何度も刃をぶつけ合う音が、修練場の広間に鳴り響く。
それぞれ修練場で修行をしたり手合せをしていた人も、今は休憩や新たに来た人の戦闘に興味を持ってクウ達の特訓の様子を見ている。
距離を取ったオルガの放った炎熱の衝撃波を、クウは翼を使って避ける。しかし、次に迫るオルガの剣舞にとっさに双剣を交差して受け止めた。
「う、くっ…!?」
「無理に二つで防ぐな!! 攻撃は片方で受け流せ!!」
「んな事、言われて…もっ!!」
『無刃焔殲舞』を放ったオルガから叱咤が飛ぶが、どうにか押し返す事で攻撃を相殺する。
だが、それと同時に紗那が目の前に迫っていた。
「はぁ!!」
「どわっ!?」
即座に繰り出される双剣による一閃が、無防備となったクウに襲いかかる。
そのまま吹き飛ぶようにクウは倒れ込む中、攻撃の衝撃で手放した両方のキーブレードはあらぬ方向へと滑り込んでいった。
「まったく。呆れて物が言えないわ…」
床に倒れ込んだクウに、特訓を見ていたウラドが呆れながら近づく。
立場上何時もは地下室にいるのだが、この特訓の話題を聞いて興味本位でやって来た。ちなみに彼女も双剣も扱うと言う事で、長い経験と知識を生かし今では指導係となっている。
手に血の色をした短剣―――『真血』を取り出すなり、遠くに飛ばされたキーブレードに切先を向けた。
「二刀流と言うのは、本来片方で受け流し片方で攻めるもの。なのに、お前は両方の剣で攻撃と防御を行っている。これでは敵に隙を曝すだけ」
「初めての奴に、そこまで言うかよ…」
「当たり前でしょう。さあ、立ちなさい。【自分自身】と決着を付けるんじゃなくて?」
ウラドの説教に、クウは押し黙り遠くに吹き飛んだキーブレードを見る。
もう一度戦わないといけない。シルビアを奪ったエンと――圧倒的な強さで敗北した相手と。
そして闇の中で培った膨大な強さを持った、かつて守ると決めた恋人――仮面に支配されたスピカとも。
「そうだな…――ここで弱音やら言い訳やらやってる暇ねえもんなぁ!!」
立ち上がりながら軽く腕を振るうと、キーブレードを光らせてその手に呼び戻す。
再び双剣を握るクウに、オルガと紗那もそれぞれ構えを作る。
彼の特訓は、まだまだ始まったばかり…。
昨日、鞭を打った身体で魔力の使い過ぎで体調を崩したレイアは、使用人の計らいで大部屋から個室へと療養の為に部屋を移していた。
その部屋では、ベットの上でレイアが上半身を起こしている。隣では看病に来たカイリの他に、見舞いに来たテラとヴェンがいた。
「体調はどうだ?」
「飲み物持ってきたんだけど、飲める?」
「は、はい…何とか…」
二人に心配されているのが分かり、レイアは申し訳なさそうに頷くとヴェンから飲み物を受け取る。
善意を無駄にしてはいけない思いからコクコクと水を飲んでいると、徐にテラが顔を覗き見た。
「顔色は良いな。何か食べたいものはあるか?」
「い、いえ…! お気遣いなく…!」
そう言って手を振った直後、レイアから《ク〜…》とお腹の虫が鳴り響いた。
「あうっ…!」
「身体は正直だな。少し待っててくれ、城の人達に何か消化の良い物を頼んでくる」
「テラ、俺も行くー!」
聞かれてしまった恥ずかしさでこれでもかと顔を真っ赤にするレイアに対し、テラは笑いながら扉に向かう。
ヴェンもテラと一緒に部屋を出ていくと、やり取りを見ていたカイリがレイアに微笑んだ。
「みんな優しいね」
カイリが思った事を言うと、どう言う訳かレイアは表情を浮かなくさせた。
「ごめんなさい…」
「え?」
「カイリさんの方が、辛いのに…私、迷惑かけてしまってますから…」
「何言ってるの?」
「だって…カイリさん、ソラさんと『恋人』なんですよね? 本当は悲しい筈なのに…」
レイアの口から発せられた爆弾発言に、今度はカイリの顔が真っ赤になった。
「ちょ、ちょっと!? だだ、誰がそんな事言ったの!?」
「リクさんが笑いながら話してくれました。お二人は付き合ってるって。ヴェンさんも頷いてましたよ」
「リク、後で覚えてなさい…!!」
キョトンとしながら話すレイアに、カイリは心の手帳に強く書きこむ。
どう言った仕返しが一番効果的か策を練っていると、レイアは顔を俯かせながら胸に手を当てる。
「正直、羨ましいです…私にはそんな素直な感情ありませんから。どんなにクウさんの事を思っても、私には心が無いからまやかしでしかない…」
「そんな事ないよ! だってレイア、クウにスピカさんのロケット返したでしょ? 隠す事だって出来たのに、そうしなかったのはクウやスピカさんの事を思って――!」
「…違うんです」
言い聞かせるカ
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