの客人も同席し、言葉と言葉で交わって欲しい」
「私たちも、ですか」
会議に参加したのは『U』の右側にテラ、アクア、クウら3人だけであったが、誘いを出したイリアドゥスらは特に問題ない様子だった。
そして、会議に参加したとは言え、彼女の放った言葉に聊か疑問を持ったテラが質問を投げかけた。
「ええ、勿論」
淡々とそう言ったイリアドゥスは話を続ける。
「私たちのセカイとアナタたちのセカイ、決して交わる事の無かった縁(えにし)は何も私たちだけじゃあなかった」
イリアドゥスの言葉に、テラはハッとなって思わず呟いた。
そう、自分たちだけじゃなかった。こうして異なるセカイの者と邂逅を果たした者こそは。
「カルマとエン……!」
その一言を口走ると、唯一人以外を除いて表情に色を作る。険しさや忌々しさ、と言った敵意のある色を。
無理もないとイリアドゥスは怜悧な双眸で見渡す。皆、彼女の策謀に踊らされ、苦渋や辛酸を味わったのだから。
唯一人、イリアドゥスだけは淡々とクウの口走った言葉に応じるように話を続ける。
「そう。私たちよりも早く二人は邂逅し、お互いの成すべき目的のために、協力者となった」
「われわれの世界ではカルマが、あなた方の世界ではエンが……各々の目的のために暗躍し、行動していた」
続けて言葉を放ったのは『U』の左側の真ん中に座していたアイネアスであった。
そして、険しくしていた自身の表情に気付いてか、すぐに柔和な微笑を交えながら言う。
「お互いの情報を交換する、その為の会議ですからね。―――では、我々から話しましょうか」
言うやアイネアスはイリアドゥスに視線を向ける。彼女の了承の頷きで返し、彼は続けて話をする。
「カルマの目的、極論で言うなら『イリアドゥスの抹殺』。そして、このセカイを支配する事と捉えています。
そして、エンの目的も―――」
「このセカイを犠牲にし、自分の喪ったセカイを取り戻そうとしている……だろ」
アイネアスの発しようとした答えを口走ったのはクウであった。異なる世界のクウであるエンの打ち明けた悲願とも言える計画を。
「そう。その計画、目的の一致で二人はお互いに協力関係を結んだ…カルマはSinの力で心剣士、反剣士、永遠剣士を操り、更には自身もそれらを全て発現させた。
エンは人造ながらにして無比の『χブレード』を、あなた達が居た世界のアウルム、シルビアを捜し求め、手に入れたのでしょうね」
「あー、質問」
アイネアスが言い切るのを見計らって、心剣士の青年オルガが軽く挙手しながら呟いた。
その一声に、皆の視線が向けられるも、気にしないままにオルガは質問を問うた。
「その『χブレード』って一体全体、どういうのなんだ? 普通のキーブレードと違うのか?」
「俺らも実物を見たわけじゃあない。言葉でしか言い表せないがな」
その問いかけに苦い顔をしながらクウは答えに前置きを言った。
続けて、詳しい知識もあるテラたちがその答えの説明を言う。
「極端に言うと『χブレード』は純粋な光の心、闇の心が一つになって初めて作り出される強大なキーブレードと言えるもの―――」
「正直、存在する事自体が曖昧だったもの。でも、それは存在していた……でも、在りえない話だった」
「……人の心には多かれ少なかれ光と闇、善悪が在る。片方だけ、という規格外な人間はまず無い」
テラ、アクアの言葉に数多くの人間と交流を交わしてきた半神ビラコチャが厳格に補足の言葉を返した。
だからこそ、その矛盾の末にある存在『χブレード』が在る事が気になった。
「でも、その不可能を可能にしてしまうものが存在してしまった」
アクアが更に険しい表情で呟き、先の『アウルム』と『シルビア』にオルガが得心するように言う。
「ああ、だからその『2つ』で『χブレード』を手にいれようって事か……なるほど厄介だな」
「――ああ、話がそれましたね。更にカルマは自身の居た世界の技術を応用
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