「ベルモンド、リヒター、ギルティからもドーナッツやプリンに飴玉を貰ったし、ようやく上層だね!」
「どんなお菓子貰えるんだろうな!」
魔方陣を経由して上層に着くなり、アーファとオルガが笑い合う。
え? どうして三人は抜かしたか? 出来れば大人の都合でお願いします。
「確か、広間で待つって事だけど…――あそこだな」
メモ紙を見ながらリクが探すと、少し先に広間の扉を見つける。
いよいよ待ちに待った神様のお菓子に、ソラとヴェンが一気に扉を開けた。
「トリック・オア・トリー…ト?」
「お菓子くれなきゃ……え?」
だが、部屋の中を見た途端、意気揚々としていた二人が固まってしまう。
他の人も不思議そうに中を覗くと、驚くべき光景が広がっていた。
「ようこそ、可愛い子供達。待ってたわ」
部屋の真ん中で、イリアドゥスが微笑みを浮かべている。
その周りでは、半神達が泡を吹いていたり、目を回してぶっ倒れていたり、備え付けの机に突っ伏していたり、血文字で床に「しぬ」と恐ろしい事を書いている。
予想していたのとは全然違う光景に、イオンとペルセが恐る恐るイリアドゥスに聞いた。
「あ、あのぉ…つかぬ事、お聞きしますが…」
「何が、あったんですか…?」
「さあ? どう言う訳か、みんな勝手に倒れてしまって。あなた達の為に作ったお菓子を試食して貰っただけなのだけれど」
イリアドゥス自身も訳が分からないと言った感じに首を傾げると、嫌な予感を感じつつもアルマが聞き返した。
「今、何て…?」
「私もハロウィンと言う日を楽しもうと思って、あなた達の為に自らお菓子を作ったの。これがそうよ」
そう言うなり、イリアドゥスは大きめのタッパーを取り出す。
その中には…得体のしれない液体がビチャビチャと音を立てて蠢いている。
ハートレスでもノーバディでもアンヴァースでもナイトメアでもない、明らかに生きた何かにシンクはどうにか口を開く。
「…何ですか、これ?」
「ラスクと言うモノよ」
「もう一回…いいですか?」
全身に冷や汗を掻きながらヘカテーも呟くと、イリアはキョトンとしながらも言い切った。
「ラスクよ」
(((これの何処がラクスーーーっ!!!??)))
全員は心の中で絶叫を上げながら再度ラスクらしきものを見る。
ラスクとは本来、パンを薄切り・または厚切りにして表面にバターを塗り砂糖を眩してカリカリに焼き上げるお菓子だ。間違っても、タッパーの中でヌルヌルと蠢く怪しい液体などではない。
「か、母様の料理より酷い…!?」
「ああ…先生の料理がマシに思える」
「アーファも相当だが、上には上がいたんだな…!!」
「オルガ、どう言う意味?」
これには青い顔で殺人料理人である身内を思い出すフィフェル、ルキル、オルガ。
失礼な発言にアーファが拳を握る中、イリアドゥスは平然と目の前でタッパーの蓋を開けた。
「そう言う事だから、はいどうぞ」
『『『うぐぅ…!!?』』』
蓋を開けた途端に襲い掛かる悪臭に、全員が血の気を引きながら鼻を摘まんだ。
(す、すごい臭い…!!)
(鼻が曲がって気持ち悪い…!?)
(吐きそう…!!)
(持ち帰る以前の問題ですよ…!! こんなの、よく半神達は食べれましたね…!!)
あまりにも酷い臭いにシャオ、アイギス、アルマ、イオンが目線で会話する。
「どうした? さっきから鼻を摘まんでコソコソ話して?」
何も話さなくなったメンバーにイリアドゥスが怪訝な目をする。そうしている間に、ラスクらしき物体はタッパーから半分程這い出てしまう。
もはや食べ物ではない。誰もがそう思っていると、突然ソラが手を上げた。
「お、俺! お菓子よりイリアに悪戯してみたいなー、なんて…!!」
『『『ソラ(さん)《父さん》!!?』』』
思わぬ発言に、全員が悲鳴に近い声を出す。約一名、何か別の言い方をしていたが今の状況では誰も気にしないだろう。
「お前何を考えてる!?」
「そうよ、相手は神様でしょ!?」
即座に幼馴染みであるリクとカイリが部屋の片隅に引っ張って説得するが、逆にソラは涙目で訴える。
「だって俺、あんなの食べたくないし持ちたくもない…!」
((それは同感だけど…))
さすがの二人もソラの意見に否定を出せずにいると、イリアドゥスがふむと考えだす。
「悪戯、か…――お菓子を渡せば悪戯しなくて済むと言う話だけど、そちらにも少し興味がある。いいわ、お菓子を貰わない場合の悪戯と言うのをやってみて頂戴」
「“やってみて”と言われても…」
タッパーの蓋を閉じて(その際、物体の一部が床に落ちて変な音を立てて溶かしたが)笑みを浮かべるイリアドゥスに、アーファが冷や汗
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