異様な気配が間近へと接近するのを感じた二人は各々武器、ラクラはキーランス、黒い十文字の槍『真覇十文字』を、フェンデルは己の本来の姿たるハルバートを模した幻影の槍を取り出して身構える。
「―――来たッ!」
「真下よ!」
そう叫ぶと同時に二人はそれぞれ空中へと飛び上がった。そして、彼女の言うとおりに彼らが居た真下の空間を突き破り、巨大な塊が姿を現す。
禍々しいまでに赤く輝く血脈を体躯に染め上げた異形の竜。その姿に、改めて二人は息を呑み、闘志を研ぎ澄ました。
これが伽藍の言っていた『竜』であろう。領域に踏み込んだ侵入者を排除しようと姿を現した、とラクラは黙して思案する。
「フェンデル、俺が先手を打つ。お前はバックアップを頼むぞ」
「ええ。いきましょ!」
ラクラと戦法の話を切り上げ、フェンデルはハルバートに風の力を収束させる。
「――青羽槍・嵐旒(せいはそう・らんりゅう)!!」
一瞬で収束し、ハルバートを振り払うと同時に風の刃が無数、一斉に竜へと斬りつける。
それを見計らい、同時にラクラが槍を手に、一気に竜へと至近する。
「まずは一撃! 騎光槍龍波(きこうそうりゅうは)ッ!!」
風の刃の中を突き抜け、光を込めた一突きが竜の体表を刺す。
先制の連続攻撃を受けた竜は呻きにも似た咆哮を上げ、身を揺さぶってラクラを振り払おうとする。
「くっ! さすがに、効き目は薄いか!!」
吹き飛ばされないように槍に力を込め続けているラクラが揺さぶられながらに苦い表情を零す。
更に、歴戦の勇士の感が体表を刺し貫いた程度では実感は薄い事も理解した。このままでは返って深追いになる。
ラクラはタイミングを見計らって槍を引き離し、大きく吹き跳んだ。
「―――っと」
上手く聳える摩天楼の壁に着地し、一息つく。伽藍の施した術のせいか、衝撃が和らいでいる。
そこへフェンデルが追いかけてきて、彼へ声をかけた。
「ラクラ、どう? 倒せる?」
「倒してみせるさ。さけるぞ!!」
その一喝と共に、二人は大きく別々に飛行した。その僅かの差を縫うように二人が元居た場所に赤く輝く閃光が摩天楼をぶち抜いた。
竜がこちらへ牙だらけの口を大きく開き、破壊の閃光を放射したのだった。フェンデルは冷や汗を拭い、改めて戦意を燃やす。
「面白いじゃない、次は私が切り裂いてあげる!」
ハルバートと自身に風を纏い、更なるスピードで加速して飛行、一気に竜へと迫る。
すると、竜は迎撃するように翼を広げる。竜の巨大の倍ある翼は異空の光景を一面染め上げるような禍々しいまでに赤い。
更に、その翼から光が幾つも走り、雨のようにフェンデルへと降り注ぐ。
「! ちょっと、弾幕!?」
思わぬ迎撃攻撃に直進を避け、驚きながらもフェンデルは回避迂回する。
「そこね、青羽槍・龍頭(せいはそう・りゅうとう)!!」
そして、翼を避けて遠距離から攻撃に変化させる。嵐旒と違い、放つ事の出来る衝撃波は一つだけだが。
その大きさ威力は巨大なものである。風の塊たる衝撃波が竜の顔面へと着弾する。
着弾を受けた竜は爆風に押され、身を踏み止まる。そこへ、今度こその近接による一撃を繰り出した。
「はぁぁぁっ! 青羽槍・月影(せいはそう・げつえい)ェッ!!」
風を纏ったハルバートによる連続攻撃を怯んだ竜の顔面へ斬りこんだ。表面に傷は幾つも走るも大ダメージを与えた感触は薄い。
すかさず竜の動きを読み、フェンデルは素早く後退し、反撃を回避した。だが、執念のごとく竜はその牙を彼女へ届けんと猛進をやめなかった。
「もう、面倒ねえ! ラクラ、今よ!」
「――騎光涛星撃(きこうとうせいげき)!」
追撃にうんざりした彼女の一言と同時に、狙い澄ました投擲された槍が光を纏って迫った竜の額に衝突し、猛進する動きが鈍る。
「グランシャリオ・ゼロ!!」
その鈍った一瞬でラクラは大きく竜の額めがけて跳躍。そんな中で手にキーランスが戻るや、更なる追撃でダメージを負った額に槍を穿ち、弾かれてしまうも、余波たる光の柱が立ち上る。
ラクラは立ち上った光の柱のエネルギーを槍に収束させ、最大限に強化した槍を突き出す。
「騎光槍龍波ァッ!!」
「よしっ、さすがにこの連撃は効いたはず!」
「――……っ」
確かに、フェンデルの言うとおり、ラクラの怒涛の連続攻撃から繰り出された威力は竜の強固な体表を突き破った。
その連撃に竜は額に穿たれた槍の一撃に、悲痛の咆哮をあげ、バランスを崩して荒涼の大地へと落ちていった。
すかさずラクラは竜から離れ、その様を見据えながら一息ついた。
「フェンデル、どう見る?」
「え? あの竜のこと?」
ラクラは神妙な様子で頷いた。武器を消さ
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想
TOP
掲示板一覧
ゲームリスト |
ゲーム小説掲示板
サイト案内 |
管理人Twitter
HOME